【最新ストレージ動向(事例紹介)】「RAIDなんていらない!」——ショッピングモールのシステム担当者が決めたストレージシステム | RBB TODAY

【最新ストレージ動向(事例紹介)】「RAIDなんていらない!」——ショッピングモールのシステム担当者が決めたストレージシステム

 ネットショッピングサイトの構築を手がける株式会社カウイチは、「livedoorデパート」の運営を引き継いで独自のシステムを構築するにあたり、“冗長化しない・バックアップをとらない”をコンセプトとしてシステムを構築した。

エンタープライズ その他
11月1日にグランドオープンした「買う市」
  • 11月1日にグランドオープンした「買う市」
  • カウイチ 総合企画部兼システム開発部 次長 長谷川憲司 氏
  • “Isilon IQ”製品ファミリ
  • Isilon IQ 1920
  • SmartConnect
  • SmartConnect
  • 買う市のシステム構成概要
  • システムについて熱く語る長谷川氏
 ショッピングモールの運営において、集客力を高め、出店者のビジネスチャンスを創り出していくには、それを支えるシステムが拡張性や堅牢性はもちろんのこと、保守性も備えることが要件となってきている。ネットショッピングサイトの構築を手がける株式会社カウイチは、「livedoorデパート」の運営を引き継いで独自のシステムを構築するにあたり、“冗長化しない・バックアップをとらない”をコンセプトとしてシステムを構築した。


 カウイチは、2007年4月から株式会社ライブドアより「livedoorデパート」の運営を引き継ぎ、livedoorサイト内でショッピングモールを展開していたが、11月1日より自社サイト「買う市ショッピングモール」(http://mall.cau1.com/)をグランドオープン。業界最大規模を目指すネットショッピングサイトを本格始動した。

 カウイチに登録した出店者は、買う市ショッピングモールとlivedoorデパートの双方に出店できる。つまり、出店者は出店料金をそのままに、エンドユーザーとの接点を増やすことができるのだ。カウイチでは出店者のビジネスチャンス拡大に向け、livedoorデパートに次ぐ新規提携先の交渉を進めているが、livedoorデパートの既存システムではこうした“ショッピングモールのOEM供給”の実現が難しかったため、独自にシステムの構築を進めていた。

●「データを壊さない」「サービスをダウンしない」ストレージを求めて

 新たなシステムの構築にあたり、現カウイチの総合企画部においてシステム開発をコーディネートする長谷川憲司氏には、「サーバもストレージも、システムそのものをプラグアンドプレイライクにする」というコンセプトがあった。

 「私は100人の社員が短期間で1,600人になるという強烈な企業成長スピードを実際に体験しました。しかしこうした急成長ができなければ、この業界では生き残っていけない。ですからそれを支えていくシステムインフラもまた、そのスピードに合わせていかなければならないのです。しかしながら、仮に資金が潤沢にり、システムをどんどん新しくしていくにしても、“見えないコスト”、つまり1〜2年ごとにハードウェアを入れ替える時間と人件費を考慮すると、システムにかかるコストは莫大なものになります。現在のカウイチの状況と、今後めざすサイト規模を考えると、簡単にかつ相当量まで増設できる、拡張性のあるシステムを初期導入しておく以外の方法は考えられませんでした。ラックに挿して電源ボタンを押せばOSもミドルウェアも勝手に起動してくれ、しかもいちいちバックアップをとったり、サービスを止めなくても良いシステム。そういうシステムを構築しようとしていました」(長谷川氏)

 買う市ショッピングモールのシステム全体のなかでもっとも将来的な予測が難しく、拡張性が必要とされたのが、出店者用の画像アップロードスペースであった。各出店者に対して画像スペースの制限をいっさい設けておらず、増加スピードによっては頻繁にストレージの増設や切り替えが必要になる可能性があったのだ。加えて長谷川氏は、「この部分を冗長化をするつもりはありませんでした。冗長化するくらいなら落ちないストレージを使って、冗長化で2倍かかるインフラのコストを1.2倍に抑えたかったのです」と語る。

