つくばエクスプレス、時速130キロの車内でライブカメラ映像をチェック! | RBB TODAY

つくばエクスプレス、時速130キロの車内でライブカメラ映像をチェック!

ブロードバンド その他

駅の無線LAN対応表示
  • 駅の無線LAN対応表示
  • 列車内の無線LAN対応表示
  • FOMA M1000
  • htc Z
  • 守谷駅に設置された中継局
  • 車内の無線アクセスポイント(箱の中)
 "つくばエクスプレス"を運行する首都圏新都市鉄道株式会社とインテル株式会社、エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム株式会社は、7月25日に列車内無線LAN接続サービスに関する記者発表会を実施した。また、同日午後、報道関係者を招いて列車内でのデモンストレーションを行った。

■ノートパソコン、PDAを持ち込んで実演
 体験会は団体臨時列車扱いの専用特別列車で行われた。つくばエクスプレスは秋葉原−つくば間を最短で45分で結び、最高時速は130キロ。これは新幹線を除く都内の列車では最高速度となっている。線路は新幹線のような立体交差で直線的であり、北千住からの地上区間に出ると車窓から速度が実感できた。

 車内にはインテル・セントリーノプロセッサ搭載ノートパソコンのほか、PDA端末の『FOMA M1000』、『htc Z』が用意され、エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム株式会社のスタッフが実演した。列車が発車するとすぐに実演が始まり、Webの閲覧やメール送信の様子を見学できた。走行中の車内にもかかわらず、自宅で操作している状態とほとんど変わらない速度でWebサイトが表示される。

 しかし、意地悪な見方をすれば、同じWebサイトを何度も表示されたところで、それはキャッシュに残っているデータかもしれない。メールではデータ量が少なすぎて、携帯電話を使った送受信との差が感じられない。PDA端末によるデモはユーザービリティの実例としてわかりやすいけれど、やはり時速130キロで交信し続ける様子を見たい。

 すると、ノートパソコンでストリーミング映像の受信デモが行われた。つくばエクスプレスの駅に設置されたライブカメラの映像を受信したもので、確かになめらかに動画が動いている。中継局とのハンドオーバー部分で若干映像が引っかかる感じがあるが、満足できるレベルだった。これなら放送局のWebサイトで公開されたニュース動画や、映画予告編、アーチストのプロションビデオなどが楽しめそうだ。

■中継局は"民地"に設置。急がれる鉄道敷地の規制緩和
 駅に設置した中継局は指向性の高いアンテナを設置したため、駅付近では800メートルまで届く。しかし、これでは隣の駅まで届かない。

 つくばエクスプレスの平均駅間距離は3.04キロメートルだ。列車内からインターネットに常時接続するためには、沿線に平均500メートル間隔で中継局を設置する必要があった。そこで、全駅の駅端38局の他、線路沿いに27の中継局を設置した。

 この27局は1局がつくばエクスプレスの用地にある他は民地に設置されているという。列車用の設備だから線路敷地内、架線柱などに設置すればいいではないか、と質問してみたところ、鉄道事業用地には規制が多く、それをひとつひとつクリアすると時間がかるから、という答だった。安全運行のために、鉄道本来の事業に用いてはいけないのかもしれないし、こちらで調べたところ税制にも関係しそうだ。鉄道用地は公共性が高いとして地方税を免除されている。しかし、本来鉄道運行以外の用途で使うとなれば課税されてしまうかもしれない。実際に東京都はいわゆる"駅ナカ"店舗への課税しようとし、鉄道事業者が反発している。

 今回のプロジェクトでは中継局用の民地調達も苦労した部分だ。鉄道の設備は鉄道の運行用に使うべし、とは当然のことであるが、鉄道事業者が乗客にサービスを提供するための設備が自由に設置できた方が良い。現在、さまざまな分野で規制緩和が実施されているが、こんなところにも規制緩和の必要がありそうだ。

■列車を丸ごとアクセスエリア化
 車内の無線LANアクセスポイントは車端部の屋根に近い部分にある。車体番号を表示する部分が箱状になっており、ここに無線LANアクセスポイントが設置されている。このアクセスポイントは各車両ごとに設置され、同時接続数は最大15ユーザとのこと。車内が混雑してきたな、と思ったら、車体番号表示の下に行こう。

 また、地上のアンテナと交信を行うモバイルルータは運転席付近に搭載されており、ルータとアクセスポイント間、つまり各車両間の中継も無線で行われている。徹底的に無線化を計ることは、鉄道事業者とネットワークサービス提供者との責任範囲の明確化にも貢献している。各車両間にケーブルを通せば安定性は高まるかもしれないが、車両の点検、保守担当者までその存在を通達する必要がある。安全管理上、そこはネットワークサービス提供者か入れない領域だ。しかし、無線LANで結ぶことにより、アクセスポイントの不具合が合った場合は各車両の客室内の箱を交換するだけだ。配線のトラブルによる煩雑な職掌の切り分けは不要である。

 さらに、無線アセスポイントはさまざまな条件で処理が低下する。とくに列車内に設置されたとなれば、天候や他の電波との干渉による影響も多く、さらに列車の振動の問題もある。つくばエクスプレスは高規格な路盤を使い、ロングレール化によってレールの継ぎ目も少ない。かなり振動の少ない快適な列車ではあるが、やはり体感レベル以下の微振動にさらされている。これでは通信状態に不安を感じる。

 そこで、定期的なPING疎通による状態監視が常に行われる。アクセスポイントが停止、または稼働できなくなってしまった場合は、守谷の車両基地で交換することで対処するとのことだ。残念ながら、折り返す駅で中吊り広告を取り替えるようにはできない。しかし、列車の最前部と最後尾の車両から中継局にアクセスするように冗長化されているため、列車内無線LANの稼働状態は維持できる。
《杉山淳一》

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