テクノロジー産業における今年のトレンドは「地球環境重視」 −デロイト トウシュ トーマツ調査レポートより | RBB TODAY
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テクノロジー産業における今年のトレンドは「地球環境重視」 −デロイト トウシュ トーマツ調査レポートより

エンタープライズ その他
 世界の連合組織体であるデロイト トウシュ トーマツ(本部:ニューヨーク)のTMT(Technology, Media, Telecommunications)グループは15日(米国時間)、2007年のテクノロジー業界予測レポート「TMT Trends:Technology Predictions, 2007」を発表した。

 同レポートは冒頭で、「2007年には、テクノロジー産業は環境を重視する姿勢を証明しなければならなくなるだろう」と挙げ、併せて「テクノロジー企業は技術が地球環境に対して大きく貢献していることを主張しようと試みるだろう」と予測している。

 また、環境にやさしい製品やサービスの設計、自社保有の技術を基盤とするサービスにより、環境への負荷を軽減する代替手段を利用できるようになったこと、さらには実際の消費電力量と比較して他との差を明らかにするなどの試みが予測される、としている。

 さらに、最重要課題のひとつである、持ち運び可能な動力源の課題に取り組み始めることで、風力発電、ソーラーパネル、波力発電といった環境にやさしい発電方法である「パワー・スカベンジング技術」の急増も見られるだろうと予測。同技術を利用することにより、環境を保護しながら、太陽光線、温度の変化、振動、運動、音、気圧といった手近にあるさまざまな動力源からエネルギーを発生させることができるとしている。

 レポートでは続けて、「商業的成功を収めるためには、ユーザインターフェイスを現在よりはるかに簡単で、単純なものに変えていかなければならない」と指摘。「現状では小売店に返品される消費者向け電子機器の半分以上は故障品ではなく、購入者がそのあまりの複雑さに困惑して返品する」と挙げ、ユーザインターフェイスの簡素化が、あらゆる形態の技術を消費者に普及させることができるとしている。そこで2007年は、製品の複雑性を最小限にできた企業が、技術的に優れてはいるが消費者が取り扱いにくい技術を導入した競合他社より、大きな成功を勝ち取るであろうと予測している。

 同レポートが挙げる主要なトレンドは以下のとおり。

●環境重視に向かうテクノロジー産業
 世界各地の消費者、企業、政府が次第に環境問題に意識を向け、関心を深めてきている中、気候変動の本当の原因、あるいはスケープゴートを見つけ出そうとする動きは、今後いずれも高まるものと考えられる。
 これまではエネルギー、運輸、工業部門が批判の矢面に立ってきたが、非難の矛先は次第にテクノロジー部門に向けられつつある。テクノロジー企業は、技術が地球環境に貢献していることを主張する一方で、環境に優しい製品やサービスを開発し、そうした非難に対処していかなければならない。

●パワー・スカベンジング技術の利用が活発化
 2007年にはテクノロジー産業が、その最重要課題のひとつである、持ち運び可能な動力源の問題に取り組み始めるだろう。毎年、310億ドル超が使い捨て乾電池に、また60億ドルが充電式電池に費やされており、電子機器の販売には10億個を超える充電式電池が含まれている。
 リチウムイオン技術は限界に近づいていることを考えると、テクノロジー企業は身の回りの環境からエネルギーを引き出すパワー・スカベンジング技術に解決策を求めるよう方向転換するだろう。体熱、周辺光、振動、運動などはすべて、消耗した電池の充電に利用される可能性がある。機器・デバイスの小型化により給電手段が限界に来ていることを考えると、低消費電力設計の強化とパワー・スカベンジング技術を組み合わせて、日常生活に必要となる機器・デバイスを普及させていく方向になるだろうとも予測できる。

●ユーザインターフェイスの改革
 小売店に返品される消費者向け電子機器の半分以上は故障品ではない。購入者がそのあまりの複雑さに困惑して返品するのだ。消費者の限界は20分であり、それを過ぎるとあきらめ、製品に欠陥があるとして店に返品する傾向がある。
 2007年には、テクノロジー企業が一致団結し、製品の取り扱い簡略化を目指す努力が必要になるだろう。企業の多くはユーザインターフェイスの再設計に焦点を置くものと見られる。その際には現行の技術と同時に、触覚学から人工知能に至るまでの新たなソリューションが用いられるだろう。製品の複雑性を最小限に抑えることのできた企業が、優れてはいるものの、どちらかというと扱いにくい技術を導入した競合他社より大きな成功を勝ち取るものと思われる。
《村上幸治》
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