またもK-POPコンサートが突然、中止となった。しかも今回は、開演直前にファンが会場に座っていた状態での告知だった。
歌手カン・ダニエルは現地時間9月6日、米ニュージャージーで公演を行う予定だったが、当日になって突如中止となった。特にカン・ダニエル自身も舞台に立つため会場に到着しており、直接ステージに上がってファンに謝罪の言葉を伝えた。
所属事務所が9月7日に伝えたところによると、、急きょ中止に至った理由は「現地システムの準備不足や予期せぬ運営上の問題」だという。
所属事務所は「安全で完成度の高いステージを提供することが難しいと判断した」とし、「最後の瞬間まで現地側と協議したが、不完全な環境で強行することはファンの皆さまにさらに大きな失礼となるため、やむを得ず中止を決定した」と説明した。

相次ぐK-POPコンサートの中止
最近、カン・ダニエルのように、突然コンサートが中止となるK-POPアーティストが増えている。
例えば、7月11日には、G-DRAGONのタイ・バンコク公演が突如中止された。所属事務所は「記録的な猛暑により、ファンの健康と安全を最優先に考えた措置」と説明した。
また、D-LITEのオーストラリア・メルボルン公演は技術的な理由で中止され、BoAも健康上の理由で8月に予定されていた単独コンサートを取りやめた。4月には、少女時代・テヨンの東京公演が公演2日前に中止となる騒動もあった。
他にも、9月6~7日にソウルワールドカップ競技場で開催される予定だった音楽フェス「2025 HANTEO MUSIC FESTIVAL」の開催が突然延期されるケースもあった。

原因は「猛暑」「技術的な問題」「体調悪化」などそれぞれ異なるが、その背後には、収益構造の不透明さ、無理なスケジュールの拡大、不確かな需要予測といった構造的な問題が横たわっている。
そのため一部の公演関係者や現地プロモーターの間では、「強行開催するより、損失を最小限に抑えるために中止したほうが良い」という認識が密かに広がりつつある。
近年、K-POPアーティストの海外公演におけるギャランティは、天井知らずに高騰しており、現地のプロモーターは収益を合わせるために2万席以上の大型会場を借り、チケット価格も高く設定する。だが需要予測が外れた場合、観客が半分も埋まらず、大きな損失を被ることになる。
このような状況のなか、一部では、水面下でチケットの売れ行きを見ながら公演実施の可否を決めるという、非公式な動きが生まれているのではないかという懸念も広がっている。ただし、これは公式な契約構造や報道で確認された事実ではない。
公演が一度でも中止されると、ファンの失望はもちろん、企画会社やアーティストのブランドにも影響を及ぼす。「チケットを予約しても本当に開催されるのか不安だ」といった不信のなかでは、ファンも心からコンサートを楽しめないだろう。
何よりも、準備不足の発表、繰り返されるスケジュール変更、不透明な進行体制は、やがてK-POP市場全体への不信へとつながりかねない。
楽しみにしていた公演が直前で中止となる失望感は計り知れない。ファンの信頼をどう取り戻すのか、アーティストと運営の真価が厳しく問われている。
(文=スポーツソウル日本版編集部)
■【写真】BLACKPINK、ステージ見えない“視野ゼロ席”を一般席として販売