【クチコミ分析最前線】斉藤徹氏が考える、ビジネスを成功に導く次世代マーケティング | RBB TODAY
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【クチコミ分析最前線】斉藤徹氏が考える、ビジネスを成功に導く次世代マーケティング

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ループス・コミュニケーションズ 代表取締役社長 斉藤徹氏
  • ループス・コミュニケーションズ 代表取締役社長 斉藤徹氏
  • 「企業の意図を消費者は瞬時に見抜く。ソーシャルメディアにおいてはクチコミをコントロールしようしたり意図的な動きは通用しない」
  • 「ユーザーにとっても単なるクチコミではいくら出ても意味がない。信頼関係にある人、同じ趣味を持っている人からのクチコミが重要だ」
  • 「意図的な宣伝は、ユーザーがそのとき必要としている情報ではないためNG。極端な言い方をすればTVCMや従来型広告はスパムと同じ手法なのです」
  • 企業規模が大きくなるほど、ツイッター効果を実感
  • ツイッター利用時の目的と効果測定指標
  • 大企業(売上志向)成功事例
  • 大企業(長期志向)成功事例
 「ビジネスを成功に導く企業ツイッターのあり方」と題するレポートが注目されている。作成したのは、ソーシャルメディアプロモーション関連のコンサルティングに定評のあるループス・コミュニケーションズの代表取締役社長、斉藤徹氏だ。今回は、ソーシャルメディア時代のマーケティング戦略、その効果やメリット、効果測定について話を聞いた。

●意図的な宣伝が有効な時代は終わった

 「企業の意図を消費者は瞬時に見抜く。ソーシャルメディアにおいては、従来の企業広報や代理店のプロモーションのようにクチコミをコントロールするような、企業本位の意図的な動きは通用しない。そもそもコントロールしようとすること自体失礼。自社商品・サービスが愛されることが大事。良い事を語ってもらうためには、良い事をしないとだめ。人と人のコミュニケーションでは当たり前のこと」と、斉藤氏は言う。

 さらにツイッターの企業利用状況について、「他のソーシャルメディアと比べ、ツイッターはブロードキャスト効果が高く、マーケティング手法としてマスメディアのアプローチが適用しやすい部分がある」と説明する。実際、Fortune 100社のツイッター利用率(65%)は、Facebook(54%)のそれより高く、これはツイッターにブロードキャストパワーがあり、企業にとって活用しやすいということを物語る。また企業規模が大きくなる程、ツイッターによる効果を体感しているという結果もある。その理由として、大企業ほど一定数のフォロワーを集めやすいことに加え、きちんと体制を作ったり、目的やゴールを設定したり、KPI(重要業績評価指標)の設定なども明確にする傾向があることがあげられる。

 斉藤氏が示した、企業のツイッター運用チームに所属する315名への調査結果によると、企業のツイッター利用目的としては、「好感キャラクタを演出」(34%)、「利用者とのフランクな交流」(31%)、「業界の有益な情報を提供」(25%)などユーザーとのコミュニケーションを重視した回答があげられていた。「これは確かに正しい傾向である」と斉藤氏は言う。

 またツイッター利用による効果としては、「公式ブログのアクセスが増加」(66%)、「自社サイトのアクセスが増加」(59%)などアクセスに関するものや、「ツイッターからの問合せが増加」(57%)、「Web/メールからの問合せが増加」(53%)といった問合せに関するもの、さらに「ECサイトの売上が増加」(50%)、「新規顧客数が増加」(48%)など売上に関する回答が得られている。定性的な効果としては、「営業で顧客との関係が向上」(50%)、「顧客の満足度が向上」(44%)などが見られた。

●企業ツイッター成功のポイントは?

