ChatGPTやGoogle Geminiなど、AIが生活に根付き始めた昨今。
韓国の国会議員が、ある危機感を抱き動いた。
5月14日、国会教育委員長のキム・ヨンホ議員は、読書教育を国家レベルの核心的な教育政策として格上げする「教育基本法改正案」を提出したと発表した。
今回の改正案は、教育基本法に「読書教育」に関する条項を新設し、国と地方自治体に対して振興施策の策定・施行を義務付けるものだ。読書を単なる個人の趣味ではなく「教育の重要な基盤」と位置づけ、国民が読書を習慣化できるような制度的インフラを整える狙いがある。

現行の教育基本法には、科学技術や環境、キャリア教育、そして人工知能(AI)教育などに関する責務は規定されている。しかし、あらゆる思考力と学習能力の土台となる「読書教育」については、法的な根拠が不十分であるとの指摘が専門家からも上がっていた。
背景には、教育現場で深刻化する「リテラシー(読解力)の低下」がある。スマートフォンなどデジタル機器の過度な使用や、TikTokなどのショート動画を中心としたメディア環境の普及により、学生たちの集中力や文章を深く読み解く力が弱まっているとの懸念が広がっているのだ。AIが情報を瞬時に検索・生成する時代だからこそ、自ら読み、理解し、自律的に判断する「問いを立てる力」が不可欠になっている。
今回の法案は、読書教育を個々の学校や自治体の努力目標に留めるのではなく、国が継続的に推進すべき公共政策の柱として制度化する点に大きな意義がある。
法案が成立すれば、政府や自治体の予算編成や教育計画において、読書教育が安定的に反映される法的根拠が確保される。これにより、幼児期から本に触れ合える環境の整備や、学校・図書館・地域社会が一体となった読書推進事業が加速すると期待されている。
キム議員は「AI時代に求められるのは、単にツールを使いこなすスキルではなく、AIが提示した情報を精査し、自ら再定義できるリテラシーだ」と指摘。「読書は最も古くからある学びの形だが、AI時代を生き抜く子供たちに、最も未来的な付加価値を与える教育となる」と強調した。



