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【木暮祐一のモバイルウォッチ】第59回 iPhone 6は想定範囲内、Apple Watchの未来に期待

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木暮祐一氏。青森公立大学 准教授/博士(工学)、モバイル研究家として活躍し、モバイル学会の副会長も務める。1000台を超える携帯コレクションを保有。
  • 木暮祐一氏。青森公立大学 准教授/博士(工学)、モバイル研究家として活躍し、モバイル学会の副会長も務める。1000台を超える携帯コレクションを保有。
  • iPhone 6
  • iPhone 6
  • Apple Watch
  • iPhone 6とApple Watch
  • Apple Watch(c)Getty Images
■Apple Watchのヒットがウェアラブル端末の一般化に貢献する

 今回、新iPhoneの発表に合わせ、アップルは腕時計型ウェアラブル端末「Apple Watch」を発表した。アップルがウェアラブル端末を出すことに対する期待は大きく、ユーザーが勝手に描いたApple Watch(「iWatch」と命名されるのではと期待されていたが)のイメージイラストがネット上に溢れていた。アップルだからこそSFチックな、近未来の「腕時計」像を想像したものが多かったが、そうした期待を裏切って、わりと普通なガジェトとして登場したApple Watchには少々拍子抜けしたが、今後もデザインのバリューは増えて行くであろうから、今回発表されたApple Watchのデザインが良い悪いといった評価はあえてしない。すでに腕時計型ウェアラブル端末はサムスンなどからも発売されているが、ファッション性で一歩抜きん出るアップルならではのウェアラブル端末に発展して行くこと期待したいものだ。今後は時計メーカーやファッションブランドとのコラボもありだろう。

 何よりも、iPhoneと連携して使えるデバイスであり、アップルの販売力も加われば、それなりの台数が世界に出荷されて行くのだろう。もしかしたら、アップルが発売するこのApple Watchの普及によって、「ウェアラブル端末」に対する消費者の考え方を大きく変えていくことになるのかもしれない。

 ウェアラブル端末の機能としては、スマートフォンに届くメールやメッセージの着信通知機能がどうしても前面に出てきてしまうが、最も重要なことは、ケータイやスマートフォン以上に、「常に身体に密着したデバイス」であるということ。この特性を活かして、近年のウェアラブルデバイスの大半が「ヘルスケア機能」を搭載し、それによってユーザーの活動量や心拍などの生体情報などを収集することで健康管理に役立てられるようにしている。

 国民皆保険制度を導入している若が国では、自分自身の健康管理が他国に比べると医者任せというケースが多いが、健康保険制度への加入が義務づけられていないアメリカなどでは、健康は自分自身で管理する必要性があり、自身の健康管理には比較的関心が高い。であるからこそ、こうした健康管理グッズが一定の人気を博すのである。

 ウェアラブル端末を利用することによって、より正確に、そして分かりやすい形で自身の健康管理情報をスマホ上で確認できる。アップルが本気でこうしたウェアラブル端末に取り組むことで、「常時身体に密着させるデバイス」を使用し健康管理するということが近い将来“当たり前”のことになってしまうのではなかろうか。アップルはかつて、マウスやGUIを導入することでコンピュータの概念を大きく変えた。さらにiTunesとiPodによって音楽視聴のスタイルも一変させた。iPhoneの登場により携帯電話の概念も変えた。iPhoneの進化こそ、ここで一段落してしまった感があるが、今回のAplle Watchの発表は、もしかしたらアップルが「時計」そのものを変え、ウェアラブル端末の世界的な普及に大きく貢献することになるのではないか。ただし時計の概念を変えるためには一筋縄では行かない。身につけるものだからこそ、消費者のこだわりは大きい。アップルなら「ガジェット」の領域を超えた製品へ発展させてくれるのではないか。

 「わざわざ充電をしてまで利用する価値があるのか」と言われてきたウェアラブル端末であるが、Apple Watchによって「腕時計はスマホと連動させるのが当たり前」ということをユーザーに認知にさせ、さらに「その腕時計を通じてユーザーの生体情報を収集し、それによってユーザーひとり一人の健康向上に寄与するデバイス」として広く社会に定着させられれば、改めてアップルは「人類に役立つ素晴らしい製品を送り出した企業」として、新たに世界の歴史に名前を残すことになるのだろう。
《木暮祐一》
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