当社は外部専門機関の協力のもと、システム障害範囲の特定とランサムウェア攻撃の影響の詳細調査を進めてまいりました。
本日時点までに判明した調査結果等について、以下の通りご報告いたします。
■代表取締役社長 CEO 吉岡晃より
今般のランサムウェア攻撃により、お客様情報に加え一部のお取引先様の情報が外部へ流出しており、多大なご迷惑をおかけしております。また、当社物流システムに障害が発生してサービスが一時的に停止したことにより、お客様、お取引先様、物流受託サービスをご利用の企業様とそのお客様、株主の皆様をはじめ、多くのステークホルダーの皆様に多大なご迷惑とご心配をおかけしておりますこと、深くお詫び申し上げます。
当社は本件の重大性を厳粛に受け止め、影響の抑制とサービス復旧に全社を挙げて取り組んでまいりました。今後、ランサムウェア攻撃を踏まえたBCPの見直し・強化にも取り組んでまいります。
このたび、サービスの本格復旧フェーズへ移行するにあたり、サービスの安全性をご確認いただくとともに、現時点でお伝えできる調査結果、当社の対応、および安全性強化策について、二次被害防止のために開示が困難な内容を除き、可能な限り詳細にご報告いたします。
本報告が、当社の説明責任を果たすのみならず、本件に高いご関心をお寄せいただいている企業・組織におけるサイバー攻撃対策の一助となりましたら幸いでございます。
1.ランサムウェア攻撃の発生と対応の時系列
本件発覚以降の時系列は以下のとおりです。

※1 Multi Factor Authentication:IDやパスワード(知識情報)に加え、認証の3要素である「(スマホなどの)所持情報」
「(指紋、顔などの)生体情報」のうち、2つ以上の異なる要素を組み合わせて認証を行う方法。多要素認証。
※2 Endpoint Detection and Response:PC、スマートフォン、サーバといったエンドポイントに侵入したサイバー攻撃の
痕跡を検知し、迅速に対応するためのセキュリティ対策。
2.流出が確認された情報
・流出が確認された個人情報の概要(2025年12月12日時点)は以下のとおりです。
・本日、同内容について個人情報保護委員会へ確報を提出いたしました。
・該当するお客様・お取引先様等には、個別に通知を行っております。
また、公開された情報が悪用される可能性を踏まえ、当社は長期的に監視体制を継続し、必要に応じ
て追加対応を実施していきます。
・今後、攻撃者による新たな情報公開が確認された場合は、対象となる方に個別通知を行うとともに、
影響範囲や内容に応じて公表の要否を適切に判断いたします。
・なお、LOHACO決済ではお客様のクレジットカード情報を当社が受け取らない仕組みとしており、当
社は個人のお客様のクレジットカード情報を保有しておりません。
・二次被害防止の観点から、以下の情報の詳細については公表を差し控えさせていただきます。

3.被害範囲と影響の詳細

・外部専門機関によるフォレンジック調査の結果、以下の事実を確認しております。
・なお、一部の通信ログおよびアクセスログが失われていたことから、攻撃者が閲覧した可能性のある
情報の範囲を完全に特定することは困難であると判断しております。
3-1 物流・社内システムへの侵害
・物流システム・社内システムでランサムウェアの感染が確認され、一部データ(バックアップデータ
を含む)が暗号化されて使用不能になるとともに、当該データの一部が攻撃者により窃取され、公開
(流出)されました。
・物流センターを管理運営する複数の物流システムが暗号化され、同データセンター内のバックアップ
ファイルも暗号化されたため、復旧に時間を要しました。
・当社物流センターは、自動倉庫設備やピッキングシステム等、高度に自動化された構造となってお
り、その稼働をつかさどる物流システムが停止したことで、物流センターの出荷業務を全面停止する
重大な影響を及ぼしました。
3-2 外部クラウドサービスへの侵害
・上記3-1の侵害の結果、何らかの形で外部クラウドサービス上のお問い合わせ管理システムのアカウ
ントが窃取され、当該アカウントの侵害が確認されました。
・当該お問い合わせ管理システムの情報の一部が窃取され、攻撃者によって公開(流出)されました。
・基幹業務システム、フロントシステム(お客様向けECサイトやパートナー様向けサービス)は、侵害
の痕跡がなかったことを確認しています。
4.攻撃手法の詳細分析

