韓国プロ野球で衝撃の事件だ。チーム内紅白戦で“罰ゲームノック”を受けた投手が利き腕の肩を負傷し、手術と1年近いリハビリを要することになった。
キウム・ヒーローズは8月5日、右腕投手アン・ウジン(25)が右肩の靱帯損傷によって手術を受ける予定であることを発表した。
プロ8年目のアン・ウジンは現在、兵役のため2023年12月より「社会服務要員」として公的機関で勤務している。このため2024年シーズンより戦列を離れており、今季も一軍出場はなく、今年9月17日に召集解除となる予定だ。
コーチが罰ゲーム参加を求めた結果…
ただ8月2日、休日を利用し、フューチャーズチーム(二軍)の本拠地である高陽(コヤン)の国家代表野球訓練場で行われた紅白戦に出場。実戦でのパフォーマンスをチェックする意味で1イニングを投げていた。
しばらく公式戦から離れていたアン・ウジンだが、ピッチングやトレーニングで特に異常はなかったという。ところが、紅白戦終了後に行われた“追加練習”で転倒し、右肩を負傷してしまった。
その追加練習が、紅白戦で敗れたチームに課された「罰ゲームノック」だ。キウム二軍では紅白戦に先立ち、「選手たちの集中力を高めるため」という名目で、敗戦チームに罰ゲームノックを課すことが予め予定されていた。そこでアン・ウジンが利き腕の肩を痛めてしまった。
アン・ウジンは罰ゲームノックが始まる際、自身を除外してほしい旨を要請していたという。ただ、敗戦チームの選手全員が参加しなければならない雰囲気の中、とあるコーチに参加を呼びかけられたことで最終的に加わり、負傷してしまったとのことだ。
球場外野で行われたという罰ゲームノックは決して強度が高くなく、強圧的な雰囲気で行われたわけでもないというが、キウムはアン・ウジンの負傷が“安全管理のずさんさ”によって発生した重大な事案であると受け止めている。
アン・ウジンに参加を呼び掛けたコーチは、負傷してしまったアン・ウジンに対する謝罪と責任感のため、球団に辞任の意思を明らかにしたという。

「負傷防止と安全管理に留意」
アン・ウジンは負傷後、本日(5日)まで計3回にわたり精密検査を受けた。その結果、右肩の肩鎖関節の靭帯損傷が確認され、手術が必要という診断を受けた。検査を担当した専門医たちは、手術後には本来のパフォーマンスを取り戻せるという肯定的な所見を伝えたとされている。
キウムとアン・ウジンは韓国とアメリカで手術病院を検討している。もっとも、手術後は約1年間のリハビリが予想されるため、少なくとも実戦復帰は翌2026年シーズン前半戦の終盤頃と見込まれている。
アン・ウジンは社会服務要員として兵役義務を履行しながらも、復帰後に少しでも早くチームの一員として貢献できるよう、日頃から自主練習を行いコンディションの維持に努めていた。
前出の通り、来月中旬には社会服務要員が終了する。兵役前の2022年には15勝8敗の防御率2.11で勝利数2位タイおよび防御率1位、2023年には9勝7敗も防御率は全体2位の2.39と、国内で韓国人投手屈指の活躍を見せていただけに、“罰ゲームノック”による長期離脱には大きな衝撃が走っている。
キウムは「アン・ウジンの早期回復のため、リハビリ期間中の全面的な支援を惜しまない方針だ。同時に、今後は練習過程での負傷防止と選手の安全管理に一層留意する」と伝えている。

キウムは2025年シーズンの韓国プロ野球KBOリーグで、29勝4分71敗の勝率0.290で10球団中最下位。1位のハンファ・イーグルスとは31.5ゲーム差で、9位の斗山(トゥサン)ベアーズとも14.5ゲーム差離れている。