ボーイズグループASTROのメンバー兼俳優のチャウヌの税金問題は、芸能界だけで終わらなかった。
チャウヌが巨額の税金を納付し、二度目の謝罪まで行ったが、今度は兵役中の「軍楽隊」配置の適正性を見直してほしいという民願まで出たからだ。
芸能人の脱税疑惑や追徴課税は、それ自体でも十分大きなニュースだ。
だが、今回のチャウヌの騒動がさらに重く見えるのは、議論が単なる芸能スキャンダルではなく、軍服務の公平性という敏感な領域にまで広がった点にある。
そのまま軍楽隊に置いていいのか
発端となったのは、チャウヌが昨年、ソウル地方国税庁の高強度の税務調査を受け、200億ウォン(約20億円)規模の追徴を通知されたと報じられたことだった。

その後、所属事務所は4月9日、実際の負担額は重複課税分の還付手続きを経て約130億ウォン(約13億円)水準になる見通しだと説明した。
個人所得税はすでに完納しており、すでに納めた法人税や付加価値税のうち重複分について返還手続きが進むという説明だ。いずれにせよ、芸能人の税金追徴事例としては異例の規模であることに変わりはない。
チャウヌ本人も4月8日、自身のSNSで再び謝罪した。彼は「最近、自分に関する納税論争でファンをはじめ多くの方々に失望と混乱を与えたことを心からお詫びする」としたうえで、「国税庁の手続きと結果を尊重し、これ以上混乱が続かないよう関連税金をすべて納付した」と明らかにした。
また、「知らなかった」「誰かの判断だった」という言葉で責任を回避しないとも述べ、問題の法人設立についても、活動を安定的に続けるため準備する過程で作ったが、十分に確認しきれなかった部分があり、その責任は家族や会社ではなく自分にあるとした。
ここまでは、よくある芸能人の税務騒動にも見える。問題が報じられ、本人が謝罪し、納付を終える。だが今回は、その先が違った。
4月9日、国防部に対して、現在軍楽隊で服務中のチャウヌ一等兵について、適正性を再検討してほしいという民願が提起された。民願人は、「軍楽隊は政府主催の中央行事や祝日、大統領関連行事、国家葬などの主要な儀礼に投入される組織であり、対外的な露出度と象徴性が高い」とし、今回のような大規模論争を起こした人物をそのまま配置することが妥当なのか見直すべきだと主張した。

特に「将兵たちの相対的剥奪感」や、軍組織の公正性に対する信頼が損なわれかねないと訴えている。
世論の一部は、この問題をもはや「芸能人の税金問題」としてではなく、「兵役中の有名人が、象徴性の高い位置にいて良いのか」という公平性の問題として見始めているのだ。
もちろん、現時点で国防部が具体的に変更を検討しているわけではない。すでに類似の民願に対しては、「将兵の配置は指揮権の範囲内で総合的に判断する事項であり、現時点で配置変更の議論はない」という趣旨の立場も示されている。
実際、兵務庁が公開している軍楽兵の志願資格を見ても、基本的には年齢、身体等級、犯罪経歴の有無、楽器や該当分野の経験などが条件であり、芸能人としてのイメージ管理が明示的な資格要件になっているわけではない。
それでも今回、民願がここまで注目されたのは、韓国社会で兵役の公平性が極めて敏感な問題だからだろう。軍服務中の有名人をめぐっては、これまでも特別待遇や規律問題に対して厳しい目が注がれてきた。
歌手RAINは兵役中の女優キム・テヒとのデートや外出管理をめぐって、特別待遇ではないかとの批判を浴びた。SE7ENとサンチュは慰問公演後の不適切な行動が発覚し、芸能兵士制度そのものが廃止される決定打になった。G-DRAGONも休暇の多さや軍病院の特別室使用疑惑で非難を受けた。つまり韓国では、有名人兵士の服務はいつも「一般兵との公平性」という物差しで測られてきたのだ。
その文脈に乗れば、チャウヌの税金問題が軍楽隊論争へ飛び火したことも不思議ではない。軍楽隊は対外活動や儀典参加が多く、軍の“顔”として見られやすい。だからこそ、税金問題で大きなイメージ打撃を受けたスターがその位置にとどまることに違和感を抱く声が出るのだ。
チャウヌの130億ウォン納付と謝罪は、法的・行政的な手続きとしてはひと区切りといえるだろう。だが、本当の意味でこの騒動が長引くとすれば、それは芸能界ではなく、兵役という韓国社会で最も敏感な領域においてなのかもしれない。
◇チャウヌ プロフィール
1997年3月30日生まれ。韓国・京畿道出身。2014年に韓国で公開された映画『世界で一番いとしい君へ』で俳優デビューし、その後、現在の所属事務所ファンタジオに練習生として入社。2016年に6人組ボーイズグループASTROのメンバーとして歌手デビューした。俳優としても活躍しており、ドラマ『私のIDはカンナム美人』『新米史官ク・ヘリョン』『女神降臨』『ワンダフルワールド』などに出演。
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