【Interop Tokyo 2011(Vol.32)】IPv6への移行は急務だ――米アカマイ | RBB TODAY

【Interop Tokyo 2011(Vol.32)】IPv6への移行は急務だ――米アカマイ

 「Interop Tokyo 2011」では、米アカマイのInternational Vice President兼General Managerのグレッグ・レイザー氏によるIPv6ネットワークに関する基調講演も行われた。

ブロードバンド テクノロジー
米アカマイ International Vice President兼General Manager グレッグ・レイザー氏
  • 米アカマイ International Vice President兼General Manager グレッグ・レイザー氏
  • 米アカマイ International Vice President兼General Manager グレッグ・レイザー氏
  • 今後10年くらいはIPv4とIPv6の混在環境が続くが、I研究やテストも進んでおり、移行はゆっくり行われるので、Y2Kのようにはならない
  • Chief Network Architect パトリック・ギルモア氏
  • Chief Network Architect パトリック・ギルモア氏
  • 現状でのIPv6トラフィックは数~10%前後と低い
  • 6割の企業が対応策をとっていない
  • IPv4とIPv6の比較。文字通り桁違いのアドレス空間がインターネットビジネスの可能性を広げる
 「Interop Tokyo 2011」では、米アカマイのInternational Vice President兼General Managerのグレッグ・レイザー(Greg Lazar)氏によるIPv6ネットワークに関する基調講演も行われた。

 米アカマイは、オンラインビジネスにおけるネットワークのパフォーマンスやスケーラビリティ、そしてセキュリティやコンプライアンスといった点に力を入れている企業であり、全世界72か国の1,000以上の都市で9万以上のサーバーを稼働させている。そのアカマイのサーバが処理するトラフィックはおよそ6Tbpsであり、これは世界中のトラフィックの20~30%を占めている。

 今回の講演は「アカマイがIPv6について今後10年間どのように取り組んでいくのか」にフォーカスしたものだった。レイザー氏は、日本は古くからIPv6に取り組んでおり、アジア地域でもその意識が最も高い国のひとつだろうと評した。その上で、アカマイの試算では2016年までは日本もIPv4での運用は問題なく続けられると見ているとしながら、IPv6への移行はもはや避けられない状態であるとも指摘した。日本には、4千万以上のIPv4アドレスが割り当てられており、枯渇が迫った前年度との比較でも24%も割り当て数が伸びている。さらに帯域スピードについても全国平均で8Mbpsを誇り、全世界で帯域スピード上位100都市のうち60都市が日本の都市である。このような市場において、IPv6への移行は急務であるというのだ。

 システムの移行問題について、レイザー氏は、「IPv4のアドレス枯渇という話を聞くと、おそらく11年前のY2K問題を思い出す人がいるかもしれません。しかし、IPv4の枯渇とIPv6への移行は、それよりゆっくり進行するので、Y2Kのような問題にはなりません」と述べた。

 では、システム移行は具体的にどのような形で進むのだろうか。この点については、講演を同社のチーフネットワークアーキテクトであるパトリック・ギルモア氏に説明してもらうとして、マイクを譲った。

 講演を引き継いだギルモア氏は、2011年2月にICANNが最後のIPv4アドレスブロックを振り出しており、地域レジストリのうち日本を含むAPNICがまず最初にIPv4アドレスを完全に使い果たすだろうとし、日本においては2012年には新規のIPv4アドレスを割り当てることができなくなるのではと予想した。つまり来年以降、新しいアドレスを申請した場合、IPv6のアドレスしか割り当てられないことになる。

 このように、黙っていてもIPv6トラフィックが増え始めるという現状でも、世界中のトラフィックのうちIPv6アドレスを使ったものは全体10.5%しかないという。アムステルダムのような常時1.3Tbpsのトラフィックが観測される場所であっても、3Gbps程度だそうだ。また、ガートナーの分析によれば、IPv6アドレスへの移行コストは、企業の年間IT予算の6%ほど必要だとしており、コストメリットも一般には問題になっている。実際、企業の対応状況でみると60%がIPv6に対して対策や準備を行っていない状態だ。

 これは憂慮すべき事態ではあるが、必然的に、今後10年程度はIPv4とIPv6が混在するデュアルスタック環境でのネットワーク運用が続くという。この環境では、NATやキャリアグレードNAT(CGN)によって両者のアドレスを変換してやる仕組みが必要となる。

 ギルモア氏は、この方式は、CGNなどアドレス変換のしくみがネットワーク上の単一障害点になるという問題を指摘した。また、混在環境でIPv6のトンネルを利用した場合、遅延とパケットロスが増えるという問題も確認されているという。さらに、アカマイの計算では、デュアルスタック環境においては、1/2000の確率でパケットのエラーも発生する可能性があるそうで、これはヤフーやマイクロソフトなど多数のユーザーを抱え、トラフィックも多い企業にとっては無視できない数値となると述べた。

 IPv6問題では、Y2K問題のように短期集中型ではないが、移行が10年といった単位でゆっくり進むので、なるべく早くIPv6に対応することが望ましいというわけだ。なお、アカマイのサーバは、IPv4、IPv6のネイティブ接続に対応しており、混在環境でもCGNなどを利用せずトラフィックの交換が可能とのことだ。そのアカマイサーバは6つの大陸で、43カ国、126都市において、139のネットワークの718ノードでIPv6のサービスを捌いていると付け加えた。

 ここで、マイクがレイザー氏に戻され、最後のまとめとして、アカマイはネットワーク関係のコミュニティと共同でIPv6移行に関するガイドライン文書を作成し、公開するという活動を行って、さまざまなサービスプロバイダや企業を支援していることを紹介した。そして、ただ移行するだけでなく、IPv6のパフォーマンスの追求とセキュリティ対策についても活動を続けていくと、今後の取り組みとIPv6へのコミットを語った。
《RBB TODAY》

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