減収減益、スマートフォン投入の遅れ響く……KDDI小野寺社長が最後の決算会見 | RBB TODAY

減収減益、スマートフォン投入の遅れ響く……KDDI小野寺社長が最後の決算会見

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小野寺正社長
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  • 連結決算
  • 2011年3月期下期の課題
  • ARPU
  • シンプルコースの状況
  • 固定通信の営業利益
 KDDIは22日、都内で2011年3月期第2四半期の決算発表会を開催した。

 連結ベースでは前年同月比-0.3の減収、営業利益は同-1.2%の減益。移動通信事業は前年同月比-2.4%、営業利益は-9.0%の減益で9月末のau契約数は3,229万で累計シェア28%。これに対して、固定通信事業は前年同月比+5.7%の増収、営業損失は186億円改善したが、37億円の赤字となった。2Qには四半期ベースの営業利益黒字化を達成した。9月末の固定アクセス回線は622万で、そのうちFTTHは174万に増加した。固定系の黒字化は2004年度の第3四半期以来となる。

■スマートフォン投入遅れの影響

 移動通信事業の減益について小野寺正社長は、音声系のARPU(Average Revenue Per User)が落ちている点、シンプルコースの投入遅れを挙げた。また、スマートフォン投入の遅れについても言及、「最初はデータARPUが高かったが、最近では他社の方が高くなっている。これはスマートフォン投入の遅れによるものであることは間違いない」と話した。小野寺社長はスマートフォン投入の遅れを戦略ミスと反省したが、この遅れの影響はデータARPUばかりではない。「純増シェアで悪いことになっているが、スマートフォンがなかったことが影響している。ソフトバンクをみればスマートフォンがかなりの数を稼いでいるのは事実なので、そこは否定できない。もうひとつの大きな問題は、当社にスマートフォンがなかったことによって他社への流出がでてしまった点だ。特に第2四半期みてると、モバイルナンバーポータビリティでマイナスがでている」と加え、投入遅れが数値として出ている現状を説明。「IS03については今までのフィーチャーフォンがも持っている機能はほとんど入れている。逆に言えば、スマートフォンが持っていなかった機能を入れた。2台で使っていた人が1台で済むんだとわかり、IS03を持っていればいいという人も出てくる」と他社からの乗り換えもねらっていくことも視野に入れているようだが、一方で、「最初に新しいものを出した時には、自社内(au契約者)が機種変更するが通常だ。その割合が当社は高い」として他社からの顧客獲得については、かなり時間が経たないと見えてこないと話した。

 スマートフォン投入が遅れたそもそもの原因については、力の入れ方がフィーチャーフォン(従来の携帯電話)に偏っていた点、また前述のようにフィーチャーフォンからの乗り換えを戦略に入れていた点を挙げた。「お客様が必要とされる機能を搭載した製品を最初から出そうと考えていたことが遅れた原因だ。したがってグローバルなスマートフォンを出すことにこだわっていれば、もう少し早く投入することは可能だったと思っている。ただ、それが良かったかどうかというのは別問題だ」。

■KDDIならではの差別化と競争のポイント……固定系との連携

 各社のスマートフォン投入によって競争が激化していくなかで、戦略上のポイントを質問された小野寺社長は、端末単体で競争力をつけていくのは難しくなっていくとの見通しを述べた。「(今後は)まったく同じような端末が他社でも発売されることになっていく。そうなるとアプリケーションでどれだけ魅力のあるものを、事前にお客様に提供できるか」が勝負だとした。アプリの展開例としては、KDDIが先行して提供し、その後ほかのキャリア向けに開放することで、できるだけ多くの人にアプリを提供したいという開発者の要望に応えるという形も考えられるとした。

 また、KDDIならではの強みを生かすには、固定系のアクセスネットワークとの連携が重要との見方を示した。「KDDIはFTTHを自前でもっている。この強みが有利に働くのは当然だと思っている。ここをどう使っていくかが今後の大きな課題だ」。小野寺社長はスマートフォンに代表されるデータトラフィックを他に流すという上で、自前の固定系は利点があるとの見方を示すとともに、エンドユーザーにとっては固定系・移動系の区別はなくなる時代がやってくると話した。「ネットワークの仕組みがどうのこうのというのは我々の問題であって、エンドユーザーから見れば、自分がどれだけ(快適に)使えるかが問題だ。そこにどうやってサービスを提供するかが差別化の要因になる」。

 固定系については前述のように利益改善してきているが、KDDI単体ではまだ赤字となっている。小野寺氏はグループ会社の中部テレコミュニケーション(CTC)の例を挙げ、「CTCは昨年度から黒字に転換している。まさしく、このあとをKDDI単体は追いかけている状態だ。法人系ではKDDIも黒字をだしているが、FTTHでまだ赤字だ。FTTHの赤字が縮小され、その後は客の増加とともに売上利益とも伸ばすことができる。単体でも増収増益を図っていくし、それはできると思っている」と自信を見せる。

■小野寺社長、最後の会見

 小野寺社長は今回が最後の会見となる。氏は会長職に退き、12月1日からは田中孝司氏が代表取締役社長に就任する。同社は小野寺社長のもと経営計画として「チャレンジ2010」を掲げてきた。10年間の総括を記者から求められた社長は次のように述べた。「正直いってこの10年間でこれほどまでに変わるとは思っていなかった。私にとって一番大きな課題であったのは、3社合併をどう成功裏に収めるかだった。その点は、比較的うまくいったのではないかと思っている。ただ、固定系のネットワークの統合、スリム化が遅れたというところはあった」。
《RBB TODAY》

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