【富士通フォーラム2010(Vol.34)】サーバ仮想化導入事例と活用のポイント――松島秀男氏 | RBB TODAY

【富士通フォーラム2010(Vol.34)】サーバ仮想化導入事例と活用のポイント――松島秀男氏

エンタープライズ ハードウェア

富士通 プラットフォーム技術本部 IAサーバシステムセンター 部長の松島秀男氏
  • 富士通 プラットフォーム技術本部 IAサーバシステムセンター 部長の松島秀男氏
  • サーバ仮想化製品/機能を支える技術
  • 最新仮想化製品技術と仮想化製品選択のポイント
  • 仮想化システム導入の流れ(重点ポイント)
  • 社会福祉法人日本身体障害者団体連合会:旧資産のP2V延命
  • 三協・立山ホールディングス:テレワーク事例
  • 富士通トラステッド・クラウド・スクエア
  • 簡易サイジングツールで削減効果を見える化
 富士通フォーラム2010で14日、サーバ仮想化の導入事例を中心に、VMware/Hyper-Vの技術と活用ポイントを紹介するセミナー「事例で学ぶ、PCサーバ仮想化徹底活用」が開催され、富士通 プラットフォーム技術本部 IAサーバシステムセンター 部長の松島秀男氏が登壇した。

 クラウドはIT最適化に向けた理想の形の1つであり、市場の話題も“仮想化”から“クラウド”に移行してきている。ただしクラウドのコア技術となるのは仮想化技術であり、クラウドへの道のりでは、仮想化を理解し適用経験を積むことが非常に重要である。一方で、仮想化を適用している企業の比率はまだまだ低く、仮想化導入の動きはこれからも増加していく傾向にある。松島氏によると、すでに仮想化を導入した企業の93%は期待どおりの導入効果を実感しているということで、仮想化導入効果の高さがうかがえる。

◆仮想化製品選択のポイント

 ハイパーバイザ機能やマイグレーション機能など仮想化の主な機能では、ヴイエムウェアの「VMware」とマイクロソフトの「Hyper-V」に大きな違いはない。

 最新の技術として、VMware vSphere4の「シンプロビジョニング」機能やHyper-Vの「コアパーキング」といった特徴的な機能がある。特にVMwareのシンプロビジョニングは注目されており、未使用のディスク領域をリソースプール化し、ディスクの管理/運用を容易にすることが可能となっている。Hyper-Vのコアパーキングでは、負荷状況により特定のCPUコアに処理を片寄せし、省電力化を実現しているという。

◆仮想化導入における重点ポイント

 仮想化の導入には多くの検討要素があるが、押さえておくべき4つの重要なポイントが紹介された。

(1)サイジングは「しっかり」と、ただし「ほどほど」に
 サイジングに時間とコストをかければ精度が上がるが、ある程度大まかなサイジングでも、仮想化するとシステムの可搬性が高まる。この優れた特長を活かし、運用中に負荷が高くなったら平準化する機能が活用できる。サイジング精度向上に時間をかけるより、仮想化活用に時間をかけるべきである。

(2)サーバあたりのゲスト数は、多ければよいというものではない
 ゲスト数を増やせばCPUやメモリの強化が必要になってくる。ゲストあたりの単価/性能を考慮した費用対効果の高いゲスト数を狙うことがポイントになる。

(3)バックアップ設計はしっかりと
 導入後のバックアップ運用の見直しは、ディスク設計の手戻りやゲストOSの再配置が発生する。

(4)仮想環境の動作とサポートは別、パッケージシステムも忘れずに
 パッケージシステムのサポートを確認しなかったために、スケジュールが延伸したケースもある。

◆仮想化導入事例

・インターネット基盤の仮想化(サーバ集約、VMware)

 まず、サーバ集約の効果と導入ポイントについて、株式会社シンフォームの事例が紹介された。

 同社は、Webサービス拡大に伴うITインフラ機器の増大と、企業としてのグリーン化対応への気運の高まりにより、グループ内のインターネット基盤の仮想化に着手。導入システムには、将来の増強を見越したブレードサーバ、および実績のあるVMwareを採用し、HAやVMotion、高速コピーといったストレージを活用する高可用性構成を構築した。

 なお、この「ブレードサーバ(もしくはラックマウントサーバ)+仮想化ソフトウェア+ストレージ」という構成は、仮想化の標準的なシステム構成である。

 導入効果として、まず運用面では、仮想マシンのリモート管理による迅速化や、クローン機能によるサーバデリバリの迅速化、無停止メンテナンスによる保守性の向上、また管理面では、物理サーバの減少による管理コスト削減、環境貢献、ファシリティ費用等を含むTCO削減などが得られたという。

