【インタビュー】スマホの使い心地を実現したタフネスIP無線機「SmaTalk II」 | RBB TODAY

【インタビュー】スマホの使い心地を実現したタフネスIP無線機「SmaTalk II」

ブロードバンド 回線・サービス

城山 取締役 新規事業営業推進部 部長 吉田寛氏
  • 城山 取締役 新規事業営業推進部 部長 吉田寛氏
  • SmaTalk II
  • 「寝ても覚めてもSmaTalkのことを考えている」と吉田氏
  • 城山 顧問 内山繁氏
 業務用無線機器・サービスの開発と販売に実績を持つ城山から発売された、スマートフォンタイプのIP無線機「SmaTalk」シリーズが注目を集めている。使い勝手は無線機、しかしネットワークは携帯電話というこの製品、今夏には新機種の「SmaTalk II」も登場。シリーズの企画・開発意図を城山のキーパーソンにインタビューしながら、SmaTalkの魅力を明らかにしていく。

■城山は業務用無線機器とサービスのスペシャリスト

 城山は今年創立41周年を迎えた。元々は東芝の協力工場として創業した同社だが、後に業務用無線の販売会社として独立を果たして新しいスタートを切る。現在は全国にau、SoftBankのキャリアショップも展開しているが、その中核となるのは業務用無線機器周辺のビジネスだ。

 同社が扱う通信系製品群の種類は多岐に渡っている。例えば大気中の電磁波を検知し、貯まっている状態をPCの画面上でモニターできる「雷検知システム」のWebクライアントソフト。「当初はクライアントであるゴルフ場向けに無線機を販売していましたが、当社の営業スタッフがお客様とのコミュニケーションを深めていくうちに、安全なコースで心置きなくゴルフを楽しむための雷検知システムがあれば欲しいという要望を汲み上げ、これを商品化したところ好評をいただきました。クライアント個別のニーズに応じたカスタム商品を自社で企画開発・販売ができることも強みです」と、顧問の内山繁氏は語る。無線通信技術に関連する確かなノウハウ、そしてそれに裏付けられたコミュニケーションと提案力が同社の成長を支えてきたというわけだ。

 その城山がこのたびスマートフォンタイプのIP無線機「SmaTalk II(スマートーク・ツー)」を発売した。その特徴は「PushToTalk方式」の無線通信を、人口カバー率100%のNTTドコモ・FOMA回線網に乗せて広域に通信ができるようにしたところにある。2013年に発売した初代「SmaTalk」の好評を受け、8月末には本体に防水・防塵仕様を加えたタフネス設計の"II”が発売された。

 シリーズの開発を指揮してきた取締役 新規事業営業推進部 部長の吉田寛氏に商品の企画意図から話を聞いた。


■開発のテーマは「無線機に代わる無線機」だった

 SmaTalkシリーズの開発は今から約3年前に始まった。吉田氏は当時をこう振り返る。「携帯電話の販売価格が下がり、加えて無線機器の売上が落ち込んできた頃でした。当社は“無線機に代わる無線”を追求しながら、無線機と携帯電話を融合させた商品がつくれないものかと模索していました。国内では電波法の制約でつくることが難しかったのですが、ある時スマートフォンにIP無線のアプリを入れた商品を紹介されたことから、商品の方向性が徐々に定まってきました。そして、当社で独自にアプリを開発して、スマートフォンに搭載したSmaTalkのプロトタイプをつくりました」。

 ところがそのプロトタイプにはベースの端末自体がスマートフォンなので、業務用無線マイク(インカム)を接続して使うことができないという課題が残されていた。この課題をクリアした経緯については、SmaTalkのプラットフォームはAndroidがベースなので、グーグルにもアドバイスを求めながら海外のパートナー企業と開発を進めていくうちに、Android内部のレイアウトを変えてPushToTalk方式による通信システムを組み込むことに成功。無線でよく使われるタイプのスピーカーマイクやイヤホンマイクの専用アクセサリーを開発できたのだという。

 現在、SmaTalkシリーズは城山が販売を行い、グループ子会社であるアグレェイが運営・開発・保守を行うというかたちでカスタマーに提供されている。利用には端末の購入代金のほか5,000円/台の初期費用と、2,200円/台の月額料金が必要になる。ほかにも安心プラスという月額380円の保険プランも用意されている。


■無線の理想型を追求したSmaTalkの強み

 通常の無線機の場合は端末どうしを直接つなげて通信するため、互いの距離が離れれば通話ができなくなるというエリアの制限があった。中高域の電波であっても、中継局のエリアから離れると通話圏外になる。地下街や電車の中などでは通信状態が不安定になることもよく起こるため、緊急事態におけるBCP(事業継続計画)の面で課題とされてきた。

 SmaTalkシリーズの場合、本体にSIMカードを装着してドコモのFOMA回線を利用することで、全国どこにでも無線通信を飛ばすことができる。これにより、今までの無線では通信が困難だったエリアもカバーできるようになる。FOMAの帯域は800MHzと2.1GHzに対応。同社では全国各地で綿密なフィールド調査を行いながらチューニングの感度向上も押し進めている。吉田氏は「IP無線機の中にはハンドオーバーができない製品も多くありますが、SmaTalkではクアルコムの高速処理チップを内蔵したことで、スムーズなハンドオーバーと高い接続性能を実現していることが特徴」と説明する。

 また通常の業務無線機を扱う場合は資格が必要になるが、SmaTalkでは通常のFOMA回線で通信を行うため無線免許や申請手続きが不要、簡易に導入ができることも特徴だ。さらに通常の電話は1対1で通話を行うが、無線機の仕組みに則っているSmaTalkでは「1対多数」の一斉呼び出し通話やグループトークが行える。第二世代機からはエマージェンシーモードも新搭載。異常が発生した際には通話へ強制的に割り込んで緊急通信を入れることができる。

 防水・防塵性能はIP68を実現。吉田氏は「防水に対する保護等級は、通常1mの水深に30分間連続して置くことができる完全密閉構造としていれば“8”と付けている製品も多いが、当社では水深1mに1時間置ける防水仕様としています。またイヤホンマイクなどのアクセサリーを接続している状態でもIP54を保証していることが特徴です」と、一歩先に踏み込んだ防水性能の実現へ果敢にチャレンジしたことをアピールする。

 初代機にも搭載されたWi-Fi機能がSmaTalk IIにも継承されている。3GとWi-Fiの両方で待機できるので、万一の災害時には3G通信が使えなくてもWi-Fiからインターネット経由で接続ができることが、危機管理対策の観点からも大きなメリットになる。吉田氏は「電波のつながりにくい場所では無線LAN設備を入れることで接続品質が大きく向上します。例えば地下街などで使う場合には無線ネットワークを併用することで面白いシステムが組めると考えています」と、Wi-Fi機能の活用を提案する。

 さらにSmaTalk IIにはBluetooth機能も搭載されている。実装機能についてはこれから独自に使い勝手を検証しながら、アプリなどのかたちで提供していく考えだという。「内蔵カメラで写真を撮って、コメントを付けてBluetoothで送信できるアプリを開発しています。PushToTalk方式に対応するBluetoothマイクもまだ製品化されていないので、実用に合わせて開発を進めたいカテゴリです」(吉田氏)

 プラットフォームにはAndroid OSを採用しているので、Androidのapkに沿って様々なアプリや機能をつくりこむことができる。これまでは端末を一台ずつPCにつないで行っていたファームウェア更新の作業も、Wi-Fi機能と汎用性の高いOSが搭載されたことで、OTAなどの方法を使って全ての端末に向けて一斉配信ができるようになった。
《山本 敦》

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