ナンジャタウンでHoloLens「パックマンで追いかけっこした午後」 2ページ目 | RBB TODAY

ナンジャタウンでHoloLens「パックマンで追いかけっこした午後」

HoloLensはマイクロソフトが作り上げたMRゴーグル。先日、このHoloLensを使ったアトラクションを遊びに、池袋のナンジャタウンに行ってきた。

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開発に携わったお二人。蚊取り大作戦の入り口で
  • 開発に携わったお二人。蚊取り大作戦の入り口で
  • MRを通じて現実世界でパックマンが遊べる「PAC IN TOWN」
  • 係員の指示に従ってゴーグルの位置を調節
  • 開始位置(ARのマーカー)に立ってマーカーを認識すれば準備完了
  • 筆者も体験した
  • ゲームプレイのために広い空間が確保されている。奥のディスプレイには、実際のプレイヤーの視界が表示される
  • プレイ中の様子。迷路の壁は青色だ
  • プレイ中の様子。迷路の壁は青色だ

パックマンや蚊取りがナンジャタウンにやってきた理由


 「PACK IN TOWN」「一網打尽!パッチン!蚊取り大作戦」がナンジャタウンに登場するまでの話を開発の方に聞くことができたので、紹介したい。話を聞いたのは、バンダイナムコスタジオ 技術統括本部 技術本部 技術企画部 イノベーション課
本山 博文氏と、ナムコ IP営業本部 IPマーケティング企画部 プロデュース第1チーム アシスタントマネージャー 森嶋伸幸氏。

開発に携わったお二人。蚊取り大作戦の入り口で
開発に携わったお二人。蚊取り大作戦の入り口で


【森嶋氏】:このプロジェクト自体は2016年、MRを使ってナムコで何かをやっていきましょうということで始まったものです。技術的な課題を解決するために、研究室内だけで考えるのではなく、実際にお客さんの動きを見ながらやっていければいいよねと、昨年の春ぐらいからナンジャタウンのなかで導入するということで動いていました。「蚊取り」でいきましょう、ということが最初に決まって、本当は蚊取りなので夏にデビューさせたかったのですが、いろいろな事情がありまして、今年2月になってしまいました。

 パックマンの方は、昨年の9月にオーストリアで「アルスエレクロトニカ」というアートの祭典がありまして、2017年のテーマがなんと「AI」でした。パックマンは、ゲームAIの先駆けと言われているので、ピッタリじゃないか!ということで、まずそこに出展しました。コンセプトは「街の中でパックマンをやったらどうなるか?」。「PACK IN TOWN」というわけです。8メートル×8メートルのスペースで遊ぶというものでした。

【本山氏】:我々は元々、エンタメの場を広げていきたいという考えを持っています。ナンジャタウンや他のゲームセンター、その中に限らず、どこでもエンタメが楽しめるようにしていきたいよね、という思いです。ナンジャタウンというのは街を模しているアミューズメントパークなので、そのなかで、疑似的に街に出たときにどうなるんだろうという実験ができます。まずはこの管理された環境で、本当に街に出て行った時のシミュレーションができればと思っています。

 今はナンジャタウン内のみですが、たとえば次はサンシャイン全体を使って遊べるようなものにしたいとか、いろいろとアイデアはあります。HoloLensはそういうこともできるデバイスだと考えています。

森嶋氏(左)と本山氏(右)
森嶋氏(左)と本山氏(右)


ーーいつごろ「HoloLens」を見て、どういうことに使っていこうと考えたんですか?

【森嶋氏】:ナムコとバンダイナムコスタジオではちょっとタイミングが違っていて、スタジオはだいぶ早い段階で動いています。

【本山氏】:2015年1月にHoloLensが発表されたんですが、それを見た瞬間、これは未来だと思いました。我々はVRも早かったんですが、とにかく新しいものが出たらすぐに取り入れることをモットーにしています。初めはデバイスがすぐに入手できなかったので、スペックを見ながら何ができるかを考えていました。デバイスを入手してからはずっと研究しているので、継続して3年前からやっていることになります。

【森嶋氏】:もうすぐ日本でも製品が手に入るという段階で、手に入ったらすぐにアトラクションとか、お客さんに楽しんでもらえるようにしたいよねという感じで、プロジェクトが始まりましたね。

【本山氏】:2016年の夏ぐらいには、ナムコとバンナムで一緒にワークショップをやってましたね。こんなことしたいとか企画書を書いて、入手できたら、即やろうという感じで。ちなみに世界でもHoloLensの実用例は、今は建築現場とか実用的なところでばかり使われてまして、エンタメで使っている例はほかにあまりないんです。この間マイクロソフトの本社の人が見学に来て、楽しんでくれて「スーパークールだ」と喜んで帰っていきました。

森嶋氏(左)と本山氏(右)

今後のMRコンテンツは?


