成長過程を見せるだけではない。いまや芸能人の“赤ちゃん”は、商品化の段階にまで踏み込んできた。
俳優シム・ヒョンタクと日本人の妻サヤさんは、息子ハルくんのキャラクター商品販売を始めると明らかにした。
サヤさんは自身のSNSを通じて、もともと絵を描くことが趣味だったこと、そして「息子の商品を作る」ことには慎重な気持ちがあったと説明している。ただ、ハルくんや自身の絵を大切に見てくれる人たちの声に背中を押され、今回の商品化を実現したという。
収益は全額寄付する予定だとも明かした。
デザインにも、ハルくんの成長過程が反映されている。生後100日ごろの“ライオンヘア”、200日ごろの“ロングヘア”、300日ごろの“少年ヘア”といった時期ごとの姿をイラスト化し、商品に落とし込んだという。家族の思い出を形にした、という説明自体は微笑ましい。

だがその一方で、人気を集めた子どもを、グッズというかたちで消費可能なコンテンツへ変えていく流れに見えるのも確かだ。
実際、ハルくんはすでに“ただの芸能人の子ども”ではない。バラエティ番組『スーパーマンが帰ってきた』への出演を通じて大きな注目を集め、初登場から4カ月で関連動画の累計再生数1700万回を突破したとされる。生後9カ月で初めて広告撮影にも参加し、ベビー用柔軟剤ブランドのモデルにも起用された。
複数の広告契約を結び、5億ウォン(約5000万円)規模の収益を上げていると報じるメディアもあった。つまり、ハルくんはすでに“人気のある赤ちゃん”ではなく、広告市場が反応する存在になっているということだ。

この流れは、ハルくん一家だけのものではない。韓国芸能界では近年、子どもそのものがコンテンツとなり、話題と収益の両方を生むケースが増えている。
典型例のひとつが、タレントのパク・スホン一家だろう。娘ジェイちゃんは家族YouTubeなどを通じて高い注目を集め、生後17カ月で広告17本を撮影したことで話題になった。

育児の日常を見せるだけでなく、子どもの存在そのものが“見られる価値”を持ち、その人気がそのまま広告へと接続していく。いわば、赤ちゃんの成長そのものがコンテンツ化されているのだ。
芸能人にとって、「赤ちゃんビジネス」は非常に魅力的な戦略だろう。子どもは無条件に注目を集めやすく、成長そのものが物語になる。視聴者は「今度はどんな姿を見せるのか」と継続的に関心を持ちやすい。
しかも、親である芸能人にとっては、家庭的で人間味のあるイメージを加えることができる。子ども向け商品や生活用品、ファミリー向けブランドとの相性もよく、広告市場でも価値が高い。拡散力、継続性、収益性という点で見れば、赤ちゃんビジネスは非常に強い。
ただ、その強さゆえに、見過ごせないリスクもある。親にとっては“家族の日常の共有”でも、世間から見れば“子どもの商業利用”に映ることがあるからだ。

幼い子どもには、自分の顔や名前、日常がどこまで公開され、どのように消費されるのかを判断する術がない。プライバシーや肖像権の問題、成長後に本人がどう受け止めるのかという問題も避けて通れない。好意的な反応ばかりならまだしも、子どもが過度な注目や誹謗中傷の対象になるリスクもある。
今回、サヤさんが「本来は商品化を考えていなかった」とわざわざ説明し、さらに収益の全額寄付を打ち出したのも、こうした視線を意識してのことだろう。単なる金儲けではない、という線を引いておかなければ、反発を招きかねないことをよくわかっているからだ。
だが逆にいえば、それだけ今の赤ちゃんビジネスが敏感な領域に入っているということでもある。
一発逆転を狙う芸能人ならまだしも、すでに十分な知名度を持つ夫婦でさえ、子どもを“商品”に変える時代になった。微笑ましい家族の記録と、幼い子どもの商業化。その境界線は、今後ますます曖昧になっていくのかもしれない。



