タイヤで車の燃費が向上……加熱する技術開発競争 | RBB TODAY
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タイヤで車の燃費が向上……加熱する技術開発競争

エンタープライズ フォトレポート
上記ラベルが貼ってあれば、転がり抵抗がAAグレード、ウェットグリップがcであることから低燃費タイヤに位置付けされる。
  • 上記ラベルが貼ってあれば、転がり抵抗がAAグレード、ウェットグリップがcであることから低燃費タイヤに位置付けされる。
  • いっぽうのこちらは転がり抵抗がBでウェットグリップがcなので、低燃費タイヤとはみなされない。
  • ブリヂストンECOPIA EP001S。トーヨータイヤNANOENERGY 0と合わせて、転がり抵抗AAA、ウェットグリップaを両立させた低燃費タイヤ(サイズはどちらも195/65R15 H91のみラインナップ)。
  • トーヨータイヤNANOENERGY 0。ブリヂストンECOPIA EP001Sと合わせて、転がり抵抗AAA、ウェットグリップaを両立させた低燃費タイヤ(サイズはどちらも195/65R15 H91のみラインナップ)。
  • 「50%転がり抵抗低減タイヤ」のテスト走行の模様。テスト車はプリウスで、積載車に搭載されたあと、ギアをニュートラルに入れて惰性で走りだす。「50%転がり抵抗低減タイヤ」で121.6m、同条件でA-cクラスが83.9mと、1.5倍近くの違いになった例もあった。
  • 「AAA-a」タイヤの試乗走行。摩擦抵抗が少ない路面をさらに水で濡らして滑りやすい状態を作り出している。
  • タイヤ技術本部の第一技術部長・商品開発担当部長を務める鈴木俊昭氏。
  • 常務執行役員でタイヤ技術本部長を務める西実氏。「お客様目線であること」は自身のポリシーでもあると語る。
 いまやタイヤもエコの時代。各メーカーとも、燃費に影響を与える“転がり抵抗”をおさえた「低燃費タイヤ」を開発している。通常のタイヤから燃費が3〜5%よくなる試算もあるぐらいだ。メーカー間でタイヤの開発競争が激化している。

 ユーザーが低燃費タイヤを選ぶときのひとつの基準が、JATMA(日本自動車タイヤ協会)が策定したタイヤラベリング制度だ。転がり抵抗性能とウェットグリップ性能のふたつを等級で表している。等級は、転がり抵抗がAAA〜Cの5段階、ウェットグリップ性能がa〜dの4段階。

 そして転がり抵抗がA以上、ウェットグリップ性能がa〜dの範囲内にあるタイヤを「低燃費タイヤ」と定義している。いくら転がり抵抗性能が高くても、ウェットグリップ性能が等級外では低燃費タイヤではない。相反するこれら2つの性能を両立させなければならないのだ。

 低燃費タイヤの国内売上No. 1を2年連続で達成した、ダンロップを擁する住友ゴム工業が、9月20〜21日に環境タイヤ技術セミナーを開催した。同社の環境への取り組みや最新技術の説明が神戸本社で行なわれ(20日)、岡山のテストコースでは「50%転がり抵抗低減タイヤ」、「AAA-a」低燃費タイヤなどの試作品が用意され、市販タイヤを含めた試乗会が開かれた(21日)。

 「50%転がり抵抗低減タイヤ」の試乗は、このタイヤを装着したクルマが惰性で何メートル走行できるかを記録した。「転がり抵抗低減タイヤ」が同条件で1.5倍近く走行した例もあった。

 「『50%転がり抵抗低減タイヤ』は、2008年度のタイヤに対して50%低減している。ラベリング制度でいえば、現行最高位のAAAをしのぐAAAA相当だろう。2015年発売が目標だ」と、タイヤ技術本部の第一技術部長・商品開発担当部長を務める鈴木俊昭氏は話す。

 ラベリング制度で最高位となる「AAA-a」タイヤの試乗は、路面の摩擦抵抗が低い路面を、さらに水で濡らして滑りやすい状態にして行うスキッドパッド走行と、コース内の周回走行。比較対象として用意されたのは「AAA-c」クラスのタイヤだった。「AAA-a」がスキッドパッド走行で40km/h台後半までしっかりと路面を捉えているのに対し、「AAA-c」は30km/h台後半でグリップを失った。

 「AAA-a」タイヤはすでにブリヂストンとトーヨータイヤ他社が販売しているが、ダンロップに作る技術はある。ただ日本の舗装路は摩擦係数が高いので、一般ユーザーに「AAA-a」タイヤが必要なのか、考える余地がある。

 常務執行役員でタイヤ技術本部長を務める西実氏は、住友ゴム工業のタイヤ開発の背景や今後の展望を次のように話す。「大切なのは、ユーザーがどういうタイヤを欲しがっているかに耳を傾けること。求めやすい価格と、幅広いサイズ展開とを両立させるのが重要だ。技術力は大切だが、それがユーザーにとってメリットがあるのか、ということも考えなければいけない。技術の押し売りはだめだ」。
《高木啓》
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