門外不出の富岳三十六景 全47作品が初台にやってきた! NTT東日本が文化財のデジタルアーカイブ化を開始 2ページ目 | RBB TODAY
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門外不出の富岳三十六景 全47作品が初台にやってきた! NTT東日本が文化財のデジタルアーカイブ化を開始

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富岳三十六景 凱風快晴
  • 富岳三十六景 凱風快晴
  • NTT東日本 営業戦略推進室 部長 酒井大雅氏
  • 担い手が不足している文化芸術
  • NTT東日本の通信ビルにアーカイブを保存するメリット
  • 富岳三十六景 凱風快晴
  • 富岳三十六景 武州玉川
  • 富岳三十六景 武州玉川
  • 富岳三十六景 東海道金谷の不二

■まるで本物の版画を見ているような、緻密な再現描写に感動!

 体験型美術展「Digital×北斎【序章】」では、山梨県立博物館に収蔵された「富岳三十六景」の全47作品を、印刷物やモニター展示などで見ることができる。版画は紫外線や二酸化炭素に弱いことから、同博物館でも常設で展示していないとのことで、それを気軽に見ることができるのはデジタルアーカイブ化の一つの強みと言えそうだ。

 なお、デジタルアーカイブ化にあたっては、3次元質感画像処理技術、および原作品との比較校正によって、和紙の繊維1本までを忠実に再現している。具体的には「スキャメラ」と呼ばれるスキャナーとカメラを一体化した機材を用い、複数の光源によって保存した画像を合成し、原作品の表面の凹凸なども表現しているとのことだ。

 例えば、“赤富士”の通称で知られている「凱風快晴」は、近づいて見ると雲の部分に版を押し付けたときの刷りの木目が浮き出ており、独特の質感を醸し出しているのが分かる。

富岳三十六景 凱風快晴

富岳三十六景 凱風快晴

 「武州玉川」では、空摺――あえて色を付けずに摺ることで木目を出して、その凹凸で多摩川の流れを表現している、摺師の技法までを見ることができる。

富岳三十六景 武州玉川

富岳三十六景 武州玉川

 「東海道金谷の不二」では、画集などでは潰れてしまっているような、細かい水しぶきなどもルーペ越しに見ることができた。

富岳三十六景 東海道金谷の不二

富岳三十六景 東海道金谷の不二

 会場では“体験型”美術展の名にふさわしい、モーションキャプチャーと連動した展示も行われていた。

 「神奈川沖浪裏」では人が近づくのに合わせて、海原がこちらに迫ってくるかのように映像を表示。まるで絵の世界に迷い込んだような体験ができる。



 また、クロード・モネ「日傘の女」では、絵を手であおぐとプロジェクションマッピングによって風が吹き、ドレスが揺れるという演出がされていた。これはどちらから風が吹いているように描かれているのか、作者の意図を具体的に見せるための演出だという。



■名作の数々が身近にある日常

 「Digital×北斎【序章】」では山梨県立博物館とのコラボが実現した。酒井氏によると、例えば作品を収蔵している他の美術館などを、“北斎”を軸にデジタルでつなげるような取り組みも検討しているという。

 教育の現場で地元の文化芸術を伝える際に、テクノロジーによる演出で学生に興味を持ってもらう。病院の視聴覚室で、長期入院している方に本物のアートを見てもらうなど……。さまざまな展開をまさに今模索しているという同プロジェクト。3年後には事業モデルを確立させて、世界にも展開していきたいと酒井氏は話していた。

 文化財を保存するだけでなく、それを活用することで、新たな観客とマーケットを生み出す。いち観客としても、いち日本国民としても興味深い取り組みとなりそうだ。
《とびた》
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