「CPUでも競争が必要」 -インテルに対する独禁法提訴でAMD法務責任者が来日 | RBB TODAY
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「CPUでも競争が必要」 -インテルに対する独禁法提訴でAMD法務責任者が来日

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 AMDは14日、同社が日米で提起しているインテルに対する訴訟について、米国より同社の法務責任者トマス・M・マッコイ氏を招き、記者説明と質疑応答のセッションを開催した。
  •  AMDは14日、同社が日米で提起しているインテルに対する訴訟について、米国より同社の法務責任者トマス・M・マッコイ氏を招き、記者説明と質疑応答のセッションを開催した。
  • インテルとマイクロソフトの収益比較
  • インテルと主要PCメーカーの収益比較
  • Windows対応PCにおけるAMDのシェア
 AMDは14日、同社が日米で提起しているインテルに対する訴訟について、米国より同社の法務責任者トマス・M・マッコイ氏を招き、記者説明と質疑応答のセッションを開催した。

●これまでの動き
 セッションでは、まず、AMDの日本代表である吉沢俊介氏が挨拶し、これまでの訴訟の経緯を説明した。

 昨年4月に日本の公正取引委員会がインテルに立ち入り調査を実施し、今年3月にインテルに排除勧告を行った。「公取委という機関が1年間の調査を行った結果としてインテルに排除勧告を行ったことについては大変重く受け止めている」(吉沢氏)という。

 これを受けて、AMDは、今年6月に、インテルに対して日米で訴訟を提起した。訴訟内容は、米国では独禁法違反、日本では高裁で独禁法25条違反、地裁で民法790条による損害賠償請求訴訟としている。

 また、これと並行して、ヨーロッパでは欧州委員会が、昨年4月にインテルに対する独禁法違反で調査継続を表明し、今年7月には、イギリス、スペイン、イタリア、ドイツの4か国でインテルの事業所などの立ち入り調査を実施している。

 さらに今年8月、韓国メディアは韓国公取委がインテルの韓国法人を独禁法違反の疑いで調査中と報道した。

 吉沢氏は「インテルは日本だけでなく、グローバルな範囲で競争を排除しようとしている」とまとめた。

 これまでの動きは次のとおり。

2004年
 4月:日本の公取委がインテルに立ち入り調査を実施
 4月:欧州委、インテルに対する独禁法違反容疑で調査継続を表明

2005年
 3月:日本の公取委、インテルに対し排除勧告
 4月:インテル、公取委の勧告を応諾
 6月:AMD、米デラウェア州連邦地裁にインテルを独禁法違反で提訴
 6月:日本AMD、東京高裁と東京高裁でインテルに損害賠償請求訴訟提起
 7月:欧州委、欧州4か国のインテル事業所等の立ち入り調査を実施
 8月:韓国メディア、韓国公取委がインテル韓国法人を独禁法違反で調査中と報道
 9月:東京地裁でインテルに対する損害賠償請求訴訟の審理開始

●インテルの独禁法違反による影響と質疑応答
 次にトマス・M・マッコイ氏による説明と質疑応答が行われた。

 まず説明の冒頭でマッコイ氏は「我々はこのインテルの独禁について、グローバルにフォーカスしている。一年前というと、ちょうど米マイクロソフトの独禁法違反にフォーカスしていたが、それが現在ではインテルへと移行した」として、この問題が非常に大きいものであることをアピール。続いてインテルの独禁法違反による業界への影響を説明した。

 「ここ何年かのインテルとマイクロソフトの営業利益を見ると、マイクロソフトは40%台で推移してきたが、現在は25%程度にとどまり、インテルは逆に40%台へと上昇しマイクロソフトよりも収益性の高いIT企業の座についた」と説明。この理由として「マイクロソフトはオープンソースソフトウェアと競争する必要があり、正当な競争下にあるからだ」と説明した。また「先般のアップルとインテルの提携で、さらなる競争に晒されることになるだろう」と付け加えた。

 いっぽうで、インテルとPCメーカー各社の営業利益を並べ、PCメーカーの収益が極端に悪いのに比べ、インテルだけが収益を上げているグラフを示し「こうした状況から、IBMはクライアントPC部門をレノボに売却せざるを得なくなった」と説明した。

 そして同氏は「ハードディスクドライブやDRAMのように、マイクロプロセッサでも競争が必要である。したがって、日本の公取委が独禁法違反を事実として認めたことは我々にとって驚くことではない」とした上で「インテルは当初、公取委の勧告にコメントをしなかったが、現在では異議を申し立てている。だからこそ、我々の提起したこの係争は大いに意義があるのだ」とした。

 同氏への質疑応答での主なやりとりは次のとおり。

【Q】公取委の勧告もあり訴訟ではAMD有利に見えるが、インテルに負ける可能性はあるのか?
【A】私たちは業界からの支援を受けているし、公取委の勧告も私達に有利に働くものと考えている。私は結果を楽観視している。
【Q】今後裁判を進めていく上でPCメーカーや商社が証人として法廷で証言するようなことはあるのか?
【A】PCメーカーは犠牲者である。この裁判の過程で、いかなるメーカーも、インテルに怯えながら、自ら法廷に立つという必要はないはずだ。
【Q】2002年の第2四半期より後からAMDのシェアが落ち込んでいるが、これはインテルの不当な独占の影響か?
【A】2002年第2四半期は、我々の優れたテクノロジが認められ、日本でもシェアを拡大していたときだ。インテルが脅威を感じたとしても不思議ではない。その後、急速にシェアが落ち込み、2004年の第4四半期には10%になってしまった。そしてこの時期にインテルの不正な独占が行われていたことは公取委の調査でも明らかになっている。
【Q】もしインテルの独占がなければ、シェアはどれぐらい獲得できていると考えられるか?
【A】40%から60%の間で推移したと考えられる。なぜなら、インテルの独占がおよばない国では我々は30%から40%のシェアを獲得しているからだ。
【Q】裁判は長期化することも予想されるが、とりあえずの第一ラウンドはいつごろ決着すると見込んでいるか?
【A】米国では2006年中か2007年の初めごろだと考えている。日本については(日本の裁判の流れに詳しくないため)不明だ。

 なお、東京地裁での第2回審理は12月16日に行われる。
《竹内充彦》
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