孫正義氏、NTT幹部との直接対決を要求――“「光の道」構想” | RBB TODAY
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孫正義氏、NTT幹部との直接対決を要求――“「光の道」構想”

ブロードバンド 回線・サービス
ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏
  • ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏
  • 説明会の模様はUSTREAMとニコニコ生放送で生中継もされた
  • 議論のライブ中継やTwitterなどによる意見募集、NTTら他の当事者との直接討論を提言
  • 線長や経過年数が長い、地方に引かれたメタル回線ほど保守コストが高く、ネットワークを光回線に一元化することによって約5000億円の収支改善につながるとの試算結果
  • 線長や経過年数が長い、地方に引かれたメタル回線ほど保守コストが高く、ネットワークを光回線に一元化することによって約5000億円の収支改善につながるとの試算結果
 ソフトバンクは23日、総務省が行った“「光の道」構想”に関する事業者ヒアリングに参加。同日、報道関係者向けの説明会を開催した。

 「光の道」とは、2015年ごろまでに日本の全世帯で光ブロードバンド接続が利用されるよう、基盤整備・利用率向上を推進するという構想で、総務省の研究会「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース」および同タスクフォース内の部会で政策のあり方について検討が行われている。この日のヒアリングでは、NTT、KDDI、ソフトバンク、イー・アクセス、ケイ・オプティコム、ジュピターテレコムの通信事業者6社が総務省を訪れ、作業部会の構成員に対してプレゼンテーションを行った。ヒアリングは事業者1社ごとと構成員の間で行われ、外部には非公開だった。

■NTT幹部との「公開直接対決」を要求

 ヒアリング終了後の20時からソフトバンク本社で行われた説明会の冒頭で、同社の孫正義代表取締役社長は、この構想に関する議論の進め方自体についてもヒアリングの席上で提言を行ったことに触れた。

 光の道構想は国民生活全体にかかわるインフラの問題であるにもかかわらず、その議論が非公開で行われるのは好ましくなく、政策決定までのプロセスはインターネット中継を含めた公開の場で行うべきとしたほか、事業者が事業者同士で議論するのではなく、部会の構成員に対して説明を行う形式について「ボクサーがレフェリーに対してパンチを打つ」ようなものであると表現。構成員は各事業者のプレゼンテーションを評価する審判の立場にあり、審判に向かっての発言は与える心証にも影響するため、この形式では本音の議論はできないとした。

 現在の電話回線について、すべてのメタル回線を光回線に置き換えるとともに、NTT東西からアクセス回線事業を構造的に切り離すことによって、大幅なコスト削減とサービス競争の促進が実現するというのが、この議論の中でソフトバンクから主にNTTに向けて主張されている内容だ。孫社長は、この主張に関してソフトバンクに向けて投げかけられた疑問や指摘に対しては、かかる費用を試算したうえですべて回答済みであり、同社の主張に誤りがあるならば、NTTは具体的に数字を挙げて反証すべきと強調。ソフトバンクとしては公開の場での議論にいつでも臨む用意があり、NTTグループ経営幹部との直接討論でソフトバンク側の主張の正しさを証明したいとし、NTT側との「公開直接対決」を要求した。

■「残り10%に光はムダ」という意見は「よくある誤解」

 ソフトバンクの主張には従前から変化はなく、この日のヒアリングにおけるプレゼンテーション内容もこれまでの公開対談などでの説明を踏襲したものだったという。その上で、黒電話だけで十分な世帯にも光を引くのはムダ、光は既に90%の世帯で使えるのに契約が進んでいないのはADSLで十分だから、といった「今でもよくある誤解」(孫社長)に対して「メタルの赤字を止めるために光に置き換えるだけであって、光をムダに引くということではない」(同)という説明を繰り返した。

 ソフトバンクの試算では、NTT東西のアクセス回線部門における赤字要因のほとんどは、古いメタル回線の保守コストにあるとし、メタルと光という二重のネットワークの維持をやめて光100%にすることで、5,000億円近い収支改善につながるとしている。この、全世帯の電話回線の足回りをメタルから光に置き換えるべきという主張が、不要な世帯にまで光インターネットを強制的に引くという話にしばしば曲解されているが、1日も早く赤字を止めるためメタル回線を全廃するのが本旨であるとし、孫社長は理解を求めた。

 また、光化によって本当に収支改善が実現するのか、現在の電話回線と同じ月額1,400円で光ブロードバンド回線を提供できるのか、という見方に対しては、NTTが数字を公開していない部分に関しての違算があるかもしれないが「公開されている範囲での計算とはいえ、我々も十分にプロとして精査している」(孫社長)とし、試算が大きく異なっていた場合は「ソフトバンクの説は根底から覆る。ごめんなさいといってこの説は引っ込める」(同)が、否定する場合は具体的な数値を根拠に反論してほしいと述べた。

 また、光ブロードバンドの利活用促進策としてソフトバンクが挙げているクラウド型の電子教科書、電子カルテについては「情報の更新は自宅や学校、病院内で行えばよく、外では内蔵メモリの情報で足りるので、3G通信機能は必要ない。Wi-Fiオンリーの機器でいいのではないか。Wi-FiオンリーのiPadは、ソフトバンクにはまったく利益は出ていない」と述べ、同社が光の道に賛同するのはiPadの通信契約などを促進するための“我田引水”ではないか、とする見方に反論。「日本が競争力を保って、高度な情報化社会になっていけば、20年後、50年後、100年後かもしれないが、間接的にソフトバンクグループのメリットになる。『光の道』で直接もうけようとは思っていない」とし、自社への利益誘導と指摘する意見については「それは”下衆の勘ぐり“。そのような卑しい思いで提唱しているのではない」と強く否定した。
《日高彰》
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