韓国ドラマ『バニーとお兄さんたち』『四季の春~恋めぐる僕らの季節~』『24時ヘルスクラブ』(原題)など、3つの韓国テレビ局が放送する青春ドラマが軒並み視聴率0%、1%台を記録し、苦戦を強いられている。
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最近、地上波3局のドラマ視聴率が“悪い意味で”異常な兆しを見せている。
テレビ局MBCのドラマ『バニーとお兄さんたち』とSBSのドラマ『四季の春~恋めぐる僕らの季節~』は揃って0.7%という1%未満の視聴率を記録。KBS 2TVのドラマ『24時ヘルスクラブ』は1.7%でかろうじて1%台だが、やはり低水準だ。


テレビドラマが「危機」にあるという声は以前からあった。それでも大手テレビ局「SBS」のメイン枠である時代劇『帰宮』(原題)が8%台の視聴率を維持し、辛うじて存在感を示している状況ではある。
しかし、放送時間帯が異なるとはいえ、地上波3局の青春ドラマが一斉に0~1%の視聴率しか出せていないのは、極めて異例だ。 奇しくも『バニーとお兄さんたち』『四季の春~恋めぐる僕らの季節~』『24時ヘルスクラブ』はいずれも青春をテーマにしたラブコメ作品である。
『バニーとお兄さんたち』は同名のウェブ漫画を原作としたドラマで、“黒歴史”となってしまった初恋後、突然現れた魅力的な男性たちと関わることになった主人公バニーの恋愛模様を描き、『四季の春~恋めぐる僕らの季節~』は、K-POP最高のバンドグループ「四季」の人気メンバーであるサゲがグループから脱退し、波乱万丈な大学生活のなかで運命的に出会ったボムとともに、再起を遂げていく青春音楽ロマンス作品。
『24時ヘルスクラブ』は、熱血トレーナーのヒョンジュンが、悩み多き初心者会員たちの人生をパワフルに変えていくドキドキの“筋肉”成長ロマンス・コメディを標榜している。
視聴率がとれないワケ
このように20代の青春ラブコメを描いたドラマが低迷している現状は、テレビ視聴層が完全に中高年にシフトしたことを示している。
10代~20代、広く見ても30代前半までの若年層にとって、テレビはもはや主要な視聴メディアではなく、OTT(動画配信サービス)やユーチューブが主流となっている。よって、リアルタイムでドラマを視聴する主な層は中高年が大半を占める。40代以上で、かつ既婚者であることの多いこの層にとっては、いくら原作が人気でも青春ロマンスや成長ストーリーというジャンルは「見づらい」と感じられ、結果的に「敗北確定」となってしまっているわけだ。
一方で、視聴率はもはや伝統的な最終評価指標ではないという見方もある。
実際、昨年話になったドラマ『ソンジェ背負って走れ』はシンドローム級の人気を誇ったにもかかわらず、最高視聴率は5.8%にとどまった。それでも、20代女性視聴者を中心に絶大な話題性を誇った。
現在放送中のドラマ『いつかは賢いレジデント生活』も、視聴率は6%前後ながら、話題性ではトップを記録している。

とはいっても、同時期に地上波で放送されている青春ドラマが軒並み「不振」を超えて「敗北確定」とまで見なされている現状については、再考が必要だ。
競合作に押されて編成運が悪かった作品は過去にも存在したが、同時間帯に競合作すらないにもかかわらず、地上波作品が一斉に0%台の視聴率に沈むというのは前例がない。
比較的若い出演者が中心のジャンルであることから、青春ドラマは新人俳優や新人演出家の登竜門とも見なされてきた。
だが、機能を失ったジャンルとして衰退していくなか、スター俳優や著名クリエイターへの依存度、大規模な製作費によるプロモーションへの傾倒はさらに強まるとみられる。
このように地上波ドラマの不振が長期化することで、テレビドラマそのものの競争力が無意味なものになりつつあるのではないかという懸念も高まっているのが現状だ。
(記事提供=OSEN)
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