【ニールセン博士のAlertbox】iPadのユーザビリティ:ユーザーテストからの最初の所見(Vol.1) | RBB TODAY

【ニールセン博士のAlertbox】iPadのユーザビリティ:ユーザーテストからの最初の所見(Vol.1)

 iPadのアプリは一貫性に欠け、機能の発見しやすさの点で劣るため、ユーザーの偶然のジェスチャーによって、エラーが頻繁に起きてしまう。あからさまな印刷物のメタファーと奇妙なインタラクションスタイルはさらなるユーザビリティ上の問題を引き起こす。

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Jacob Nielsen博士
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 iPadのアプリは一貫性に欠け、機能の発見しやすさの点で劣るため、ユーザーの偶然のジェスチャーによって、エラーが頻繁に起きてしまう。あからさまな印刷物のメタファーと奇妙なインタラクションスタイルはさらなるユーザビリティ上の問題を引き起こす。

 「巨大なiPhoneみたい」というのがiPadをテストするように依頼されたユーザー達が最初に言ったセリフである。(2番目に言ったこと? それは「うわっ、重いね」だった)。

 しかし、インタラクションデザインの観点からいうと、iPadのユーザーインタフェースは iPhoneのUIを大きくしたものであってはならない。

 実際、今回の調査から得られた発見の1つは、画面最下部にあるタブバーはiPhone上よりもiPad上ではるかに機能しにくいということだった。小さな電話機の上では、たとえ、ユーザーの注意が画面中央のコンテンツに向いていたとしても、画面最下部にある控えめなアイコンにユーザーは気づくだろう。しかし、iPadの画面がずっと大きいことによって、ユーザーの視線はタブバーから離れた位置に向いている場合が多く、そうしたボタンは無視されてしまうのである(そのうえ、忘れさられる)。

 それ以外のiPadとiPhoneの大きな違いは、大きなタブレット上では通常のウェブサイトが割によく機能するということである。我々の行ったiPhoneのユーザビリティ調査で、ユーザーはウェブ上で進めていくことよりも、アプリを利用することを積極的に選んでいる。小さな画面上で利用するにはたいていのウェブサイトは単に負担が大きすぎるのである。(モバイルに最適化されたサイトではこの問題は軽減されるが、そういうサイトでもアプリに比べればユーザビリティに劣っている場合が多い)。

 iPadの大きな画面は通常のウェブページに対して、相応なユーザビリティを提供してくれる。もちろん、そこにはすべてのタッチスクリーンに共通の、ユーザーが小さなターゲットを正確に押すのを難しくする「fat finger(指が太いためにターゲット以外を押してしまうこと)」の問題は残っている。iPadでは読むこととタップすることの間の釣り合いが取れておらず、 読むには十分な大きさのテキストも、タッチするには小さすぎる。したがって、ウェブページにたくさんのiPadユーザーを惹きつけたいのなら、タッチゾーンを大きくすることを例外なく推奨したい。

 また、iPadの貧弱で制限のある環境と比べると、たいていのウェブページから提供されているエクスペリエンスは中身が濃く、充実しすぎている。したがって、iPadアプリによって突然、ウェブ上に送り込まれてしまったユーザーにとって、その遷移は不快なものになりかねない。

 10年以上もの間、(デスクトップの)ウェブサイトについて、ユーザーに第一印象を聞くと、「ごちゃごちゃしている」という答が一番多かった。対照的に、iPadアプリの第一印象では「美しい」 という言葉が多く聞かれた。ユーザーエクスペリエンスがより心地よいものになったというのは、特にそのデバイスがビジネス用というよりはレジャー用のコンピューターになりそうな場合には歓迎すべき変化であることは明らかだ。しかし、機能やコンテンツから真の恩恵を得るためには、美しさのために実際のアプリの利用を犠牲にすべきではないだろう。

■最初の調査

 AppleからiPad が発売されて数週間後、我々はそのアプリとコンテンツについて、最初の調査を実施した。テストは7人のユーザーで行った。全員が少なくとも3ヶ月間、iPhoneを使ったことのあるユーザーだったが、iPadに「熟練している」ユーザーは1名のみであった。

(このユーザーはiPadを1週間しか使った経験が無い。これは我々がユーザビリティ調査の参加者に「熟練している」ユーザーとして通常要求する最低1年の経験よりははるかに短い)。

 この調査から得られた結果が予備的なものであることは明らかである。しかしながら、ともかくも結果を発表しようと思う。なぜならば、iPadのプラットフォームはたいへん異質であり、今後数ヶ月間でかなりの数のアプリケーションが開発されることになるだろうからだ。たとえ、現時点でわかっていることに欠けている部分があるにしても、既に存在しているユーザビリティの知見から得られる手がかりも無しにこうしたアプリのすべてがデザインされるとしたら、それはもったいないことだろう。

 我々がテストしたのは以下のアプリケーションとウェブサイトである:

ABC player
Alice in Wonderland Lite
AP News
Art Authority
BBC News
Bloomberg
craigsphone (Craigslist)
eBay (アプリとウェブサイトの両方)
The Elements (物理の教育用ソフト)
Endless.com
Epicurious
ESPN Score Center
ESPN.com
Gap
Gilt
GQ magazine
GWR Lite (Guinness World Records)
iBook
IMDb (Internet Movie Database)
iverse Comics
Kayak (kayak.com)
Marvel Comics
MLB.com (Major League Baseball)
Nike.com
Now Playing
NPR (National Public Radio)
The New York Times Editors' Choice
Popular Science
Time Magazine
USA Today
virginamerica.com
whitehouse.gov
Wolfram Alpha
Yahoo! Entertainment

「iPadのユーザビリティ:ユーザーテストからの最初の所見(Vol.2)」へ続く

※この記事はユーザビリティ研究者ヤコブ・ニールセン博士が運営するサイトuseit.comで連載中のコラム『Alertbox』の転載・翻訳記事です。
株式会社イードが運営する「U-site」では、博士からの正式な許可を得て同コラムの全編を日本語訳し公開しています。
《RBB TODAY》

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