大谷翔平が“変化球”を投げた。投手としての復帰時期はまだ誰にもわからないが、“二刀流”として再びマウンドに立つ日が近づいているのかもしれない。
『MLB.com』は5月23日(日本時間)、大谷がスライダーやカーブを投げ始めたとして「オオタニの投球プログラムの進行スピードが速まっている」と伝えた。
大谷は昨季に続き、今季も打者としてのみ出場を続けている。2023年9月に右肘のトミー・ジョン手術を受けた大谷は、昨年のポストシーズンで盗塁時に左肩を痛め、同部位も手術を行っていた。
肩の負傷がなければ、状況は違ったかもしれない。リハビリは着実にこなしているとはいえ、そのスピードは決して速くない。意図的に“調節”しているようにも見える。
大谷は、最近、ブルペン投球で50級程度を消化している。22日のアリゾナ・ダイヤモンドバックス戦に行ったブルペン投球では、ストレートに加えてスライダーやカーブを投げる姿を見せたが、これは“重大な変化”と言えるだろう。
変化球を投げるということは、それだけ腕の調子が良いという意味にも捉えられるからだ。投手復帰がまた一歩近づいたとも分析できる。
「オオタニは“マンガ野球”」
ただし、デーブ・ロバーツ監督は依然として慎重な姿勢を示す。「どうなるかはわからないが、よくなっている。我々が期待した通りに、上手く進むことを願っている。いつ打者相手に投げられるかはわからない。見守っていきたい」。そして、「25日のニューヨーク遠征で再びブルペン投球がある。そこでもう少し進展があるかもしれない。どんな姿を見せるのか、チェックしなければならない」と伝えた。
アンドリュー・フリードマン編成本部長も、「左肩の手術を受けたので、投球の強度に気を使わなければならない。強度を高めるときは慎重である必要がある。体の調子が良いときに、強度も上げることができる。再発せず、最後まで進むことが重要だ」と明らかにした。
大谷が自身の持つ球種をすべて投げられるようになったときが、“投手復帰”のタイミング。これがドジャースの方針だ。現在はブルペン投球にとどまっているが、ライブBPを通じて打者を相手にしてこそ、次のステップが見えてくる。
『MLB.com』は「大谷が打者相手に投げ始めれば、その後のスケジュールが見えるだろう。ドジャースはマイナーでのリハビリ登板を考えていない。シミュレーションゲームの後、すぐにメジャー復帰するイメージを描いている」と見通した。

2018年にメジャーへ渡った大谷は、“二刀流”としてセンセーショナルな活躍を見せた。そのパフォーマンスは、レジェンドのベーブ・ルースがたびたび引き合いに出されるほどだった。
大谷はメジャー史上初めて規定打数と規定投球回を同時に達成した選手だ。40~50本のホームランを打ちながら、10~15勝を同時に作ることができる。「マンガ野球」というほかにない。
だからこそ、7億ドルという天文学的な契約を実現できた。逆に言えば、“二刀流”だからこそ可能な金額だったとも言える。
ひとまず、現時点では片方が“封印状態”だが、いつになれば完全な“二刀流スター”の姿に戻るだろうか。今の状況では、まだ多くの時間が必要なように見える。