 こうした長谷川氏のコンセプトに合うストレージはなかなか見つからなかった。パフォーマンスを求めるとSANが選択肢にのぼるが、莫大なコストがかかる。「NFSでパフォーマンスが出せれば、と思っていました。しかし私が以前、OSのプログラマーだったこともあり、極限まで使っていくとボトルネックになるNFSの部分をわかっていたので、それを解消するストレージはないかと、探していました」(長谷川氏)。そんなときに見つけたのが、アイシロン・システムズの“Isilon IQ”であった。「米国にいた時に“NFSでいいソリューションがある”ということは聞いていて、その簡単さやスピード、コスト面の良い評判も知っていました。Isilon IQのアーキテクチャを見て、“これこそ探していたストレージだ”ということがすぐにわかりました」(長谷川氏)

●RAIDでないストレージ「Isilon IQ」でデータを破損から守る

 アイシロン・システムズは、米国シアトルに本社を置くクラスタストレージ分野におけるリーダ企業であり、MySpaceなどのインターネット/Web 2.0分野から、官学、ライフサイエンスの分野まで、その導入実績にはビッグネームが名を連ね、日本企業への導入実績も数多い。

 アイシロンの“Isilon IQ”製品ファミリがNASやSANなど従来のストレージと決定的に違うのは、ファイルシステム/ボリュームマネージャ/RAIDを1つのファイルシステム“OneFS”と呼ばれるプラットフォームに統一することにより運用の大幅な簡略化を実現している点にある。このOneFSによってクラスタシステムの構築が可能になり、1,600テラバイトまでの単一のファイルシステムが可能となった。しかも容量追加に要する時間は、ダウンタイム発生なしの60秒以内という。製品ラインとしてはIsilon IQ 200、1920、3000、6000、9000のプラットフォームノードのほか、Isilon EX 6000、EX 9000およびIsilon IQ Acceleratorの拡張ノードが用意されている。また処理能力としてはトータルで10GB/秒まで実現可能、クラスタ内部通信としてInfiniBandにも対応している。

 では、RAIDを使わなくてもデータを失うことがない“Isilon IQ”のアーキテクチャとは? データを書き込む際、従来のストレージの場合は、1つの筐体の中にボリュームを複数作成し、ボリュームにまたがってデータを分割するという“ディスクドライブを守る”発想であり、筐体に対する障害に弱いとされている。しかし一方の“Isilon IQ”は、この課題をソフトウェアで克服すべく、データを筐体にまたがって書き込むことにより、1つの筐体の障害から“データを守る”発想である。また、パリティを付加してデータを書き込むため、筐体が壊れてもパリティを使って再計算することによりデータを保持し続けることが可能となる。また、筐体を積み上げるほどスループット向上し、並列処理が必要であるようなアプリケーションにも適したアーキテクチャとなっている。

 カウイチでは、イメージサーバのバックエンド用として「Isilon IQ 1920」を5台(5ノード)と、負荷分散とNFSフェイルオーバ機能を持つアプリケーションソフトウェア「SmartConnect」を購入した。SmartConnectは、万が一ノード障害が発生した場合も、実行中のすべての読み書きがクラスタ内の他のノードに引き渡されるため、ユーザやアプリケーションの接続が中断されることなく処理を終了することが可能だ。長谷川氏はこれらのアイシロン製品をすべて実環境用として構成し、冗長構成やバックアップ機能はいっさい構成していないが、「Isilon IQのアーキテクチャが理解できていればまったく心配する必要はない」と語る。

●攻めのビジネスに攻めのシステムを

 買う市ショッピングモールのグランドオープン時点のイメージのストレージ容量は10テラバイト弱。長谷川氏によると、「商品が売れれば売れるほど増強が必要になってくるインフラのため、おそらく1年後にはストレージを増設するでしょう。我々のショッピングサイトの場合は、出店者様から出店料をいただいていることもあり、投資すべきものにはきっちり投資できますから、タイムリーにどんどん増強していきたいですね。ショッピングモールビジネスにとって、ダウンタイムを発生させることなく60秒以内で増設できるIsilon IQは、我々にとって最善の選択だったと思います」

 長谷川氏はまた、Isilon IQをVMware用にも活用しようと考えているそうだ。「現在、開発環境をVMwareで構築していますが、将来的にはIsilon IQ内に別の領域を作り、VMwareのストレージとして使ってみたいと思っています。リソースのアロケーションやプロビジョニングが自由自在にできるIsilon IQだからこそ、その持ち味をうまく使って最大限活用していきます。カウイチのビジネスと一緒で、システム側も、とにかく“攻め”ていきますよ」(長谷川氏)
《RBB TODAY》

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