パリ・サンジェルマン(PSG)がクラブ史上最高のシーズンを締めくくった。韓国代表MFイ・ガンインも確固たるチームの一員として、歴史的瞬間をともにした。
PSGは6月1日(日本時間)、ドイツ・ミュンヘンのアリアンツ・アレーナで行われたUEFAチャンピオンズリーグ決勝でインテルに5-0で圧勝。クラブ史上初のビッグイヤーを手にした。
この日、イ・ガンインはベンチ入りしたが最後までピッチに立つことはなかった。CLでは準々決勝以降5試合連続で出番がなく、チームの優勝に直接貢献する機会はなかった。
もっとも、予想された展開だった。冬の移籍市場でフビチャ・クヴァラツヘリアが加入以降、攻撃陣の主力がウスマヌ・デンベレ、デジレ・ドゥエ、クヴァラツヘリア、ブラッドリー・バルコラらで固まり、イ・ガンインに割って入る余地がなかったからだ。
中盤でもヴィティーニャ、ジョアン・ネヴェス、ファビアン・ルイスなどが安定したパフォーマンスを見せていた。
結局、イ・ガンインはリーグ・アン終盤やカップ戦決勝でも起用されず、事実上の“戦力外状態”でシーズン後半を過ごした。リーグ戦成績は30試合6ゴール6アシストだったが、本人としては決して満足のいくシーズンではなかっただろう。
評価されるべき「優勝メンバー」の価値
それでも、イ・ガンインは2007-08シーズンにマンチェスター・ユナイテッドで優勝したパク・チソン氏以来、17年ぶりにCLトロフィーを掲げた韓国人選手となった。最終盤で出場機会を与えられたなかったとはいえ、リーグフェーズからラウンド16にかけて11試合の出場記録がある。イ・ガンインも“優勝メンバー”として表彰される価値は十分にある。
韓国人選手がCLで優勝するには厳しい条件が伴う。そもそも、欧州でもトップレベルに入るほどのビッグクラブに加わらなければならず、そのうえで試合に出場しなければならない。兵役など外的要因もあるなかで、こうした過程を経て欧州王者となるのは決して簡単なことではない。
何より、今季の欧州ではトッテナムでキャプテンを務める韓国代表FWソン・フンミンもUEFAヨーロッパリーグ(EL)を制覇。UEFAが主管する代表的な両大会で、韓国人選手がいずれも王者に輝くという大きな成果を残した。
イ・ガンインは試合出場こそなかったが、優勝セレモニーでは明るい表情でチームメイトたちと喜びを分かち合った。だが、現地中継映像でイ・ガンインのメダル授与の瞬間にカメラが切り替えられたことが「差別的だ」とし、韓国国内ではファンから落胆の声も上がっている。

イ・ガンインとPSGの関係は今季限りで終わる可能性が高いとされる。出場機会の減少で今冬以降は移籍の噂が絶えなかったが、すでにアーセナルやナポリ、ビジャレアルなど複数クラブが獲得に関心を示しており、来季は新天地でプレーする公算が大きい。
大きな異変がない限り、イ・ガンインは新たなチームでプレーするものとみられる。
◇イ・ガンイン プロフィール
2001年2月19日生まれ。韓国・仁川広域市出身。身長174cm。大韓民国のサッカー選手で、サッカー大韓民国代表。幼少期に出演したKBSサッカーバラエティ番組『飛べ、シュットリ』で類まれなる才能を発揮し、“神童”として一躍注目を集めた。2011年にスペインに渡りバレンシア下部組織に入団し、2018年10月にトップチームで公式戦デビュー。2021年夏にフリーでマジョルカに加入、2023年夏にフランスのパリ・サンジェルマンに完全移籍。マジョルカ時代の同僚である日本代表MF久保建英(レアル・ソシエダ)とは同じ2001年生まれで、普段から仲が良いことで知られている。
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