 加えて、この導入を通じて同社からは、現在導入を検討している企業に有用な、下記のような仮想化導入のポイントが得られたという。

 「メモリ/ディスク資源」では、仮想化による削減効果は、CPUを指標とすることが多いが、枯渇しやすいのはメモリとディスクである。枯渇しないよう将来を見据えたサイジング、および定期的なリソースの増設プランが必要となる。

 「リソース管理」では、サーバやリソースの考え方が従来と大きく異なるため、仮想環境ではリソースの管理・運用が難しい。そのため、初期リソースをシステムとして決めてしまい、後は運用で柔軟に対応する割り切りが必要である。

 「高速コピー」では、細かい制限事項があるため、運用の仕方によっては利便性が得られないだけではなく、システム的にも不都合を生じる場合もあるので十分に設計する必要がある。

 「コスト削減効果」では、VMotionやHA等はメンテナンスビリティを高めることができるが、ストレージが別途必要となるため、単体サーバに比べてコスト増となる。そのため電気代やホスティング費用等も考慮し、トータルのコスト削減効果で考える必要がある。

・開発/検証環境の仮想化(開発検証、Hyper-V)

 株式会社東武ストアではハードウェア老朽化による性能問題やバックアップ運用の煩雑化という課題と、内部統制が急務となっており、システム更新を1年前倒しにする必要があった。そこで開発/検証環境に仮想化技術を採用し、検証環境の構築コストを1/3に抑え、構築期間も1週間から1日に短縮することを実現。検証スケジュールはそのままに、短縮した構築工数を検証作業の回数を増やすことに振り向けることで、本番環境に向けたシステム品質確保に大きく貢献している。結果として、本番環境稼動までのスケジュールを遵守することができている。

・旧資産のP2V延命(旧資産延命、VMware)

 社会福祉法人日本身体障害者団体連合会ではサーバ老朽化にともなうインフラ更新にあたり、コスト削減、スケジュール短縮、運用ノウハウの継承という課題を解決するために仮想化を採用。仮想化への移行にP2V(Physical to Virtual)ツールを使い、約1か月という短い期間で移行を完了している。よくサーバ仮想化のメリットはある程度の規模がないと効果が得られないと言われるが、仮想化導入サーバは2台という小さい導入規模ながら、パッチ適用や電気代など運用コストのメリットを確保することもでき、インフラ更新によりスペック向上した最新サーバ上で旧資産を稼動させることにより、レスポンスの向上というメリットも得られているそうだ。仮想化は中~大規模システム向けの技術と思われがちだが、小規模でも十分に仮想化のメリットを享受できる。

・テレワーク(クライアント仮想化、VMware)

 三協・立山ホールディングス株式会社はワークライフバランス(育児/介護と仕事の両立)実現のための在宅勤務に向けた外部接続環境整備にVMwareによるクライアント仮想化を採用。職場にいるのと変わらないデスクトップの使い勝手を実現した。同社では、クライアント仮想化を、新しい働き方、雇用の創出に繋がる利用形態で活用している。このシステムにより、育児や介護を理由にした優秀な社員の離職を防ぐ効果や、データの社外持ち出しをしないテレワークが可能となり、セキュリティの確保という効果も得られているという。また、クライアント仮想化もサーバ仮想化も同じOSの仮想化であることから、すでに進めていたサーバ仮想化と同一基盤上でこのシステムを構築している。これにより、サーバ/クライアント環境の統一した運用管理を実現している。

◆富士通サーバプラットフォームと検証サポートおよびサイジングサービス

 富士通では、仮想化におけるサーバプラットフォームで、エントリーからハイエンドまでに対応するPCサーバ「PRIMERGY」や、メインフレームクラスの信頼性・可用性を備えた基幹IAサーバ「PRIMEQUEST」など、利用目的/業務規模に合わせた幅広いラインナップを揃えているという。

 顧客のサーバ仮想化導入を支援するサービスとして、国内最大規模のICTシステム検証施設および、ショールームである「富士通トラステッド・クラウド・スクエア」(無償)を東京・浜松町に開設している。

 また、ベンダーを問わず顧客の資産の仮想化集約効果をWeb上で確認できる「簡易サイジングサービス」(無償)や希望があれば富士通オリジナルの簡易サイジングツールを利用したサイジング(無償)を用意していることを紹介し、松島は講演を終えた。
《柏木由美子》

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