5G対応iPhoneは2020年に投入されるのか? | RBB TODAY

5G対応iPhoneは2020年に投入されるのか?

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アップルの潜在力が5G市場に大きな影響与える



 国内3キャリアの5Gサービス発表会も終わり、また海外では大手メーカーの2020年上半期新製品もほぼ発表された。今年は5Gを開始するキャリアが昨年よりも増え、先進国では5Gサービスへの乗り換えが大きく進む年となるだろう。スマートフォンシェア上位メーカーは1社を除き5Gスマートフォンを多数投入しており、消費者には5Gスマートフォンを自由に選ぶ環境も整いつつある。

 だがスマートフォンシェア3位のアップルはまだ5Gスマートフォンを出していない。アップルは毎年9月に新製品を投入することから、現時点ですでに各メーカーが競争を始めている5Gスマートフォン市場で全く存在感を示せていない。しかし一方では各国の5Gエリアはまだ狭く、今すぐ5Gスマートフォンに飛びつく必要性も薄いのが実情だ。

 2019年4月から本格的に始まったNR方式による5Gサービスの世界の総加入者数は、エリクソンによると2019年末時点で約1300万に達し、端末出荷台数もほぼ同数の1300万台だったとのこと。これが2020年末には約10倍の1億6000万台になると推測されている。この中にはスマートフォン以外の端末も含まれるが、5Gが立ち上がったばかりの現状からするとほぼすべてがスマートフォンと考えられるだろう。3Gや4Gを含む全スマートフォンの出荷台数は複数の調査会社によると10億台半ばになると予想されるので、2020年の5Gスマートフォンの出荷台数は全体の約1/10になる。つまり2020年は5Gスマートフォン市場が早くも活気づく年になろうとしているのだ。

 2019年末の5Gスマートフォン市場のシェアは、OMDIAの調査によるとサムスン47%、ファーウェイ27%、Vivo 12%、OPPO 5%、その他9%だった。その他のメーカーはシャオミ、LG、ZTEなどだ。そしてこれら全メーカーが2020年に入ってからすでに5Gスマートフォンを発表済みあるいは発表予定としている。2020年はどのメーカーも5Gスマートフォンをハイエンドモデルだけではなく、ミッドレンジモデルにまで引き下げ5G端末の比率を高めようとしているのだ。

 2020年早々に5Gスマートフォンが次々と出ている状況を見ると、アップルの出遅れは大いに気になってしまう。しかしアップルの潜在力は5G市場に大きな影響を与える力を持っている。現時点で10億弱と推定されるiPhoneユーザーの1割が5G版iPhoneに買い替えるだけでも、台数は1億台に達する。つまりエリクソンの推定値の過半数がiPhoneになるという計算だ。しかも日本を含めiPhoneユーザーの多い国では、5G版iPhoneが出てくるのを待って5Gへは乗り換えようと今から考えている消費者も多いだろう。

 5Gサービスの環境が整ったところで5G版iPhoneを投入すれば、アップルが5G端末市場で一気にシェアトップに立つことは可能だ。だからといってキャリアのカバレッジがどこまで広がっているかはさておき、「右も左も5Gスマホ」という状況になる2020年後半に5G版iPhoneを投入しなければ消費者のiPhone離れ、あるいはiPhoneの買い控えが起きることは間違いない。つまり今年9月にアップルは何としてでも5G版iPhoneを出さねばならないと考えられるのだ。


従来のiPhoneよりも設計が困難な新モデル



 アップルは4Gでインテルのモデムを採用し、5Gモデムの完成を待っていたがインテルは断念、アップルがその資産を引き継いだ。それと同時にクアルコムとの係争を和解。この意味はアップルが5Gモデムをクアルコム製に乗り換えるということだ。すでに多数の実績があるクアルコムのモデムがあれば、5G版iPhoneの開発は大きく前進する。

 とはいえ5Gでは従来のアンテナ設計技術ではカバーできないミリ波を利用する。そのミリ波はアメリカの主要キャリアが採用していることから対応は必須だ。またアップルの独自チップセットからクアルコム5Gモデムのコントロールもよりシビアな設計が必要だろう。アップルは2010年にiPhone 4のアンテナ問題に直面した歴史があり、全く新しい通信技術を搭載する5G版iPhoneでは通信周りのトラブルをゼロにしなくてはならない。

 つまり5G版iPhoneは今年9月に発表されると考えられるが、その開発はこれまでのiPhoneよりもかなり困難を極める。最良のシナリオは9月に5G版iPhoneが複数発売されることだが、そうでない場合は4G版と5G版の新製品が「発表」され、5G版のみ数か月遅れで発売、というスケジュールもありうるかもしれない。

 2020年は新型コロナウィルスの影響で世界的に経済も停滞、5Gについても各国で消費者の乗り換えのモチベーションは大幅に下がるかもしれない。さらに通信キャリアの5Gへの投資も当初の予定より遅延が見られる可能性も高い。アップルには5G版iPhoneを投入する猶予がある状況だがあ、「iPhone以外はみな5G」という状況になることは避けなくてはならないだろう。6月にアップルが開催する「WWDC」で5G版iPhoneについてどこまで言及がされるのか、そこである程度の答えが見えてくるのではないだろうか。

(TEXT:山根康広)
《RBB TODAY》

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