【森嶋氏】:今後のコンテンツとしては、我々にはナンジャタウンがあるので、街中でたとえばゴーストバスターズみたいにお化けと対決するとか、いろいろなコンテンツが考えられると思います。ナンジャタウンはもともと街を作りこんでいるので、これを活かしてやっていけると思います。

 VRは流行っていて、我々も取り組んでいますけど、CGで映像を作っています。CGでリアルな映像を作ることはもちろん可能なんですけど、まったく別世界になってしまう。MRでは、普段慣れ親しんでいる街での新しい体験になるので、逆に新鮮なのかなと思います。我々ナムコは基本、場を使ったビジネスをやっている会社なので、その場の特性をうまく活かして、そこにしかないものを使って新しい体験を提供していくというようなことには、VRよりもMRのほうがいいんじゃないかなという感触です。

【本山氏】:MR、VRどちらもそれぞれの面白さがあると思います。

【森嶋氏】:あと、屋外にも持っていきたいですね。

【本山氏】:ハリウッド映画みたいに現実の世界の中にCGがあって、新しい世界を作っていくようなものがどんどんできていくと思います。

ーーイングレスみたいな感じでしょうか

【本山氏】:イングレスは自分のスマホのスクリーンを見ながらプレイしますが、MRであれば、みんなが同じ映像を見てプレイすることができます。目を合わせてコミュニケーションできたり、より面白い体験ができ、より入り込めると思います。

【森嶋氏】:HoloLensの場合、動き回れますからね。装着したまま動けるというのが大きな利点です。VRでも動けるんですが、ゆっくりじゃないと危ない。自分の体がどの位置にあるのかもわからないし。MRの場合は、周囲の現実世界を見ることができながら、新しい世界を見せていくことができる。街に出てイングレスというようなことも楽しくできる。一緒にいるプレイヤーの姿も目で見るので、ノンバーバルな情報として得ることができて、プログラム的ではない視覚体験になる。そういう意味でMRはよりエンターテイメントに近いのかと。

MRならもっと誰かと仲良くなれる?


【本山氏】:オーストリアでお客さんから言われたのが、実際の街のなかだと知らない人には話しかけづらい。でも、同じデジタルの世界にいると、それがみんな仲間に思えて、自然と会話が発生したと。これは発見でした。ナンジャタウンでも、お客さんが集まって何かするということが楽しくできるんじゃないかと思っています。

【森嶋氏】:「PACK IN TOWN」ですが、実はアルスエレクトロニカに出したものと、ちょっと違うんです。アルスエレクトロニカに出したものは、他の人とハイタッチをするというアクションも取り入れていました。ハイタッチによってキャラクターが変わるというもので、それをコミュニケーションにしている。ナンジャタウンの場合、それではルールが難しくなるので、みんながパックマンで、みんなでドットを食べていくという仕様にしています。

 先ほどの話のように、デジタル世界では知らない人とコミュニケーションしやすくなるという面があります。そういう要素は日本でも取り入れたくて、ナンジャタウンのものも、今後バージョンを上げていくなかで、ボディコミュニケーションが取れるようにしていきたいなと思っています。知らない人と遊んだという体験を提供できれば、家庭向けのゲーム機などと違う要素として、この場所に行こうという動機付けにもなるのかなと。

【本山氏】:我々も今回が初めてだったので、やってみなきゃわからないというのがあったんですが、やってみたことによって、次はこうしようとかいろんな考えがどんどん浮かんできています。

【森嶋氏】:次はこうしたいよねというようなことは、出すからこそ浮かんでくるという感じです。出さずに、完璧なものを作ろうと研究を続けて、結局、出せなかったというのじゃもったいない。我々グループでは、技術力がある会社があり、それを試す場所を持っているので、まだ研究段階でも出して、お客さんのフィードバックをすぐに戻して改良みたいなことができるのも、グループの利点なのかなと思います。

繰り返される歴史


ーーブラッシュアップばかり繰り返して、なかなか表に出せないというのはよくある話ですよね

【本山氏】:きりがなくなってくるんですよね。現在の発展途上のMRに完璧主義を求めても、そもそもハードの視界が狭いとか、まだ改善点はあるので。そのなかでどうやって面白いことができるかと考えてゲームを作っています。これはまさに最初のパックマンを作ったときの感覚です。初代パックマンはハードウェアの性能も低く、粗いディスプレイ表示でドットでキャラを表現し、あの制約のなかで一生懸命作った結果です。今回の「PAC IN TOWN」も、まだ未熟なハードのなかで面白いものは何かと追及しています。未熟であるなかでも早く世の中に出して、フィードバックを受けて改善して、という繰り返しですね。

ーー昔、遊んでいたゲームが現在の技術で蘇ってくると感慨深いものがあります

【森嶋氏】:本山さんが言っていたように、同じだと思うんですよ。昔はコンピュータの性能とかディスプレイの表示能力も低くて、限られたもののなかで創造して、お客様がそれを脳内で補っていく。今、コンピュータの技術も発達して、映像も美しく表示できるようになりました。しかし、新しい技術はまだ未熟な部分があって、昔、挑戦していたのと同じことを新しい技術でまたやっているだけなのかな?という感覚があります。

 HoloLensにしても、視界すべてをホログラムで表示できるわけではない。そのなかで、こういうことができるというのをお見せすることはできる。足りない部分は人の想像力で補ってもらう。そして、こうなればいいのに、というユーザーからの声を受けて、われわれはまた進化させていく、そういうスパイラルなのではないかと思っています。

HoloLensの開く未来


 ARコンテンツを楽しませてもらったが、HoloLensを駆動しているのはフルスペックのWindows10だという。この汎用性は大きい。ゴーグルなのでディスプレイ搭載であり、その気になれば、さまざまなアプリケーションを使うことができるだろう。音声入力でスムーズにコマンド入力できるインターフェースなどがあれば、一部の人にとってはスマホの次に来るデバイスになれる可能性も持っているのではないだろうか。


※リピート率8割超えのVR施設!「VR ZONE SHINJUKU」体験レポート
《一条 真人》

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