「乳がん認識改善キャンペーン」というタイトルを掲げたイベントだったが、「乳がん」の「に」の字もなかった。
むしろ創刊20周年を記念するとして「20周年」「20年」の「に」ばかりが並んでいたという指摘が相次いでいる。
10月15日、ソウル・鍾路(ジョンロ)区のフォーシーズンズ・ホテル・ソウルでは、ファッション雑誌『W Korea』の第20回乳がん認識向上キャンペーン慈善フォトイベントが開催された。
『W Korea』側は招待状を通じて、「本キャンペーンは乳がんの危険性を広く知らせ、予防と治療に大きな力を添えることを目的としています。そのために特別に準備したパーティーおよび公演にご出席いただき、この意義深い場をさらに輝かせてください」と伝えていた。
多くのスターたちは「乳がん認識改善キャンペーン」として出席したはずだが、この日の会場には「乳がん」の意味を見出しにくかったという声が多い。

公開された写真や映像には、乳がんの認識改善を象徴する「ピンクリボン」は見当たらなかった。代わりに、数多くの芸能人やインフルエンサーが華やかなドレスや高級ブランドで身を飾り、グラスを交わしてパーティーを楽しむ姿ばかりが映っていた。
歌手パク・ジェボムは、女性の身体を露骨に描写した内容を多く含む楽曲『MOMMAE』(“体つき”という意味)を歌った。

乳がん認識改善という本来の趣旨を見出すことが難しく、実際には「彼らだけの社交パーティー」にすぎなかったという指摘が殺到するのも無理はない。がん闘病中の患者は厳しい食事制限や禁酒を強いられることが多く、そうした人々の苦痛を思うべき場で酒宴が繰り広げられたことは、剥奪感や怒りを抱かせる結果となったようだ。
さらに、過去20年間に多くの企業や著名人が協賛・参加してきたにもかかわらず、累計寄付金が11億ウォン(約1億1000万円)にとどまっていることが判明し、実質的な患者支援よりも他の目的に重きを置いているのではないかという疑念が広がっている。
事態の深刻さを意識したのか、『W Korea』側は公式SNSアカウントに掲載していた一部投稿を削除する対応を取ったものの、論争を把握しながらも公式立場の発表や謝罪は行っていない。
『W Korea』の関係者は、本サイト提携メディア『OSEN』の取材に対し、「お答えできません」と短く答えるにとどまった。

関係者によると、この日出席した芸能人たちは無報酬で参加し、趣旨に賛同していたという。しかし、善意で招待に応じた参加者たちは思わぬ騒動の渦中に置かれることになった。
そのなかで祝賀ステージとして『MOMMAE』を歌ったパク・ジェボムは、「正式な乳がんキャンペーンイベントが終わった後のパーティーと公演は、忙しいスケジュールを調整して善意で集まった方々のための場だと理解し、普段通りにパフォーマンスをした。がん患者の方々の中で、私の公演を見て不快または不便に感じられた方がいらっしゃれば申し訳ない。健康を祈っている。私も負傷した状態で善意から無報酬で全力を尽くした。どうかその善意を悪用しないでほしい」と謝罪した。
しかし、この謝罪は、チャリティーイベントの一環として行われた公演でその曲を選んだこと自体が軽率だったという主催側への批判に発展している。

乳がん認識改善を掲げるイベントは多いが、今回の行事がこれほどまでに物議を醸している理由は明白だ。それは「本質」を示せなかったからに他ならない。
「乳がん」を前面に掲げながら、実際には認識改善の要素はなく、むしろ乱発された「乳がん」ハッシュタグが、実際に乳がんと闘う患者たちに屈辱感を与えたとの批判も免れなかった。
イベント関係者たちは、患者への理解と共感を基本に、主催の本質に立ち返り、真の価値と方向性について深く省みる姿勢が求められている。
(記事提供=OSEN)
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