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【テクニカルレポート】W3CでのWeb and TVの規格化動向……東芝レビュー

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図1.HTML5 の関連組織相関―MIT,ERCIM,及び慶應義塾大学の3 拠点が,他団体とも連携しHTML5ベースの規格化を進めています。
  • 図1.HTML5 の関連組織相関―MIT,ERCIM,及び慶應義塾大学の3 拠点が,他団体とも連携しHTML5ベースの規格化を進めています。
  • 図2.Web and TV 関連のこれまでの活動―TPAC 2012では,Web and TV IGとWeb and Broadcasting BG のジョイントセッションが実施され,多くの検討課題が明確化されました。
  • 図3.TVとタブレット連携時のスタック図―放送から得られたURL(Uniform Resource Locator)をTVで検知し,その情報をセカンドスクリーンに送り,そのURLを基にタブレットに情報を表示させる仕組みの議論が進んでいます。
  • 図4.W3Cで議論されているDRMシステム―W3C では,DRMの方式について言及はしませんが,鍵管理などAPIについて議論されています。

■Web and TV IGの活動

 これまでのWeb and TVに関係する活動内容を図2に示します。
 2010 年のわが国でのワークショップ(WS)から始まり,2012 年のW3C 年次総会(TPAC 2012)では,Web and TV IGにわが国以外の放送局や,家電メーカー,ソフトウェアベンダーも参加し,WebブラウザのTV 適用への関心が高まっています。また,Web and TV IGとわが国の放送局を中心としたWeb and Broadcasting Business Group(BG)とのジョイン卜セッションが実施され,わが国の放送局がHTML5を使ったサービスを行う場合の課題などを紹介し,活発な議論が行われました。コンテンツ視聴におけるID(Identification)連携や,マルチデバイス連携,映像と音声をカテゴリー化する仕組み(コンテナ)からイベントを認識するAPI(Application Programming Interface)の必要性など,多くの検討課題が明確化され,IG内のタスクフォースで検討される予定です。


■W3Cにおける海外企業の動向

 参加メンバーの取組みの例を紹介します。東芝もボードメンバーであるSmart TV Allianceは,HTML5をベースにプラットフォーム統一化や開発環境の提供を進めています。英国放送協会(BBC)は,HTML5の技術を既にiPlayerで導入しており,そのブラッシュアップを検討しています。米国のNBCは,放送起点でIPサービスと連動するサービスを計画,若しくは既に実施している事例を報告しています。またComcastは,HTML5のテストの議論に注力しています。


■W3Cの今後の展開

 今後の重要な議題には,マルチデバイス対応や,デジタル著作権管理(DRM),サブタイトルなどが挙げられます。

 マルチデバイス対応については,わが国においてTVとタブレットやスマートフォンなどのマルチスクリーン連携(図3)の議論が進んでおり,当社は中心メンバーとして,W3Cや他団体で議論している規格間の調整を図り,統一化に向けて作業を進めています。

 DRMについては,W3Cで方式を決めることはしませんが,APIの議論が行われており,コンテンツにDRMを組み込む枠組みであるEME(Encrypted Media Extensions)(図4)の議論が収束に向かっており,各社がシステムに採用する方向で動いています。

 サブタイトルについては,TTML(Timed Text Markup Language)やWebVT
T(Web Video Text Tracks)など,TVサービスに適用できる各種方式が候補として議論されています。


■今後の展望

 当社は,HTML5対応のブラウザを国内他社に先駆けて液晶TVレグザZ7シリーズに搭載しました。今後は,Web and TV IGでの議論を進めるとともに,規格化動向に合わせてネットワークサービスを発展させるため,国内外のIPサービス事業者に対してHTML5の技術導入を積極的に提案していきます。

●執筆者紹介(敬称略)
坂本 典哉
デジタルプロダクツ&サービス社
プラットフォーム&ソリューション開発センター
プラットフォーム・ソリューション開発第四部参事

※本記事は株式会社東芝より許可を得て、同社の発行する「東芝レビュー」Vol.68 No.2(2013)収録の論文を転載したものである。
《RBB TODAY》
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