“乗り物ネットワーキング”は乗客と業務向けを共用させることで成り立たせる −N+IでシスコとJR西がアピール | RBB TODAY

“乗り物ネットワーキング”は乗客と業務向けを共用させることで成り立たせる −N+IでシスコとJR西がアピール

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“乗り物ネットワーキング”は乗客と業務向けを共用させることで成り立たせる −N+IでシスコとJR西がアピール
  • “乗り物ネットワーキング”は乗客と業務向けを共用させることで成り立たせる −N+IでシスコとJR西がアピール
 駅や空港での公衆無線LANサービスが普及しているが、それらを結ぶ“線”である電車や飛行機でのインターネット接続環境は速度が遅かったり、そもそも手段がなかったりするのが現状だ。しかし、これら高速移動中における接続サービスも着々と準備が進んでいる。

 インターネット関連のイベント「NETWORLD+INTEROP 2003 TOKYO」(N+I)のカンファレンス「乗り物インターネットワーキング」にてJR西日本とシスコが明らかにした。乗り物ネットワーキングとは、乗り物とインターネットなど外の環境と接続するネットワークの事を指す。さらに、ここでは、高速な常時接続に絞っている。

 シスコの郭宇氏は、ドイツの航空会社Lufthansaと米Boeing社と共同で進めている飛行機でのインターネット接続実験をアピールした。2003年1月から4月にかけてワシントン.DC〜フランクフルトで行われたトライアルでは、毎便50〜80人が利用したとのこと。実効速度は、下り3Mbps/上り128kbpsと高速移動にもかかわらず非常に広帯域だ。また、実験の参加者に対して行ったアンケートによると、フライト時間が約7〜8時間しかないにもかかわらず、接続サービスに35ドルまでは払う価値があるとの結果が出たという。これらの数字を元すると、1機あたり年間で204万ドル程度の売上げが見込める計算になる。さらに、接続サービスから得られる収益よりも「競争力を付けるためにはどうしても乗り物ネットワーキングは必要なサービスだ」とアピールした。

 シスコとLufthansaのケースでは乗客への提供になるが、一方のJR西日本は業務の効率化を目的に乗り物ネットワーキングの実験を進めている。同社の森崇氏が明らかにした。同社の乗り物ネットワーキングの構築は、駅員、運転手、車掌などが、線路沿いに設置されたATS関連機器、踏切、信号などの機器の情報収集に利用するのが目的だ。実験では、IEEE 802.11bを用いているが時速120kmのハンドオーバーも順調に進んでいるという。同氏は目標として「MPEG2の動画を流すために実効速度で3Mbps以上はほしい」を掲げた。

 このように乗り物ネットワーキングは、業務の効率化と乗客向けの付加サービスという2つの目的があるが、それぞれ違った方向から準備を進めている。とは言うものの、シスコは業務の効率化をJR西日本は乗客への提供もそれぞれ視野に入れているようだ。

 現在、有料で提供している公衆無線LANについてはビジネスとして順調に進んでいないのが現状だ。そのため、よりコストがかかる高速移動中の公衆無線LANサービスのビジネス化については危惧するところだろう。しかし、業務用通信と共用させることでコストを押さえられる。さらに、シスコなどが行ったアンケートによると、たった7〜8時間のサービスにもかかわらず「35ドルの価値を生み出すことができる」との結果が出ている。これは、現在、日本で提供されている有料の公衆無線LANサービスが月額1,500円程度の事を考えると驚くべき金額だ。

 この調子で行くと“乗り物ネットワーキング”のサービスは順調に進むのかもしれない。

JR西日本の森崇氏
《安達崇徳》

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