メガネスーパーに学ぶ、企業再起のための手法 | RBB TODAY

メガネスーパーに学ぶ、企業再起のための手法

 シンガポール企業における生産性向上の取り組みを支援しているシンガポール生産性本部では、2組の視察団を日本に派遣、小売業や飲食業におけるベストプラクティスを学ぶツアーを行った。

ビジネス 経営
広い店内スペースを持つ「新宿中央東口店」では、様々なアイウェアをラインナップ
  • 広い店内スペースを持つ「新宿中央東口店」では、様々なアイウェアをラインナップ
  • コンタクトレンズのみを扱うのは、地下の小規模店舗「メガネスーパーメトロピア店」
  • メガネスーパー代表取締役社長 星崎尚彦氏
【記事のポイント】
▼経営再建には社長の現場指揮による意識改革が有効
▼社長の直営店“天領”での事業改革を、全ての店舗の参考事例に


 シンガポール企業における生産性向上の取り組みを支援しているシンガポール生産性本部では、2組の視察団を日本に派遣、小売業や飲食業におけるベストプラクティスを学ぶツアーを行った。HANJO HANJOでは、日本生産性本部の協力のもと行われた今回のツアーを同行取材、特集第3回では「メガネスーパー」代表取締役社長の星崎尚彦氏によるプレゼンテーションから、中小企業が参考とすべき企業再生のための戦略について考察する。

■社長が背中で語る経営再建

 メガネスーパーが設立されたのは1980年。その後、JINSなどの低価格店の台頭などによって業績が低迷し、11年には債務超過に。12年に創業家出身の役員が退き、アドバンテッジパートナーズを中心とする投資ファンドの主導による経営再建に取り組んでいる。

 経営再建にともない社長に就任した星崎氏は、社内の意識改革と施策徹底のために“三つの方法”に取り組んでいる。そのひとつが「キャラバン」だ。社長自らがキャラバン隊の隊長となり、本社スタッフ達とチームを結成。前年比100%割れ店舗の撲滅、賑やかし演出の徹底などを浸透させるべく、全国の店舗を車で巡る。これには所属を問わず社内の誰でも参加でき、接客や店舗を徹底的に見直す方策として大きな効果を発揮しているようだ。

 また、二つめの方法として挙げられた「アクション会議」には、毎週1回10時間、70名以上の社員が参加。全部署の案件を検討し、会議で共有された課題は“即断即決即実行”される。課題の共有とスピードアップの徹底を行うことで、組織を活性化させ、これまで実現できなかった効率性を実現してきた。

 最後に三つめの方法として星崎氏が挙げたのが「天領ミーティング」だ。全国に社長の直轄店舗(天領店舗)を設置し、コストや接客の仕方といった店舗運営の改革を徹底。早朝ミーティングを行い、現場の意見を吸い上げることで、PDCAの高速化に繋がっている。いずれも店舗数の少ない中小企業の場合、より容易に実施でき、効果の表れもすぐに実感できるだろう。


■コスト削減で一石二鳥のPR強化戦略とは

 落ち込んだ業績を改善するには、社内の意識改善が必要。とはいえ、具体的な売り上げを考えるなら、何より集客構造の再構築が必要となるだろう。これについては、シンガポール視察団も疑問に思ったようで、数々の質問が挙げられた。

 このうち、広告施策については以前から行っていたテレビや新聞への露出を、昨年からすべて取りやめたという。「今年から従業員が通勤中にポスティングするようにしたところ、新しい顧客が生まれました」と地域に根ざした広告施策のアイデアを紹介した。一方で、リピーター獲得については既存顧客への徹底したDMとウェブを活用しているとのこと。これによって、客単価の向上も見込めるという。

「eコマースを使って活性化をしています。SNSやLINEを活用して、商品をコンビニで受け取ることもできるようになりました」

 その他、同社では店舗でもさまざまな集客対策を行っているが、中でも視察団が注目したのが白金台の「DOCK by メガネスーパー」。眼精疲労や老眼対策に特化したサービスを行っており、視察団の40代女性は「メガネを買うつもりがなくても立ち寄れるスペースやリラクゼーションコーナーがあるのは画期的だ」と驚きとともに語っていた。また、同社は東京・新宿に複数の店舗をオープンしているが、このうち地下の小規模店舗「新宿メトロピア店」ではコンタクトレンズのみを販売していることについて「(コンセプトの分け方が)とても合理的。いずれも場所の強みを理解して構成されている」と感心していた。

 経営を再建する上で、社長が目に見える場所で改善に取り組むというのは、意識改革という点では有効な手段だ。その反面、社長が全店舗を回るというのは、効率だけを考えれば最良の策ではないかもしれない。しかし、メガネスーパーでは“即断即決の会議”といった仕組みを利用し、スピード感のある経営再建を実現している。傾いた経営を短期間で改善する上での、正しいリーダーシップの使い方。その一例として星崎氏の手腕を頭に入れておきたい。

(※星崎尚彦氏の崎の字は、正しくは異字体)

メガネスーパーに学ぶ、企業再起のための“三つの方法”

《HANJO HANJO編集部》

関連ニュース

特集

page top