【シリーズ・テレビ新時代】ライバルは地上波で満足してる顧客——デジタル化100%を目指すジュピターテレコム | RBB TODAY

【シリーズ・テレビ新時代】ライバルは地上波で満足してる顧客——デジタル化100%を目指すジュピターテレコム

IT・デジタル テレビ

5大都市圏で事業展開
  • 5大都市圏で事業展開
  • 放送事業戦略部長の高橋邦昌氏
  • J:COM TV 選べるコース比較表
  • 放送事業戦略部長の高橋邦昌氏
 世界同時不況で各社の業績悪化が報道されるなか、1月下旬に最高益を発表した企業がある。札幌、仙台、関東、関西、九州といった5大都市圏で事業展開を行うジュピターテレコム(J:COM)だ。2008年12月時点の運営会社は25社48局、対象世帯数は1224万世帯、総加入世帯数317万世帯という日本最大規模のケーブルテレビ局・番組供給業統括運営会社である。

 同社のサービスは、テレビサービス「J:COM TV」、インターネットサービス「J:COM NET」、電話サービス「J:COM PHONE」(「J:COM MOBILE」)に大別され、これらを合わせたいわゆるトリプルプレイを提供している。1月に開催された決算会見では、2010年半ばまでにデジタル化100%を目指すことを発表した。現在ではテレビサービスに地上デジタル放送、BSデジタル放送、多チャンネル放送、VODが楽しめる「J:COM TVデジタル」を前面に推し出している。ちなみに、インターネット接続サービスでは最大160Mbpsの「J:COM NET ウルトラ 160メガコース」を提供しており、FTTHから同社の「J:COM NET ウルトラ 160メガコース」に乗り換えるユーザーは12%であるという。

 基本的には他のケーブルテレビ事業者と営業エリアはバッティングしておらず、3〜4Gのアクセスラインを自前で敷設している。ただ、事業エリア外でも、電気通信役務利用放送事業者登録を行い、グループ会社であるジェイコム東京を通して東京・中央区(勝どき)の大型マンション「THE TOKYO TOWER」に超高速インターネット「J:COM NET 光」を導入するなど積極展開する。同マンションでは全戸に「J:COM TVデジタル」を提供している。

 今回は、放送事業戦略部長の高橋邦昌氏に、テレビサービスを含めた現状を直撃した。

——現状のテレビサービスの加入者数は?

256万世帯です。弊社ではデジタル化を推進していまして、現在、ユーザーのデジタル化率は78%です。

——これを2010年目標で100%にすると?

そうですね。我々は他社よりも先行して多チャンネルサービス、地上波の再送信を行ってきました。最初はアナログ技術を使ってスタートしたんですが、デジタルの方が周波数の利用効率が高いということで、順次デジタルに切り替えています。

——御社のサービスメニューのなかで人気の契約形態は?

「J:COM TVデジタル」になります。地上デジタル放送、BSデジタル放送、CSデジタル放送、そしてオプションチャンネルがあり、ハイビジョンチャンネルは地デジ、BS、専門チャンネルのなかで22チャンネルを放送しています。VOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスは約17,600タイトルです。また、オプションでHDR(3波対応デジタルチューナー+HDレコーダー)などを用意しています。電話とインターネットとのパッケージで加入される方が多いです。インターネットは30Mコースが多いですね。価格は、例えばJ:COM TVデジタル+J:COM NET 30Mコース+J:COM PHONEの組み合わせで10,390円(税込み10,910円)です。1,491円お得になっています。 

——ほかの事業者もテレビとのセットでインターネットを申し込む方が多くなっていると聞きます

他の事業者は、インターネットサービスを中心にテレビサービスもあるという位置づけです。我々はあくまでテレビサービスがメインで、「電話とインターネットも一緒に加入するとお得ですよ」というスタンスなんです。

——インターネットの加入者について、最近の傾向はありますか?

多いのはDSLからの乗り換えですね。新規の3〜4割を占めています。

——VODは加入者増のドライバーになっているのでしょうか?

なっています。それと、解約防止にも役立ってますね。デジタルサービスを開始して以来、どんどん解約率が低下しています。VODに関しては、毎月3割くらいのお客さんがVODのボタンを押していただいています。ただ、この比率は低いと考えてまして、まだ上げることができるだろうと思っています。ハリウッドのタイトルとか海外ドラマ、韓流ドラマのタイトルなどが増えてますが、購入数の5割はアダルト。その次に多いのがアニメ。アニメも30代、40代の男性が中心に視聴していただいてます。アニマックスやキッズステーションなどコンテンツの幅が増えてきているので、視聴者層も広がりつつあります。

——NHKオンデマンドが12月1日からはじまりました

弊社でもNHKオンデマンドはVODサービスのひとつとして提供しています。特選ライブラリーと見逃し視聴がありますが、画期的なのは見逃し視聴ですね。見逃し視聴は番組は総合テレビ、教育テレビ、衛星ハイビジョン、衛星第1、衛星第2の5波から1日10〜15本。「連続テレビ小説 だんだん」「大河ドラマ 天地人」など90番組以上をラインナップし、ニュースは「おはよう日本」「正午のニュース」「ニュース7」などが随時更新されます。日本のコンテンツは著作権者との交渉がなかなか進まなかったのですが、NHKオンデマンドをきっかけにタイトルの幅が広がりました。VODは利便性とコンテンツが魅力です。しかし、まだよく分からないというお客さんが圧倒的に多いのも事実です。

——ライバルはどこになるのでしょうか?

