世界のトップトレンダーが語る“消費トレンドの本質”……アドテック東京 | RBB TODAY
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世界のトップトレンダーが語る“消費トレンドの本質”……アドテック東京

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会場には多くのマーケッターが駆けつけた《撮影:松木和成》
  • 会場には多くのマーケッターが駆けつけた《撮影:松木和成》
  • ヘンリー・メイソン氏《画像:アドテック東京HP》
 東京国際フォーラムで開催された「アドテック東京2015」(1日、2日)。同展示会で2日、「"結果を出せ、さも無ければ去れ" 2016年とそれ以降の消費トレンドを読み解く」というタイトルのセミナーが開催された。

 世界を先導するトレンドウォッチャーとして知られる、ヘンリー・メイソン氏が登壇。メイソン氏からは、長年使われてきたマーケティング手法や昨今のマーケティング手法に警笛を鳴らす言葉が次々と飛び出し、聴衆であるマーケッターを驚かせた。

■ユーザー目線の重要性

 まず、「自分が使うか使わないかではなく、ユーザーが使うか使わないか。これが肝心だ」と述べたメイソン氏。多くのマーケッターは、「この製品・サービスは、自分なら使うだろうか?」と往々にして考えがちであるが、それは重要ではないということ。特に、「自分が使うか使わないかはもちろん、自分が良いと思うか悪いと思うかすら関係ない」ということをメイソン氏は強調。「自分の枠を外して考えてほしい」と訴えていた。

 また、メイソン氏の考えが特徴的なのは、ユーザーをペルソナ(ターゲット層を代表する細かな人物像)のように個別具体的に設定するのではなく、大衆として捉えている点だ。その大衆のトレンドを読み取ることが重要であるという。

■マーケティングの最も本質的な考えを外してはならない

 "トレンド"というと、何を思い浮かべるだろうか?ファッション、カラー、経済、技術、流行語……。いろいろなトレンドが頭をよぎるかもしれない。メイソン氏の言うトレンドとは、”消費トレンド”を指し、また、このように定義している。

「消費トレンドとは、ニーズやウォンツに対する新たな行動や期待が、多くの人々の間で兆候として表されたものである」

 昨今のマーケティング関係のセミナーに足を運ぶと、ペルソナなどの個別具体性をユーザーに持たせることの必要性を聞く場面が多い。メイソン氏はそれを否定することはないものの、ユーザーを大局的に捉える必要性を訴えていた。「クリエイティブである前に、ユーザーのニーズやウォンツを考えることが大事だ」と言い、マーケティングの最も本質的な考えを外してはならないことの重要性を示した。

 また、「競争相手はユーザーにとって関係ない。満足の得られるものが手に入るかどうかが大事」とメイソン氏。日々競合リサーチを熱心にしているマーケッターにとっては、意外なコメントで不意を突かれた様子であった。

「競合の製品よりも何%優れているかなんて関係ない。ユーザーにとっては業界すら関係ない。例えば、iPhone並みの操作性があるカーナビを求めたりするんだ」

 この発言も、近視眼的ではなく、大局的な視点でユーザーを捉えることの必要性を示していた。

■ライフスタイルやアイデンティティの多様化の先には?

 「年齢や性別、場所、所得など、従来のデモグラフィックなセグメンテ―ション(人口統計学的な属性データによる顧客分類)では、ユーザーを定義することはできなくなった」とメイソン氏。その理由は、人々のライフスタイルやアイデンティティがより自由になってきたためである。

 その一例として、同性愛者の表現の自由さが増してきたことが挙げられた。一方で、そうした状況のなかでも、同性愛であることを公言しない人もいることを指摘。このことから、同性愛者を統計的に測定することが困難であるのは分かる。

 従来のデモグラフィックなセグメンテーションを覆した例として、任天堂のニンテンドー3DS向けソフト『ファイアーエムブレムif』が紹介された。同ゲームでは、同性婚が選択できるようになっている。また、男性向けのハローキティ商品である『HELLO KITTY MEN』も一例として紹介された。このように、”性別”という従来の枠組みを取り外した製品が、新しいマーケティングの考え方として紹介された。

 「デモグラフィックはもう古い。デモグラフィックな数値ばかりを見ていると、大事なことを見逃す。デモグラフィックはもう死んでいる」と警笛を鳴らした。

■セグメンテーションのデータを活用し、まずは小さく始める

 セミナー後の質疑応答では、参加者から「メイソンさんの言っていることはよく理解できた。しかし、どういう風にビジネスに生かせばいいのか?」との、現場のマーケッターならではの質問が上がった。

 この質問にメイソン氏は、「確かに、私があれこれ言うのは簡単だ。私はみなさんに新しいヒントを与えたにすぎない。しかし、そのヒントを使い、まずは小さく実践を始めてほしい。新しいセグメンテーションの考え方やデータを活用し、小さな勝利を収めることから始めるんだ」と答え、訪れたマーケッターにアドバイスを送った。
《松木和成》
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