4-1 攻撃者による侵入の概要
・調査の結果、攻撃者は当社ネットワーク内に侵入するために、認証情報を窃取し不正に使用したと推
定しています。初期侵入に成功した後、攻撃者はネットワークに偵察を開始し、複数のサーバにアク
セスするための認証情報の収集を試みました。
・その後、攻撃者は、EDR等の脆弱性対策ソフトを無効化したうえで複数のサーバ間を移動し、必要な
権限を取得してネットワーク全体へのアクセス能力を取得していきました。
・なお、本件では複数種のランサムウェアが使用されました。この中には、当時のEDRシグネチャで
は、検知が難しいランサムウェアも含まれていました。
4-2 ランサムウェア展開とバックアップファイルの削除
・攻撃者は必要な権限を奪取した後、ランサムウェアを複数サーバに展開し、ファイル暗号化を一斉に
行いました。その際、バックアップファイルの削除も同時に行われたことが確認されています。これ
により、一部システムの復旧に時間を要することとなりました。
5.初動対応
5-1 ネットワーク遮断等による拡大防止
・当社は異常を検知した後、感染が疑われるネットワークを物理的に切断し、攻撃者の不正アクセス経
路を遮断する措置を実施しました。データセンターや物流センター間の通信も遮断し、感染の拡大防
止に努めました。感染端末の隔離・ランサムウェア検体の抽出とEDRシグネチャの更新を実施しまし
た。
5-2 アカウント管理の再構築
・全管理者アカウントを含む主要なアカウントのパスワードをリセットし、併せて主要なシステムにM
FA(多要素認証)を適用することにより、不正アクセスの継続を防ぎました。
6.原因分析と再発防止策
(1)不正アクセス

(2)侵入検知の遅れ

(3)復旧の長期化

7.システムの復旧と安全性確保
7-1 クリーン化の実施
・当社は、攻撃者が侵害した可能性のある端末やサーバについて、EDRやフォレンジックツールを用い
た徹底的なスキャンを行い、汚染が疑われる機器は廃棄またはOS再インストール等のクリーン化を
実施しました。この作業により、脅威が残存している兆候は確認されておりません。
7-2 新規システム環境への移行
・復旧までに一定の時間を要しましたが、汚染の可能性を残した既存環境を部分的に修復するのではな
く、安全が確認された新しい環境をゼロから構築する方式を採用しました。
7-3 安全確認の実施
・外部専門機関と協働し、基幹業務システム・フロントシステム等についても徹底調査し、侵害有無を
精査した結果、その他の主要システムが侵害された事実は確認されず、安全性が確保されていること
を確認しました。
8.セキュリティ強化のロードマップ

