【APAC J-Partner Summit 2007(Vol.7)】アジア太平洋地域副社長のアダム ジャッド氏に聞くジュニパーの戦略 | RBB TODAY
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【APAC J-Partner Summit 2007(Vol.7)】アジア太平洋地域副社長のアダム ジャッド氏に聞くジュニパーの戦略

エンタープライズ その他
アジア太平洋地域副社長のアダム ジャッド氏
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「日本や韓国、香港、シンガポールではすでにDSLの接続が飽和状態に達したと言えます。ネットワークが従来よりもインテリジェントになり、同時にサービスプロバイダーが従来の異なるネットワークをNGNのアーキテクチャに統合しようとしています」。

 初日に基調講演を行ったアジア太平洋地域副社長のアダム ジャッド(Adam Judd)氏は、NGNの動きについて説明をはじめた。氏は、サービスプロバイダーが帯域幅を提供すればするほど、すぐに需要が満たされてくる今の動きは驚きだとしながら、ネットワーク上のハイディフィニションビデオトラフィックにより、帯域幅を増強させるニーズは高まっていくだろうと話した。また、ネットワークに多くのインテリジェンスを組み込んでいく動きは今後続いていくし、コンテンツデリバリーは5〜10年先もブームとなるだろうと予想した。

 「一般にNGNのようなネットワークを考えると、IPコアネットワークはMPLSを稼働させている場合が多いのです。しかし、日本ではIPv6となるでしょう。99.999%(ファイブナイン)の信頼性が求められ、日本のインフラ上で数テラビットのスループットで稼働するものとなるでしょう。ここはジュニパーがもっとも強みをもっている領域です」(ジャッド氏)。NGNのなかでジュニパーは全体のソリューションの一部を担っているにすぎないが、これから半年くらいの間に、各国でのNGNの成功事例をジュニパーが大きく取り上げるようになるだろうと付け加えた。

 また、ジャッド氏が同社の今後の展開のなかで改めて強調したのが、ハイパフォーマンスエンタープライズへのフォーカスだ。ハイパフォーマンスエンタープライズの定義についてはVol.6でも紹介したが、ITインフラが戦略的な差別化要因となっている企業である。しかし、ハイパフォーマンスエンタープライズへのアプローチは同社にとって何も新しい動きではない。「すでに日本で販売されてるファイアウォールの49%はシェアを獲得し、SSL、VPNは28%。SSGという統合型ファイアウォールの分野では、この6ヵ月間で0%から28%までシェアを伸ばすことに成功している。エンタープライズおよびサービスプロバイダー向けのハイエンドルータ製品は単価2万ドル以上の製品だが、この市場でも20%強のシェアをもっている」としている。今後はスレッドマネージメント、アクセス管理、アプリケーションパフォーマンス(高速化)の3点にフォーカスしソリューションビジネスのチャンスを広げていこうとしている。氏は、需要が伸びているのはアプリケーションパフォーマンスの最適化だが、戦略的に重要なのはアクセスコントロールではないかと思うと予想している。

 日本ではマネージドサービスも見逃せない。「NTTのようなキャリアは製品の再販もしているし、そういうマネージドサービスも提供するようになっています。こうした市場は日本で大変成功しており、キャリアのパートナーを通して何千もの顧客にセキュアなサービスを実現しています」。氏は日本でマネージドサービスの需要が多い理由について、「日本のエンタープライズ企業はキャリアを信頼しているということが挙げられます。NTTもKDDIも大規模で安定しており、セキュリテキーの高いネットワークを実現しています。このキャリアネットワークはもっとも要求水準が高い日本の顧客の要求を満たすために設計されています。日本の大手のハイパフォーマンスな企業に話を聞くと、多くはキャリアを信頼しており、そのネットワーク機能の一部をキャリアに委託することに安心感を感じていると思います」と話す。同社との関係では、一番普及しているのはセキュアマネージドサービスの分野になる。広く採用されているのが5-GTというルータとファイアウォールを組み合わせた製品で、アンチウィルス・新入検知やIDP(Intrusion Detection and Protection)も搭載されるようになっている。またSSG(セキュア・サービス・ゲートウェイ)製品もその市場にとって大切になってくるという。しかし、将来のビジネスチャンスで一番大きいのは、アプリケーションベースのSLA(Service Level Agreement)を実現するようなサービスであるという。

「ジュニパーの製品はそういう分野で強みをもっています。最初からインテリジェンスを作り込んだ製品なので、ネットワークの動きやアプリケーションの動きを監視し、それに関するデータをキャリアが利用しやすくしています。そういった情報がさらに優れたサービスの展開に有益になる。これまで研究機関や教育機関での次世代バックボーンの展開でも成功してきましたが、今後は電力会社にも大きなビジネスチャンスがあると思います。彼らはすでに何千キロ分もの光ファイバーを敷設しており、そのネットワークの利用を最大化しようとしています」。

 さらに、もともとルータの企業であった同社がアプリケーションレイヤーに技術を発展するようになった点について、ジャッド氏は次のように話した。
「従来のジュニパーのネットワークレイヤでの最大の強みは半導体で、ASICの開発だったと思います。ASICのデザインに関する多くのパテントを持っているのが強みでした。数年前なら太くて速いパイプを作っていれ良かったのですが、顧客はパイプのなかのデータの動きをより細かく把握する必要を感じています。パケットの内部を“見える化”することを望んでいます。例えばQoSでいえば、そのデータトラフィックが音声なのかビデオなのかも把握したい。どういうプロファイルを持ったユーザがアクセスしているかで細かく管理できることを望んでいます」。

 ただ、競合他社も同じような課題を抱えているだろうとしながら、「他社のデータシートをみれば、その会社もジュニパーがやっていることをやっていると口ではいっています。しかしキャリア網で何百万人ものユーザーを収容しながら99.9999%(ファイブナイン)の高い信頼性を達成しているのは実際にはジュニパー1社しかありません」と自信を見せた。
《小板謙次》
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