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インバウンド接客に“ロボット”を活用

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中国は国際免許書に対応しないため、まずは台湾と香港からの訪日客への対応をはじめた
  • 中国は国際免許書に対応しないため、まずは台湾と香港からの訪日客への対応をはじめた
  • 臨空豊崎営業所には1日に約300組の利用者が訪れるが、多い時にはその8割を訪日客が占めるという
  • 多言語対応スタッフの手がふさがっている場合、営業所を訪れた訪日客は、まずPepprからの案内を受けることになる
【記事のポイント】
▼訪日観光客の急増で、接客業務で多言語スタッフの不足が深刻化する
▼接客における情報連絡は、多言語対応するロボットが肩代わりできる
▼コミュニケーションロボット導入は、設置スペースの準備が重要


■インバウンド急増に対応できない接客現場

 沖縄における海外からの入域観光客数が急速に増えている。15年度における外国人観光客数は167万300人。13年度の62万7200に比べると、実に3倍近い伸び率となる。その恩恵は県内の事業者にとって大きなものだが、一方で問題となっているのが人手不足だ。ホテルや飲食店、コンビニ、コールセンターなど、訪日観光客への接客が必要なさまざまなシーンで多言語を話せるスタッフが足りていない。

 沖縄本島に5か所の営業所を持つOTSレンタカーも、そんな訪日観光客への対応に苦心している事業者のひとつだ。同社ではおよそ10年前から台湾に営業所を設け、インバウンド事業に積極的に取り組んできた。現在では台湾に加えて、香港やシンガポールにも予約センターを設置。こうした取り組みもあって、本店となる臨空豊崎営業所には平均すると1日200組の訪日観光客が訪れる。しかし、同営業所に所属する多言語対応できるスタッフは3人のため、いずれかひとりが店舗にいられるように、シフトを組んで対応しているのが現状だ。

 OTSレンタカーマネージャーの坂野英光氏によると、やはり訪日観光客を相手にする方が、日本人への接客よりも時間がかかるという。レンタカーにおける訪日観光客への接客業務では、右ハンドルなど国によって変わる交通ルール、ガソリンスタンドの給油ノズルの色分け、保険についての詳細など説明すべきことは多い。それには1組あたり15分から20分程度の時間が必要だという。

「訪日観光客に向けては、以前から多言語の冊子を配るなどの対応を行なっていました。ただ、これは日本の方も同じなのですが、冊子を渡しても読んでくれない方が多いんです。事故を防ぐためには、複数の手段で情報を伝える必要がありました」


■訪日観光客への情報発信の有効な手段に

 接客業務での人手不足を解消するために、OTSレンタカーが注目したのがコミュニケーションロボットだった。16年1月には台湾と香港からの訪日観光客に対応すべく、広東語が話せるPepperを臨空豊崎営業所に導入。送迎バスで訪れた訪日観光客をPepperが出迎え、交通ルールの説明などを行なっている。これによって特に海外から来る飛行機の到着便が重なる混雑時などには、接客スタッフの労力を軽減できたという。

「Pepperが話していると子供が興味を持ってくれるので、いっしょに集まった大人もPepperの話を聞いてくれます。自動チェックインなどのシステムができても、接客の部分は人に頼る部分が多かったので、そのサポートをするPepperの存在は大きいですね」

 ただ、訪日観光客は今後も増え続けることが予測されるため、まだまだ人手不足の解消までは至っていないという。解決策としてはPepperの台数を増やすことも考えられるが、「Pepperの設置には場所が必要なので、狭い営業所では対応が難しい」とのこと。複数の言語に対応するにはソフトの切り替えが必要なため、理想を言えばひとつの言語ごとに、Pepperが1台ずついるのが望ましいのだが……。

 こうした状況に対応するため、同社ではタブレットの導入なども含め、従業員の負荷を軽減する取り組みを行なっているという。年々増える訪日観光客にどう対応するか、それがOTSレンタカーにおける今後の課題だ。

 接客現場での人手不足は、特に中小企業ほど深刻さを増している。コミュニケーションロボットが得意とする接客業務に専任させ、多言語が話せるという特性をうまく使った同社の取り組みは、ほかのインバウンド関連の中小企業にとって大いに参考になる事例となるだろう。多言語のパンフレットを渡しただけでは頭に入らない、興味を持ってもらえないという問題は、契約から販促まであらゆるシーンに存在する。そんな情報を訪日観光客に伝えるための手段として、コミュニケーションロボットは有効な選択肢となりそうだ。

【人手不足にロボット:2】インバウンド接客の有力な支援策に

《丸田鉄平/HANJO HANJO編集部》
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