「単にコアの数を競うことに意味はない」 -AMD、ATIとの合併を“融合”とアピール | RBB TODAY

「単にコアの数を競うことに意味はない」 -AMD、ATIとの合併を“融合”とアピール

 AMDは20日、米国で開催された「AMD 2006 Analyst Day」の内容に基づく説明会を日本国内でプレス向けに開催した。AMD 2006 Analyst DAyは、14日に米国ニューヨークのウォール街で開催されたイベント。

エンタープライズ その他
クアッドコア・プロセッサのウェハを披露するアンリ・リチャード氏
  • クアッドコア・プロセッサのウェハを披露するアンリ・リチャード氏
  • チャネル販売/OEM販売、サーバ/デスクトップ/ノートPCなど販売比率の移り変わりの様子
  • CPUにおける処理速度の移り変わり。16ビットのシングルコアに始まり、現在は64ビットのマルチコア。しかし、2010年移行は、コア数の争いではなくなるとする
  • CPU、GPU、チップセットの統合の様子
 AMDは20日、米国で開催された「AMD 2006 Analyst Day」の内容に基づく説明会を日本国内でプレス向けに開催した。AMD 2006 Analyst DAyは、14日に米国ニューヨークのウォール街で開催されたイベント。

 アナリストが対象なだけに、業績や将来展望の話が中心。米国で4時間ほど費やして説明されたプレゼンテーション内容を40分程にダイジェストし、米AMDのワールドワイドセールス/マーケティング 最高責任者のアンリ・リチャード氏が説明した。

 まず、2006年のAMDの実績について。4つの主要指標で、それぞれ顕著な進歩が見られたという。

 まずは、企業ユーザー向けビジネスだ。AMDはこれまでハイエンドのコンシューマ向けに強かったが、2006年は企業ユーザー向けのビジネスも成長した。さらに2007年には、コンシューマ向け/企業向けのビジネス比率が、おおよそ業界の標準的なレベルに近づくと予想されるという。

 2つめは、製品構成比だ。長年AMDの大きな収入源となってきたのがデスクトップ向けプロセッサだが、この点でも改善が進んでおり、デスクトップ/モバイル/サーバの比率が業界標準に近づいてきた。

 3つめは、チャネル販売とOEM関連との比率だ。従来AMDのビジネスはチャネル販売に大きく依存していたが、OEM関連のビジネスが成長している。

 最後が、新興市場への対応だ。従来は、米国、日本、ヨーロッパといった成熟市場で特に受け入れられてきていたが、中国、ロシア、ラテンアメリカ、アフリカといった新興市場でのビジネス比率が高まってきており、地域的なミックスの面でも改善されてきた。

 また、2006年のAMDに関する最大のトピックが、グラフィックス・プロセッサ(GPU)のATIとの合併である。この点に関してリチャード氏は「新生AMDとしてAMDとATIが合併した結果、今後の成長に大きな期待を持てるようになった。これまでAMDとATIはそれぞれ独立してPC市場および家電市場に取り組んできたが、この両社が合併したことで、今後それぞれの市場に対してさまざまな製品を投入していくことが可能になる。さらに、「単純な足し合わせではなく、両者が『融合』(Fusion)する領域において新たな独自のビジネスチャンスが生まれてくると考えている」と語った。

 さらに、ブランドについては「AMDがマスターブランドとなる。ATIもグラフィック分野におけるブランドとして存続するが、それ以外の分野ではAMDのロゴで製品を展開していく。ブランディングに関する詳細は、Windows Vistaのラウンチ・イベントにタイミングを合わせて方針を発表する予定だ」とした。

 次に、今後3年間でのMPU開発に関する重点分野を6点列挙した。

・Next-Gen Oct-Core Server Processor
・Stream Computing Rollout
・Advanced Software Functionality
・Torrenza Expansion
・First "Fusion" Client Processors
・Platform Graphics IP Integration

 AMDは、今後もサーバ向けプロセッサの開発にトップ・プライオリティを置き続けるが、その具体例となるのが次世代のサーバ向け8コア・プロセッサで、2009年頃の製品化を予定する。また、ATIとの合併に伴う“Fusion”の成果としてのクライアント向けプロセッサも、2009年頃に計画されている。これは、「AMDの力とATIの力を融合し、新しいコンピューティング・エンジンを実現していく」(リチャード氏)取り組みである。

 ATIとの“Fusion”効果については、大きな期待が寄せられていることが伺えた。その1つの表われが、今後の技術発展に関する展望にも反映されていた。AMDでは、プロセッサの発展の歴史を整理し、主要な開発目標が、2000年頃までは「パフォーマンス」、現在は「電力あたりのパフォーマンス」になったと整理した。そして、今後2010年頃までは、「多様性(Diversity)」が新たな目標となると位置づけた。「単にコアの数を競うことに意味はない」(リチャード氏)とし、AMDでは「特定の作業に応じた専用のコアを利用する時代になる」と考えているという。もちろんこれは、AMDのプロセッサ・コアと、ATI由来のGPUコアの“Fusion”を念頭に置いた言明だろう。

 このほか、間近に迫ったWindows Vistaのリリースを大きなチャンスと捉えていることについても言及し、「Windows Vistaの市場投入は業界にとって2007年のもっとも重要なイベントと位置づけられるだろう。Windows Vistaへの対応において、新生AMDは極めてユニークな強みを持っている。というのも、CPU/GPU/チップセットを統合したプラットフォームを供給できるのはAMDのみであり、CPU/GPUのいずれかに偏ることなく、エンドユーザーにとって最高の体験を提供できるからだ」とした。
《渡邉利和》

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