K-POPグループのワールドツアーは、いまや発表されただけでは本当に開催されるのか、安心できないものになりつつある。
4月20日、ガールズグループi-dle(アイドゥル)の北中米ツアーが一気に消えた。
カナダ、アメリカ、メキシコの3カ国10都市で予定されていた公演が、まとめて中止になったのだ。
8月にカナダ・ハミルトンを皮切りに、ニューアーク、フィラデルフィア、アトランタ、オーランド、サンアントニオ、ロサンゼルス、オークランド、シアトル、メキシコシティまで回る予定だったが、その全日程がなくなった。
問題は、中止そのもの以上に、その説明の曖昧さだろう。
同日、i-dleの所属事務所CUBEエンターテインメントは「グローバル活動の方向と現地日程、諸般の条件を総合的に考慮して、北中米ツアーは再整備する方向で決定した」と説明した。

もちろん事情はあるのだろう。だが、ファンが本当に知りたいのは、なぜ10都市すべてが一度に消えなければならなかったのか、という点だ。ところが出てきたのは、誰にでも当てはまりそうな、輪郭のぼやけた説明だけだった。
しかも、他の地域はそのままだ。i-dleは北中米以外のオーストラリア、シンガポール、日本、香港などのツアー日程は維持し、7月の韓国カムバックも決まっている。さらに、7月末から8月初めにかけて米シカゴで開かれる大型フェス「ロラパルーザ」にも出演するそうだ。
だからこそ、なおさら疑問が残る。北中米だけが丸ごと消えた理由は何なのか。本当に“再整備”なのか。それとも、もっと別の事情があるのではないか。そうした不信が広がるのも無理のない話だろう。
「本当に開かれるのか」という不安
実際、K-POPグループのコンサートが突然消えるのは、今回に始まったものではない。
昨年10月にはRIIZEのアメリカ・ダルース公演が突然中止されたが、その際も詳しい理由はほとんど説明されなかった。払い戻し案内だけが示され、ファンには「なぜなくなったのか」が最後までよく見えなかった。

公演が中止されること自体はあり得る。体調、技術、会場、現地事情など、コンサートには不確定要素が多いからだ。だが、理由が曖昧なまま中止だけが通知されるケースが重なると、ファンの頭の中に残るのは失望より先に不信だ。
この不信は、すでに昨年の時点で鋭く指摘されていた。G-DRAGONのバンコク公演中止、D-LITEのメルボルン公演中止、BoAの健康上の理由による単独公演取りやめなどが続くなかで、「K-POPコンサートは本当に開かれるのか」という不安が広がったのだ。
表向きには猛暑、技術的問題、体調悪化などの理由が掲げられるが、その裏側には、無理な日程拡大、不透明な収益構造、不確かな需要予測が横たわっているのではないか、という見方もあった。
特に海外公演では、その構造的不安がより強い。
近年、K-POPアーティストの海外公演ギャラは高騰を続けており、現地プロモーターは採算を合わせるために大型会場を押さえ、高額チケットで勝負する。だが、需要予測が外れれば一気に赤字化する。
そのため、一部では「強行開催するより、損失を最小限に抑えるため中止したほうがいい」という発想が広がっているとの分析もあった。
さらに、水面下ではチケットの売れ行きを見ながら開催可否を判断しているのではないか、という疑念までファンの間に広がったという。これは確認済みの事実ではない。だが、そのような疑いが生まれるところまで、K-POP海外公演への信頼が揺らいでいること自体が問題といえるだろう。

K-POPコンサート市場全体が、拡大した規模に対して、準備や運営、説明責任の面で追いついていないのではないか、という構図が見えてくる。今回のi-dle北中米ツアー全中止も、その延長線上に見えてしまう。
ファンにとってコンサートは、単なる商品ではない。遠征のために航空券を押さえ、ホテルを予約し、休暇まで組む人もいる。だからこそ公演発表は、“期待”であると同時に、“約束”でもある。
にもかかわらず、その約束がある日突然消え、理由はふわっとした説明だけで済まされる。これが繰り返されれば、ファンが「チケットを取っても、本当にその日その場所で開かれるのか」と疑い始めるのは当然だ。
K-POPは今も世界中で人気だが、その人気の裏側で、コンサートという最も大事な接点の信頼性が少しずつ揺らぎつつある。発表された時点では祝福されるはずのワールドツアーが、いまでは「本当に開催されるのか」と疑われる。その空気こそが、いまのK-POPコンサート市場のいちばん危うい変化なのかもしれない。
■【写真】こんなに華奢なのに…i-dle・ウギ、“意外なボリューム感”



