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MWCで体験!世界の5G技術はここまで進んでいた

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今年のMWC会場は5G一色に染まった
  • 今年のMWC会場は5G一色に染まった
  • クアルコムのブースには5Gスマホの体験展示が並んだ
  • サムスンが5G対応のGalaxy S10 5Gを発表した
  • 完成度はなかなかのもの。これなら発売と同時に使ってみたくなる
  • エリクソンのブースでは5G対応の基地局機器が所狭しと並び、大いに注目されていた
  • エリクソンとボーダフォンのブースを5Gでつないだライブ演奏のデモ
  • ボーダフォンのブースでは5Gの実証実験を公開。バルセロナの街に走らせた車から5Gネットワークを使って会場に映像を送り届けた
  • ボーダフォンブースのデモの様子
 エリクソンにノキア、ファーウェイ、ZTEなど5Gの通信網の担い手も準備万端だ。それぞれのブースに5G対応の基地局設備やアンテナの実機を並べるほか、MWCの会場内にミリ波の試験電波を飛ばして実用例のデモンストレーションを見せていた。

エリクソンのブースでは5G対応の基地局機器が所狭しと並び、大いに注目されていた


 欧州の通信キャリア大手であるボーダフォンは、エリクソンとタッグを組んでブース内で5Gに関連する華やかな2つのデモンストレーションを行っていた。ひとつはロックバンドの遠隔ライブ演奏。MWC会場内の離れた位置に出展する各社を5Gのネットワークで結んで、ボーカルとギター、アコースティックギターにドラムスの演奏の音をピタリと遅延なく同期させる。集まった来場者に向けて、音のズレを感じることなく心地よく演奏するプレーヤーの様子をスクリーンに映してみせた。

エリクソンとボーダフォンのブースを5Gでつないだライブ演奏のデモ


 おそらく4G LTEのネットワークで同様のことをやろうとすると、音声までは遅延を抑えながら飛ばせても、映像がコマ落ちしたり、リップシンク(口元の動き)が派手にズレてしまうだろう。

 同様の遠隔演奏の展示は、日本からMWCに出展したNTTドコモも実施していた。こちらは自社のブース内の離れた場所で演奏するボーカルとギターの音と映像を同期させるというところまではエリクソンとボーダフォンのデモによく似ているが、NTTドコモには最先端のテレプレゼンス技術「Kirari!(キラリ)」がある。映像と音によって、没入感あふれるリアルな空間をつくり出す独自技術の総称だ。

ボーダフォンのブースでは5Gの実証実験を公開。バルセロナの街に走らせた車から5Gネットワークを使って会場に映像を送り届けた


Kirari!の映像技術を使ったライブ演奏を単独で行った


 今回はギタリストが演奏するステージの隣に、そこにはいないボーカリストの姿をホログラフィックのように浮かび上がらせるというデモを実施した。そのリアルさにMWCの来場者の多くが思わず足を止めていた。

ボーダフォンブースのデモの様子


 ボーカリストの本当の姿はステージの隣の仮設スタジオの中。その姿を捉えた映像を、ステージの手前に垂らされている半透明のスクリーンにプロジェクターを使って背景を合成した映像を投写、再現しているという種明かしだ。演奏を見続けていると次第に本当にそこにボーカリストがいるように感じられてくるほど、音と映像の同期がきちんと取れている。音声信号の遅延を最小化するために、ヤマハが開発を進める音声信号を遠隔伝送をスムーズに行うバッファリング処理技術「NetDuetto(ネットデュエット)」も使われている。

 筆者もこの展示についてはかなり驚かされたが、実は現時点で5Gの通信が使われているのは全体の映像・音楽配信システムの中の一部である。ドコモの展示の場合は、ボーカリストが歌うブースからステージを結ぶ10m前後を無線でつなぐためのものであり、現状では長距離に渡る通信の一部を光とメタルケーブルによる有線接続と併用しながら実現している段階だ。

日本の通信キャリアはNTTドコモが出展


 今回のデモで使われていた5Gのミリ波の電波は、もともと高速・大容量のデータ通信を実現できるという特徴を備えてはいるものの、直進性が強いため建物などに遮られた場合などに通信の死角が生まれやすいという弱点もある。スモールセル基地局を細かく配置しながら抜け目のないミリ波の5Gネットワークを構築しつつ、周波数が低く、ミリ波ほどの高速性能はないものの4G LTEとの互換性も高い「sub-6」の5G電波を併用したり、4GやWi-Fiとのハンドオーバーをスムーズにできるネットワーク環境を構築して、ユーザーに不便を感じさせない現実的な5G環境を実現していくことが、これから5Gの本格的な商用化を目指すに当たって大きな課題となるだろう。

 かたや、日本ではまだ4月まで通信キャリアが使用できる5Gの周波数帯の割り当てが決定していないこともあり、今年のMWCで大いに盛り上がった5Gの熱狂を、どうしても一歩引いた目線で見ざるを得ないところがある。通信キャリアやスマホを手がけるメーカーは、現時点でシミュレーションを着実に重ねて、2020年の商用化の際にはぜひロケットスタートを成功させてほしいと思う。

《山本 敦》
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