【インタビュー】企業向けLED最新動向、照明業界に起きるパラダイムシフト……東芝ライテック(後編) | RBB TODAY

【インタビュー】企業向けLED最新動向、照明業界に起きるパラダイムシフト……東芝ライテック(後編)

 LED照明市場は勢い良く拡大している。しかし、市場が拡大するということは、同時に競争も激しくなるということでもある。では、LED照明の場合、商品の差別化ポイントはどのような点にあるのだろうか。

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電球の新旧比較モデル:左から炭素電球、白熱電球、LED電球
  • 電球の新旧比較モデル:左から炭素電球、白熱電球、LED電球
  • 東芝ライテック 商品企画統括部 部長 鹿倉智明氏
  • 広配光タイプのLED電球
  • 飯野ビルディング オフィスフロア。昼光利用制御や人感センサーによる在室検知制御でムダな明るさをカットして適正照度を確保っする
  • RGBの組み合わせで3250色の発色が可能な住宅用タイプ
  • RGBの組み合わせで3250色の発色が可能な住宅用タイプ
■競争も激化する市場での差別化ポイント

 前編で述べたように、法令改正や震災を契機とする省エネ意識の変化、また製品そのものの性能向上などによりLED照明市場は勢い良く拡大している。しかし、市場が拡大するということは、同時に競争も激しくなるということでもある。では、LED照明の場合、商品の差別化ポイントはどのような点にあるのだろうか。

 東芝ライテック 商品企画統括部 部長 鹿倉智明氏は「LED照明の場合、光源である半導体チップを入手できれば比較的簡単に製品を開発できます。新規参入のしやすい市場であることは確かです。しかし、安全かつ効率のよい照明、実際の現場で違和感なく効果的な照明を実現するには、相当のノウハウが必要です。輝度、照度といった基本的な性能の他、さらなる電力効率の改善や製品ラインナップの充実で差別化を図っています。」と述べる。

 例えば、効率を改善することは、すなわち発熱を減らせることになる。発熱が減るということは、それだけ設置場所の自由度がでる。東芝ライテックでは、電球のくびれた部分の放熱フィンを廃止して、なるべく全体が発光するように設計した広配光タイプと呼ばれる電球への切り替えを進めている。

 また、LEDは長寿命ということもあって、「球」の交換というより器具と一体化したものという考え方になってくる。そのため、色や明るさなどのバリエーションについてはすなわち、器具の単位でバリエーションを用意する必要がある。このニーズには、輝度と照度の組み合わせパターンをカスタマイズして選べるような製品を用意しているという。超寿命が売りであるが故に、一度つけると長く付き合うことになるLED照明では、値段の障壁以外にも、“使用感”が分からないと不安だという声も根強いそうだ。そういった声に対しても、個別にカスタマイズした照明をタブレット上で確認できたり、最終的にはショールームにて実際の利用環境(壁や床の雰囲気)まで再現して確認ができたりといった取組みを実施して対応している。

 さらに、住宅用のシーリングライトだが、LEDの特性を活かして調光と調色が可能な製品も存在している。これは、明るさの調整ができるだけなく、RGBのLEDチップを搭載して任意の色を発光させることができるというものだ。RGBの組み合わせで3250色の発色が可能だという。太陽光が、対象の色があざやかに見えるのは、すべての色の成分を含んだ光だからである。RGBで発光するLEDは、より太陽光に近い光を作り出せるということだ。より自然な発色ということでは、店舗、スタジオ、デザイン関係と企業向けへの応用もありそうだ。

■今後の展開:照明をコントロールするという流れ

 最後に、LED照明の導入事例や、今後のLED照明市場の展望などについて聞いた。

 イイノホールで有名な飯野ビルディングでは、昨年9月にBEMSと連動させた照明システムを導入したという。BacNetというビル管理用のオープンプロトコルのネットワークで全館の照明をつなぎ、ゲートウェイを介してBEMSに接続される。BEMSと連動するため、空調設備やエレベータなどとともに全館で集中管理ができるというものだ。

 さらにこの事例では、14,500台のLEDライトすべにユニークなアドレスが振られ、個別制御が可能なうえ、任意のグルーピングが可能だという。蛍光灯ごとにひもスイッチを取り付けなくても、タスク灯の最適制御が可能であり、テナントごと、可変するパーティションごとのきめ細かい照明管理が可能になるということだ。関連して、消費電力の細かい管理もグループごとに監視でき、“みえる化”が可能となる。前回インタビューした大塚商会でも、消費電力の見える化のためにLED照明を積極的に活用していると話していたが、照明のLED化を戦略的なエネルギーマネジメントの一環と捉える流れは広がってきているようだ。

 鹿倉氏は今後の展望として、大規模な事業所ではBEMSのようなシステムとの連携がさらに広がるだろうと述べる。中小企業においても、拠点間(ビル間)での遠隔監視、遠隔制御のニーズは広がってくるだろうと予想しているが、こちらの場合は、コスト的にもオープンなインターネットを利用し、監視システムやソリューションもクラウドを活用するスタイルになるのではないかとみている。

 さらに、中小企業の場合は、もうひとつのアプローチもあるという。「HEMSのような家庭向けのエネルギー管理システムや手法を業務用に拡張していく方向です。こちらはインターネットやクラウドサービスを前提に実証実験なども盛んに行われています。従業員が100名以下から数百名規模の中小企業、コンビニなどの流通関係ではBEMSのようなスクラッチ型のシステムではなく、HEMSやクラウドなど水平型のソリューションで照明、空調、保冷設備(コンビニ、スーパーなど)の管理をしていくようになるかもしれません。」とのことだ。

 先日、経産省と環境省から、白熱電球の製造・販売を自粛するように異例の要請が出された。東芝ライテックでは既に10年3月に白熱電球の生産を終了しているが、今回の要請によって他メーカーにも白熱電球生産終了を前倒しする動きがみられ、LEDへの切り替えは一段と進む見込み。すべての照明がLEDに置き換えられる日もそう遠くはないだろう。
《中尾真二》

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