2020年2月、乗客乗員3711名を乗せた豪華客船が横浜港に入港した。香港で下船した乗客1人に新型コロナウイルスの感染が確認されていたこの船内では、すでに感染が拡大し100人を超える乗客が症状を訴えていた。出動要請を受けたのは災害派遣医療チーム「DMAT(ディーマット)」。地震や洪水などの災害対応のスペシャリストではあるが、未知のウイルスに対応できる経験や訓練はされていない医療チームだった。対策本部で指揮を執るのはDMATを統括する結城英晴(小栗旬)と厚労省の立松信貴(松坂桃李)。船内で対応に当たることになったのは結城とは旧知の医師・仙道行義(窪塚洋介)と、愛する家族を残し、船に乗り込むことを決めたDMAT隊員・真田春人(池松壮亮)たち。彼らはこれまでメディアでは一切報じられることのなかった最前線にいた人々であり、治療法不明の未知のウイルス相手に自らの命を危険に晒しながらも乗客全員を下船させるまで誰1人諦めずに戦い続けた。

13日、『フロントライン』公開初日舞台挨拶が開催され、小栗旬、松坂桃李、池松壮亮、窪塚洋介、森七菜、桜井ユキ、関根光才監督、増本淳プロデューサーが登場した。
主演の小栗は「この日を迎えられて非常に嬉しく思っております」と挨拶。結城英晴(小栗旬)のモデルとなった、神奈川DMAT調整本部長(当時)阿南英明医師からのメッセージが紹介された。
■手紙
小栗旬様 5年前苦しくて、苦しくて、早く終わりたい、早く忘れたい・・・そんな思いでした。
急に悲劇に見舞われた人たちを放置できない、できることはしたいと思いましたが、世界中から注目されて、現場・組織・政治・マスコミ・世間との間で信念がグラつくこともあったのは事実です。でも、撮影現場で小栗さんの後姿を見たとき、完成した映像をみたとき、何度も涙しました。小栗旬さんが 演じてくださった絶対のヒーロー像でない「結城」は心から共感できます。本当に素晴らしい小栗DMATが、改めて本当の「勇気」を呼び戻してくれました。再び危機に直面した時に、大切な仲間と逃げずに最善を模索しようと思います。感謝。
小栗は「素敵なメッセージをいただいて嬉しいです。皆さんは映画の中の闘いを5年前にされていたと思うので、映画にはない部分の大変さもあったでしょうし、それを乗り越えられて今があって。ご自分たちも無事でいただきながら色々な災害に向き合っていっていただきたいなと思っております」と感嘆の思いを語った。
「僕らにも感謝してもらったので、増本さん、企画・プロデュースしてくれて、監督してくれた関根監督も、ありがとうございました。この映画ってまだ敬遠されてしまう方もいると思うんですが、勇気をもらえる映画になっていると思いますし、明日からの生活がまた少し違う色になって過ごしていただけるような作品になっていると思うので、皆さんの勇気となって明日に繋がっていったら嬉しいなと思います。ありがとうございました。」と挨拶し、舞台挨拶を締めくくった。