【インタビュー】地域の絆を強めて街を活性化〜2010年へ加速する安城市の地域ポータル | RBB TODAY

【インタビュー】地域の絆を強めて街を活性化〜2010年へ加速する安城市の地域ポータル

 「地域住民の繋がりを強化し地域を活性化しよう」——日本三大七夕のひとつ「安城七夕まつり」で有名な愛知県安城市は、安城市地域情報化計画の一環として地域密着コミュニティサイト「あんみつ」をスタートさせた。

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岩瀬昭彦氏
  • 岩瀬昭彦氏
  • 中屋敷志保子氏(こしあん)
  • 岡田玉子氏(つぶあん)
  • 天野正樹氏
  • 小島祥次氏
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 「地域住民の繋がりを強化し地域を活性化しよう」——日本三大七夕のひとつ「安城七夕まつり」で有名な愛知県安城市は、安城市地域情報化計画の一環として、2008年12月1日に、ポータルサイトとSNSからなる地域密着コミュニティサイト「あんみつ」をスタートさせた。

◆「あんみつ」で安城市を活性化

 「既存の人間関係を強化し新たなつながりを構築する“SNS”と、それをフックにサイトに集客し、情報発信するポータルサイトで、地域の活性化を図ろうと、LASDEC(地方自治情報センター)の補助を受けて2008年に実証実験を開始し、同年の12月に正式オープンしました」と、安城市企画部情報システム課情報推進係 課長補佐(情報推進担当)の岩瀬昭彦氏は説明する。

 この「あんみつ」がオープンから1年、2009年12月23日にリニューアルオープンした。これを機に、「あんみつ」は安城市の活性化にどのように貢献しているのか? リニューアルの目的は何か? また今後の抱負について、岩瀬氏ほか、運営を担当するmeets代表取締役の小島祥次氏、meetsスタッフで「あんみつSNS」管理人の中屋敷志保子氏(ニックネーム:こしあん)、岡田玉子氏(ニックネーム:つぶあん)、リニューアルを担当したメビウスリング代表の天野正樹氏らに話を聞いた。

 インタビューを行った12月16日現在、会員数は875名。アラフォー世代が中心で、特に主婦層がアクティブに活用しているという。女性たちは、「あんみつSNS」で知り合いランチをしたり、得意分野を教え合ったりなど、地域SNSの特性をうまく活用して生活に取り入れ、付き合いの輪を広げているようだ。また、同サービスは、身近に暮らす者同士のコミュニティ(市外の方の登録も可能だが多くは市民ユーザー)ということから荒れることもなく、コメントが付きやすいということもあり、人のつながりを感じ、人に言いにくい悩みを相談する方も多いという。

 「あんみつSNS」の特長として、ポイントシステムがあり、これも地域の活性化に一役買っているという。「日記やコメントを書き込むとポイントが付与されるのですが、これが欲しくてたくさん書き込んで4万ポイント以上も貯めた方もいるんです」と中屋敷志保子氏は言う。「ポイントは歴史博物館やデンパークの招待券、地元商店街のサルビアスタンプに交換できます。貯めたポイントを会員同士で交換できるので、誕生日にプレゼントしたり、クイズを出して当選者に贈ったりといった使い方もできるんです。あんみつのポイントを使って商店街で買い物をする方も多く、商店街の売り上げにも貢献しているんです」と説明する。さらに、「まちの学校」では、善意の寄付で募ったポイントで、子どもたちをデンパークへ連れて行くといった、地域密着サービスならではの、温かい取り組みも行われているという。

