ひそかな自作ITブーム:高度な自作本が売れるわけ | RBB TODAY
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ひそかな自作ITブーム:高度な自作本が売れるわけ

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 2003年の9月に発行された「CPUの創りかた」(渡波郁 著)という本がある。これは隠れた名著としてロングセラーを続けている。また、2006年2月には「30日でできる! OS自作入門」(川合秀実 著)という本が発行され、これもネット書店などの予約段階から好調なようだ。たとえば、技術書やIT書籍を専門に扱うオンライン書店cbook24では「予約段階で200部以上の注文があり現在もその勢いはとまっていない」(同店 高橋氏)という状況だ。

 前者は、コンピュータの中枢であるCPUを数点のICのみで自作してしまおうという本で、後者はWindowsやLinuxのようなOS(オペレーティングシステム:基幹ソフトなどと呼ばれる)を自分でプログラミングするという内容だ。どちらも一般の人は縁がなく、ITエンジニアと呼ばれる人にとっても、これらはブラックボックス化が進み業務での必然は感じられないものだ。

 にもかかわらず、このような本が売れる背景にはどんな理由があるのだろうか。いくつか考えられるが、まず、相対的には減っているかもしれないが、20年以上のキャリアを持つエンジニアの層の絶対数はそれほど減っていない可能性がある。とくに本の読者としては現役である必要はない。次に、若いエンジニア層の普段意識しないブラックボックスへの素朴な興味や知的探究心に訴えている可能性。そして、企画のコンセプトに普遍性があり(時期に依存しない企画)、長期の販売が可能であること。などが挙げられる。

 最後の長期販売については、書籍という流通形態とIT専門のオンライン書店もじつはキーワードとなっているようだ。高橋氏(同前)によると「書籍は雑誌と違い販売期間(通常次号発売まで)が決められていないので長期の販売が可能です。また、うちは技術書に特化しているため、このようなピンポイント商品をアマゾンなどより効果的に販売することが可能です。」

 いくらロングテールといってもアマゾンほどの規模になると、全体からすれば技術書はやはり売り上げ貢献度が低い尾っぽの部分、予約やPRなどきめ細かい動きができないのかもしれない。
《中尾真二》
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