【インタビュー】これからのVOD市場はマルチデバイス化がカギ――NTTぷらら・板東社長 | RBB TODAY
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【インタビュー】これからのVOD市場はマルチデバイス化がカギ――NTTぷらら・板東社長

ブロードバンド 回線・サービス
代表取締役社長 板東 浩二氏
  • 代表取締役社長 板東 浩二氏
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  • 代表取締役社長 板東 浩二氏
  • 代表取締役社長 板東 浩二氏
 80チャンネルを超える放送サービスや、幅広いジャンルを揃えたVODサービスなどを展開し、昨年12月末には230万会員を突破。NTTぷららの運営する「ひかりTV」が、RBB TODAY主催のブロードバンドアワードにおいて、テレビサービスとビデオオンデマンドの2部門で最優秀賞を受賞した。NTTぷらら 代表取締役社長 板東 浩二氏に受賞の感想と、今後の取り組みなどを直撃した。

――今年はテレビ部門での2冠を達成しました。

NTTぷららが「ひかりTV」を始めた5年前、VODによる映像配信は新しい市場で、いわばゼロからのスタートでした。VODに対する認知度やライセンスの問題から、コンテンツの調達にも苦労しました。その後、競合他者の参入で市場が活性化されることで、そのコンテンツ調達の環境も変わってくるなど、結果としてはよい方向で進んできたと思います。現在VODは、1ヵ月あたりの視聴回数が2,000万回を達成するなど、おそらく日本最大規模のVODサービスとしてブランドが確立できたのではないかと思います。受賞はこのことの表れとして、率直に喜んでいます。

――ひと月2,000万回の視聴を達成した要因は?

お客様にご支持いただいているのは、主に3つの要因があると思っています。ひとつは、サービスの中身です。VOD約8,000本見放題、見逃し視聴対応、リモート予約、それに多チャンネルサービスのような便利な機能を提供できること。もうひとつは、操作性です。やはり誰でも簡単にストレスなく操作ができる、検索、リコメンド、レーティングといった機能も、応答が早く使いやすくないとお客様にご利用いただけません。最後はやはり料金設定ですね。他の条件が同じなら安いほうが選ばれるでしょう。しかし、安くても使いにくかったり、コンテンツが少なかったりしてもダメです。3つをうまくバランスさせることが重要です。付け加えるなら、AKB48のようなオリジナルコンテンツなど、「ひかりTV」でなければ見られないといった強みもお客様にご支持いただいたのではないかと思います。

――視聴者の年齢層やどんな番組がよく見られているか教えてください。

例えば、韓流や日本のドラマは比較的よく見られています。これらの番組は午後2時くらいから7時くらいまでの間に視聴が増えますので、女性、それも主婦層が見ているのかなと予想できます。午後はお子さんの下校時間くらいからアニメの視聴が伸びますね。新作映画も人気コンテンツのひとつです。夜は7時くらいから9時くらいに視聴が落ち込むのですが、これは地上波放送へ視聴が流れているからだと思います。じつは配信設備やネットワークリソースは、ある程度ピークに合わせたものにしなければならないのですが、今後はネットワークの利用が少ない時間帯の利用効率を上げたいと思っています。時間帯によって、トップ画面やレコメンドを変えたりする工夫が必要かもしれません。

――テレビ向けの「ひかりTV」はフレッツ光を使って配信していますが、現在フレッツ光の契約数は伸び悩んでいます。

確かに影響はあります。そのため、モバイル端末などのマルチデバイス対応が顧客基盤を広げるために重要だと思います。スマートフォンやタブレット端末向けの映像配信を強化したり、音楽配信やクラウドゲームのアプリを提供したり、スマートフォンしか持っていないユーザーにもいかに「ひかりTV」をご利用いただくかが、2013年の大きな課題となり、取り組みとなると思っています。そのためのこれまでの販売チャネルとは違った、スマートフォンユーザーにリーチするチャネルも必要です。現在、ドコモショップと連携して「ひかりTV」を販売してもらう取り組みを始めています。また、ドコモの春モデルでは、ハイビジョン画像をWiFi経由によりスマートフォンで視聴する機能を搭載していますが、これに「ひかりTV」のコンテンツも対応させるといった連携も少しずつ進めています。

――最後に、今後の課題や戦略について教えていただけますか。

5年前の「ひかりTV」がスタートしたころは、まず会員を100万人にすること。それによって盤石な顧客基盤をつくることが目標でした。これが最初のステップでしたが、開始当初の計画より早く、2年で達成することができました。次のステップはVODマーケットの構築です。冒頭に述べたように、競合も増えましたがマーケットは出来上がってきたと思います。ひと月あたりの視聴回数2,000万回をひとつの区切りとすると、これも達成したといえるでしょう。次のステップ3は、マルチデバイスのプラットフォームを確立することだと思っています。現在はこの段階です。STB+テレビでの視聴については、Androidを搭載した次世代STBを「スマートTV」として今春に発表する計画もあります。また現在、PC向けの配信は行っていませんが、夏ごろを目安に開始できればと思っています。スマートフォン、タブレットでのサービスも広げていきます。

詳細や確定事項は2013年度の年度当初に発表する予定ですが、他にも現在「ひかりTV」のオンラインショップを強化しようと考えています。今は、チューナーやハードディスクが主力商品ですが、食品や季節商品、腕時計、ブランドバッグなど幅広く強化しようと思います。最近では、ブランドバッグなどがよく動くようになってきています。放送のテレビショッピングと違ってリモコンボタンで購入できるオンラインショッピングはリピーターも増えています。

また、法人向けのサービスも検討しています。こちらは、コンテンツのライセンス処理やどことパートナーシップを組むかといった検討課題がありますが、資格の参考書がe-Learningに置き換わっているという話も聞きます。子供向けの教育コンテンツも根強い人気があります。すでに会社を引退した知り合いの方には、「ひかりTVがあると孫が遊びにきてくれる。」と喜んでくれています。そして、VODの視聴スタイルが市民権を得てくると、編集やパッケージ構成は放送や劇場公開を前提としたものだけでなく、VODでの配信を前提としたコンテンツづくりというのも増えてくるでしょう。スマートフォンユーザーへのリーチもそうですが、時代の変化をとらえて今後もチャレンジを続けていきたいと思っています。
《中尾真二》
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