8-1 短期フェーズ(封じ込めと安全確保)
・短期フェーズでは、不正アクセス経路の遮断、EDR強化や残存脅威調査・対策、MFAの徹底など、早
期の封じ込めと安全性確保を最優先としました。
8-2 中期フェーズ(仕組みの高度化)
・中期フェーズでは、監視体制の24/365管理高度化、権限管理フレームワークの見直し、従事者に対
する教育体系の強化など、運用基盤の強化を重点的に進めています。
※1 Security Operation Center:ネットワークの監視を行い、リアルタイムで脅威を検知・対処する役割を担うサイバーセ
キュリティの専門組織チーム
※2 Operational Technology(運用技術)
8-3 長期フェーズ(成熟度向上と運用定着)
・長期フェーズでは、不正アクセスを防ぐ仕組み・運用ルールを含むセキュリティ対策の継続的アップ
デートやランサムウェア事案を踏まえたBCP(事業継続計画)の見直し・強化、外部専門機関による
定期的なアセスメント実施等、長期的なセキュリティ基盤の成熟度向上を進めてまいります。
9.NISTフレームワークに基づくセキュリティ強化
・高度化するサイバー攻撃を早期に検知し対応するため、米国標準技術研究所(NIST)が定めたサイ
バーセキュリティ基準(※)に基づき、現在のセキュリティレベルを多角的に評価し、必要な強化ポ
イントを体系的に洗い出しました。これにより、管理策の妥当性や必要な改善点を明確化しました。
【主な強化施策例】
(1)アクセス制御強化(AC-17)
・全リモートアクセスのMFA必須化
・セッション記録・アクセスログの分析強化
(2)検知能力強化(AU-2)
・SOCの監視強化
・資産の整合性監視の強化
※NIST CSF:NISTが策定した、組織がサイバーセキュリティリスクを管理・軽減するためのフレームワーク(Cybersecurity
Framework)
NIST SP800シリーズ:NISTが発行するサイバーセキュリティおよび情報システムに関するガイドラインや標準コレクショ
ン
10.セキュリティガバナンス体制の再構築
本件を通じて再認識した高度化するサイバー攻撃の脅威を踏まえ、リスク管理体制、全社的な統制・役割分担の明確化など、改善・強化すべき点を中心に、今期(2026年5月期)中にセキュリティガバナンス体制の再構築を進めてまいります。
11.情報公開方針と外部連携
11-1 攻撃者との接触と身代金支払に関する方針
・当社は、犯罪行為を助長させないという社会的責任の観点から、攻撃者とは接触しておらず、身代金
の支払いはもとより、いかなる交渉も行っておりません。
11-2 透明性を重視した情報発信
・事実に基づく透明性の高い情報発信を基本とし、ステークホルダーの皆様に対して適切な時期に必要
な情報を開示してまいります。ただし、攻撃手口の模倣や追加攻撃を含む二次被害防止の観点から詳
細の開示を控えさせていただく場合がございます。
11-3 外部ステークホルダーとの連携
・警察や個人情報保護委員会など関係監督官庁に対し、早期報告を行っております。また、本件を通じ
て得られた知見を社会全体のセキュリティ強化に還元することが重要であると考え、外部ステークホ
ルダーとの積極的な連携を進めています。
・インシデント共有コミュニティ(例:JPCERT/CC※)への情報提供
:他社・他組織の防御力向上に寄与し、国内のサイバーセキュリティ水準の向上に貢献してまいりま
す。
・サプライチェーン全体への情報共有
:サプライチェーン全体の安全性向上を目的として、必要な情報を適切に共有してまいります。
・今後も、官民連携の枠組みや外部専門機関との協働を強化し、当社のみならず社会全体のサイバー攻
撃による被害抑止に資する活動を継続してまいります。
※Japan Computer Emergency Response Team Coordination Center
12.業績への影響
すでにお知らせのとおり、本件により財務数値の精査に十分な時間を確保する必要が生じましたため、第2四半期決算発表を延期する判断をいたしました。関係者の皆様にはご迷惑をおかけし、深くお詫び申し上げます。発表時期は改めてお知らせいたします。
以上
【参考:これまでの発表】
2025年10月19日:ランサムウェア攻撃によるシステム障害を確認、プレスリリース(第1報)を発表
2025年10月22日:調査状況とサービス現況(第2報)を発表
2025年10月29日:一部商品の出荷トライアル運用開始(第3報)を発表
2025年10月31日:一部報道について(第4報)を発表
2025年10月31日:情報流出に関するお詫びとお知らせ(第5報)を発表
2025年11月 6日:サービスの復旧状況について(第6報)を発表
2025年11月11日:情報流出に関するお知らせとお詫び(第7報)を発表
2025年11月12日:サービスの復旧状況について(第8報)を発表
2025年11月14日:3PL事業に関する情報流出可能性について(第9報)を発表
2025年11月19日:サービスの復旧状況について(第10報)を発表
2025年11月28日:サービスの復旧状況について(第11報)を発表
2025年12月3日:サービスの復旧状況について(第12報)を発表
2025年12月12日:ランサムウェア攻撃の影響調査結果および安全性強化に向けた取り組みのご報告
(第13報・本リリース)を発表
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