NTTであるし電力系の事業者であるし、またスカパー!もそうですね。しかしながら、最大のライバルは地上波で満足している視聴者なんです。解約理由や加入しない理由についてのリサーチをかけると「今のテレビで満足している」「観る時間がない」という理由が一番多いんですよ。日本の場合は、海外に比べて地上波が充実してますから、それで満足しているお客さんが多いですね。

——多チャンネルが魅力で加入される方がほとんどということですか?

ほかには、電波障害地域というところもありますし、安定した映像で観ることができるというのも大きな魅力になってますね。

——地デジは加入への後押しになってますか?

なっています。地デジを視聴するためにはアンテナを変更しなければいけない場合もありますし、地デジ対応チューナーを買わなければいけない。我々のサービスは、アンテナ設置は不要ですし、専用チューナー内蔵の(STB)もレンタルしてますから、BSとCSと地上波がシームレスに視聴できます。利便性とコストパフォーマンスがいいんです。

——他のケーブルTV事業社とは競合しないのですか?

そうです、エリアが分かれてますから。もともとCATVというのは国の方針で市区町村単位で設立されてきた経緯があります。今は規制緩和で広域運営が可能となっているので、同じ地域で2つのケーブルテレビ会社が存在してもいいということにはなっているんですが……。実際、2つのケーブルテレビ会社が運営して成功するのかというと、うまくいかないんですよね。

——貴社のネットワークについてお聞きしたいのですが

弊社はHFC(光同軸ハイブリッド)となっています。つまりお客さんの家の近く(ノードアンプ)まで光ファイバーを敷設し、そこから先は同軸ケーブルを敷いています。これが非常にネットワークの性能およびコスト的にも有利で、世界的には一般的なんです。HFCとFTTHを比べても、FTTHでないとできないサービスというのはないんですよ。唯一の我々の課題は何かというと、テレビサービスを先行して提供してきたんでアナログとデジタルを併用していること。これは2010年半ばを目標にアナログの多チャンネルサービスをデジタルに移行してしまえば、一挙に30〜35スロット分チャンネルの帯域があきますので、ハイビジョン化もさらに推進できますし、NHKオンデマンドのようなVODサービスも充実させていくことが可能になります。インターネットサービスに関しても、160Mbpsサービスほかにも、例えば200Mbps、240Mなどさらに高速なサービスを提供する際に有効利用できる帯域ができ、FTTHと比べてもそん色ない真の意味でのブロードバンドネットワークが構築できます。

——IPについてはどうお考えですか?

FTTHにしてもIPにしても、それは“サービスではなくて技術の話”という理解なんです。要するに、IPという技術を使えば、何かお客さんにプラスアルファのサービスができるのかどうかが問題なんです。安定的に届けられるかどうかが重要です。電話サービスについては、我々がサービス提供を開始した時はIPが未熟だったので、レガシーでどんどん広げていきました。そして2005年くらいに技術が成熟したときに札幌からIP電話サービスを導入していったんです。ただ、映像サービスの伝送に関しては、IPはまだ未熟なのでRFを使っています。HFCではなくFTTHでないと提供できないサービスというのはあるかというと、実際にはないんですよ。アナログ用の帯域が空けば、多くの新しいサービスが可能になります。通信事業者にはR&D部門があって、そこで開発された技術を商品化したいという“プロダクトアウト”の発想なんです。

——テレビはIPである必要がないと?

IPTVのメリットとして、よく挙げられるものに多チャンネルというのがあります。これに関しては、我々は昔からスカパーと組んでサービスを提供しています。もうひとつよく聞くのがHD。HDもRFの技術でとっくに実施してるわけです。VODにしても我々は提供していますから、まったく遜色ないですよね。さきほども申し上げたように、IPはあくまでお客さんに伝送する技術であってサービスではないという証しです。ただ、可能性としてあるのは、ネットと電話とテレビの融合サービスですね。これを実現する上では、同じプロトコルを使っていたほうが開発は簡単なので、IPにポテンシャルはあるでしょう。テレビ画面上で電話の発信者番号通知が登場して相手を選択するとか、TV画面上で電話のリストがあってそのままかけられる、番組とメールが連動していたりというのはIPのほうが実現はしやすいかもしれません。

——これからの課題は何ですか?

多チャンネルのコンテンツの中身は確実に良くなってきています。今後はVODも含めて、地上波で満足しているお客さんにもっと魅力を伝えていくということだと思います。
《RBB TODAY》

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