 そして管理人の“つぶあん”さん“こしあん”さんの二人が、サイトを盛り上げていることも、「あんみつSNS」好調の原動力になっていると、関係者は口をそろえる。

◆「SNSとポータルの融合」と「スピードアップ」

 当初の目的は果たされ、軌道に乗っているかに見える「あんみつ」だが、なぜ、リニューアルを行ったのだろうか? それには、登録者数は想定内であったが、アクティブ率が想定を遥かに上回ったという、嬉しい誤算があった。今年の春ごろから負荷が集中し、「動作が重い」というユーザーからの声が寄せられるようになった。また、安城市としても、もともと地域ポータルを作ることを目的に、SNS機能を組合せて設計したものであるにもかかわらず、SNSの盛り上がりに比べ、ポータル機能はあまり活用されていないという課題があった。そこで、「SNSとポータルの融合」と「スピードアップ」の2点をポイントにリニューアルを行うことになった。

 ここで立ち上がったのが、地元企業のメビウスリングだ。同社代表の天野正樹氏は「あんみつ」のユーザーの一人で、「ユーザーとして動作が遅い、使い勝手が悪いとの不満があり、地域SNSを盛り上げたいと思い改善策を提案しました」と語る。ソースプログラムの変更と専用サーバの追加という大リニューアルを行い、サーバはハードウェアの選定から組立てまでをすべて同社で行い、24時間耐久高負荷テストにも合格した。ソースプログラムの変更は、オープンソースのSNSエンジン「OpenPNE」をベースにカスタムすることで、開発期間と開発コストを大幅に削減したという。

 岩瀬氏は「熱意が伝わりメビウスリングさんにお願いすることにしました」と、業者選定の経緯を話す。こんなところでも、「あんみつ」は地域の活性化に一役買っているようだ。

 今回のリニューアルでは機能追加も行われている。「いまなに」はTwitterのような、気軽にコメントを書き込める機能で、meets代表取締役の小島祥次氏は「初心者の方にも気軽に書き込み参加してもらいたい」と期待する。また、OpenPNEベースのWysiwygエディタが採用され、動画(YouTube・ニコニコ動画)を貼り付けたり、Googleマップを挿入したり、文字の装飾を行ったり絵文字を利用することも容易になり、記事投稿の自由度が増大した。

 SNSのようなCGM(Consumer Generated Media)は、リニューアル後に使いにくくなったとユーザから不満が寄せられることも多いが、「あんみつ」では機能・性能強化を行いながらも、ユーザーインタフェースの変更を極力抑えた点でも、リニューアルに成功したと言えそうだ。関係者は「メビウスリングさんにはいろいろと無理を言ったが、見事に応えてくれた」と感謝する。また、「反応が遅いということで離れていったユーザーにも、また戻ってきてもらいたい」と期待する。

◆2010年へ向けて加速する安城市の地域ポータル

 小島氏によると、今後は有料サービスの計画もあるという。「あんみつでは自主運営を目指しており、お店や企業にスポンサーになっていただき、地域で信頼されるためのイメージアップのツールとして活用していただきたい」と意欲を見せる。また、Webに止まらず、紙媒体やイベントを組み合わせたサービスを提供するなど、アイデアは尽きない。店主の顔の見える「日記」によるセール情報や、「いまなに」によるリアルタイムの空席情報など、地域密着コミュニティならではの、様々な可能性がありそうだ。

 最後に、人気管理人のつぶあんさん&こしあんさんに、今後の夢と目標を聞いてみた。こしあんさんは「会員を増やすことです。18万人の安城市民全員に使っていただきたい」と語り、「みんなが仲良くなれたらいいですね」と、家族の友達との偶然の出会いやボランティア活動への参加のきっかけになったことなど、自身がSNSで得た、貴重な体験を紹介した。つぶあんさんは「若いユーザーさんにももっと利用してもらいたいです。幅広い世代の方に利用していただき、いろんな方向に展開していってほしいです」と語った。

 オープンから2年目を迎え、大改造された新生「あんみつ」は、まだ動き出したばかりだが、意欲的で人気者の管理人をはじめ、関係者と安城市民に支えられ、さらに地域の絆を強めて、街の活性化に貢献するサイトへと発展することだろう。
《編集部》

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