 では、具体的にどのような点が、企業におけるツイッター活用の成功ポイントとなるのだろうか。まず、ツイッターによって何をしたいのか、何を実現したいのかを明確にすることから始まる。企業のツイッター利用目的は、大別すると「対話エンゲージメント」「販売プロモーション」「顧客サポート」「コラボレーション」の4つが代表的だと斉藤氏は言う。

 さらに、その各々に「対話エンゲージメント」ならインフルエンス率(リツイート数/ツイート数)、「販促プロモーション」であればコンバージョン率、「顧客サポート」なら問題の解決率、「コラボレーション」なら利用者からのフィードバック件数と、具体的な指標に対するゴールを設定する。また、総合的な指標としてはNPS(ネットプロモータースコア)が有効だという。これは、「会社・商品・サービスを友人・知人に勧めますか?」という質問に対して、0から10までの11段階評価をしてもらい、その平均値によって算出される。シンプルな指標ではあるものの、企業の商品やサービスの質を問われる、本質的な指標だ。現在世界で最もNPSが高いのは、靴をオンラインで販売している米国の企業、Zapposの9点だという。

 目的が定まったら次に重要なのは、運営体制を決めることだ。休日体制を含む運用ガイドラインや担当シフトなどが整備されていれば、ツイートにオンタイムで対応が可能になる。顧客サポート目的に利用する場合、この機能は重要だ。すばやい対応が可能であることは、炎上対策にも有効だと斉藤氏は言う。ソーシャルメディアのアカウントの有無を問わず、企業に対する非難や議論は、いつ、どこで起こるかわからない。もし、どこかのブログやサイトで自社に関する議論の炎上が起こった場合、それをすばやく検知し、正しい情報や適切な謝罪などを発信することで、炎上を防ぎその後のフォローもしやすくなる。

●企業アカウントからの理想的なつぶやき方

 ツイッターを使って実際にプロモーションや情報発信などを行う場合、注意すべきポイントは何だろうか。斉藤氏によると、企業アカウントから発信するつぶやきの理想的な内訳としては、6割が個別対応の情報、2割前後はターゲットとしている顧客層に役立つ情報となり、直接的な宣伝リンクやPRページへの誘導といった情報は1~2割が望ましいという。このバランスが崩れると失敗する可能性が高いそうだ。斉藤氏は「ツイッターの本質はコミュニケーションツール」であるとしており、企業の一方的な情報発信は炎上につながりやすいという。

 さらに「意図的な宣伝はNGと言いましたが、それはその人がそのとき必要としている情報ではないからです。極端な言い方をすればTVCMや従来型広告はスパムと同じ手法なのです。消費者が、今まさにこのサービスが欲しい、こんな商品を探しているということがリアルタイムでわかり、そこに適切なレコメンドを与えるなら、スパムにはなりません。ツイッターにはそれが可能です」と語った。

●単なるクチコミでは効果がない

 ツイッターでの効果測定について、斉藤氏は「従来好感度やロイヤリティの測定にはコストがかかっていたため、中小企業の利用は難しかったが、ツイッターを使えば擬似的なものであれば測定がある程度可能」とする。斉藤氏はツールの具体名を取り上げることはしないとしながらも、ツイッターの効果測定をするうえで、重要となる機能をリストアップしてくれた。

 まず、コミュニケーションを行うためには、クライアントツールが必要となる。ツールやサービスはマルチアカウントに対応していることはポイントになる。企業においては一定の体制で運営することが望ましいので、承認機能を持ったワークフローも重要だそうだ。

 分析機能でいえば、ツイッターのトラフィックを網羅的に観測・集計できること、ドリルダウンやレポート機能は基本であるとし、加えて、ツイートがそれに共感した人のリツイート(同好)なのか、一定の信頼関係(フォロー、フォロワー)に基づいたツイートや返信なのかを分類できることも重要だ。これらを把握できると、ツイッター上のインフルエンサーをピックアップすることになるため、マーケティング活用では無視できない。「ユーザーにとっても関係の薄いクチコミではいくらあっても意味がない。信頼関係にある人、同じ趣味を持っている人からのクチコミが重要だ」と斉藤氏は言う。


斉藤徹氏プロフィール:株式会社ループス・コミュニケーションズの代表取締役社長
・1985年から日本IBMでSEとして勤務
・1991年に携帯ベンチャー、Flexfirmを創業
・2005年にソーシャルメディア・ベンチャー、ループス・コミュニケーションズを創業
《中尾真二》
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