多くの企業が新規事業に取り組む一方、PoC(概念実証)を繰り返す段階にとどまり、次代を担う「本丸事業」へと育たないケースも少なくありません。背景には、短期業績と長期投資、既存事業と新規事業、安定と変革を両立するという、現場だけでは解決しにくい経営課題があります。本レポートでは、新たな価値創造を全社戦略の中核に据える経営のあり方を「創造中心経営」と定義し、経営トップに求められる4つの行動指針を「THE REAL」として提示しています。
ラウンドテーブル・レポート「『正解』を捨て、『矛盾』を経営せよ―組織の老化を打ち破り、次代の本丸事業を産み出し続ける『創造中心経営』論の設計図『THE REAL』」 は、以下のURLからダウンロードできます。
https://pages.globis.co.jp/gce_wp_1136.html

本レポートは、多様な事業特性を持つ日系企業5社の役員らとグロービスが、2025年7月から全6回にわたって実施したラウンドテーブルでの議論をまとめたものです。同テーブルでは、大企業の新規事業がいかにして「次代の柱」に育つかについて多角的に検討しました。その成果として本レポートでは、創造を挑戦で終わらせず、企業変革へとつなげるための具体的な行動指針を提示しています。
■背景
社会や産業構造が劇的に変化する中、新たな価値を生み出し、それを経営の中核に据えて次代の事業へ育てることは、企業の持続的な成長に不可欠な生存戦略になりつつあります。しかし、新規事業は不確実性が高く、成果が表れるまでに時間を要します。現場が試行錯誤を繰り返す一方で、経営陣は短期的な業績や資本効率を重視しがちです。その結果、新規事業が現場任せになり、全社戦略から外れて優先順位が下がってしまうケースがあります。グロービスは、このような状況に課題意識を持ち、5社の役員らとともに本ラウンドテーブルを企画。議論を通じて、創造活動を経営の中核に据えることが持続的成長の鍵になるという考えに至り、新規事業を企業価値の向上につなげるために、経営陣の具体的な行動指針の探求に取り組みました。
<新規事業を阻む壁と「創造中心経営」の必要性>
1. 「事業の壁」と「資本の壁」による分断
現場は事業化の壁にぶつかり、経営陣は短期業績や資本効率の壁と対峙しています。両者が見ている時間軸や判断基準が異なることが、新規事業が中核事業へ育たない要因とされています。
2. 既存の成功体験がもたらす組織の老化
効率化や収益性を追求するほど、組織は既存ルールに縛られ、波風を避ける判断が積み重なります。こうした「組織の老化」から脱却し、企業を再び動かす原動力となるのが、新たな価値を生み出す「創造」です。
3. 経営トップによる「矛盾のマネジメント」
短期的利益の追求と長期的な価値創造の両立は、現場の努力だけでは解決できません。経営トップが双方のバランスを見極め、自ら意思決定を行い 、全社戦略の中核に「創造」を据えることが求められています。
■「ラウンドテーブル」の内容
グロービスがモデレーターを務め、「新規事業創造を実現するための組織・人づくり」をテーマに討議を進行しました。5社の役員らが各社の実践知を持ち寄り、新規事業を進める際に生じる経営上の課題や、その乗り越え方について検討しました。議論の成果として、新規事業を単発の挑戦で終わらせず、企業変革へとつなげるための4つの行動指針を、循環エンジン「THE REAL」として整理しました。 参加企業の具体的な事例も盛り込み、持続的な価値創造を実現するための道筋を提示しています。
■「ラウンドテーブル」概要
1.実施時期
2025年7月~2026年3月
2.参加者
・ セイノーホールディングス株式会社 専務執行役員 河合 秀治 氏
・ ソニー株式会社 クリエイティブ・インキュベーション部門 部門長 櫨本 修 氏
・ 東京海上ホールディングス株式会社 専務執行役員 グループCDO 生田目 雅史 氏
・ ヤマハ発動機株式会社 執行役員 経営戦略本部長 青田 元 氏
・ ヤマハ発動機株式会社 経営戦略本部 新事業開発統括部 統括部長 舟生 健太郎 氏
・ SB C&S株式会社 執行役員(新規事業担当)兼 サービス開発事業本部長 本松 晋作 氏
※肩書・所属はラウンドテーブル参加時のもの
3.モデレーター
株式会社グロービス ディレクター 大崎 司
4.実施内容
ラウンドテーブルを通した意見交換および討議
【「ラウンドテーブル・レポート」のサマリ】
本レポートでは、大企業の新規事業が次代の中核事業へと育てにくい背景を、経営上のジレンマから整理しています。そのうえで、新たな価値創造を全社戦略の中核に据える「創造中心経営」を提言し、その実践に必要な4つの行動指針を「THE REAL」として提示。4つの行動指針は、「Resolve(覚悟と決断)」「Enthusiasm(熱狂と保護)」「Awakening(覚醒と代謝)」「Lasting(継承と成長)」が相互につながる循環構造となっています。
・Resolve(覚悟と決断)
「創造」を、会社の未来を変える本丸として戦略の中心に据えること。経営トップ自らが退路を断ち、全社戦略と結びつける意思を明確にする。この覚悟と決断によって初めて、挑戦は傍流ではなく、企業変革の中核として育っていく。
・Enthusiasm(熱狂と保護)
未来の物語(神話)を語り、論理を超えて人と資本を動かすこと。一方で、既存組織の正論と圧力にさらされる挑戦の現場を守りぬくこと。時に、経営トップ自らが防波堤となり、言行一致でオーナーシップを示すことで、創造を現実の事業へと進める。
・Awakening(覚醒と代謝)
公平性を基にした既存の評価基準に安住せず、異端な個を見出し、真の修羅場に投じ、正当に評価する仕組みを自ら設計すること。創造の現場を通じて次世代経営人材を鍛え上げ、組織の新陳代謝を促す。
・Lasting(継承と成長)
目先の利益や任期にとらわれず、「創造」を継続できる仕組みと規律を構築すること。さらに、挑戦の熱量と人的ネットワークを次世代へ確実に引き継ぎ、経営者自身も学び続けることで、価値創造を止めない成長のサイクルを創り出す。

本レポートを通じて、企業の持続的な成長と価値向上につなげる「創造中心経営」の実現を後押しします。グロービスはこれからも、組織変革と人材育成を支援し、企業の持続可能な発展に貢献してまいります。
■ラウンドテーブル参加者のコメント
セイノーホールディングス株式会社 専務執行役員 河合 秀治 氏
「それぞれの事業は違えど、同じ道を走り続けている同志に出会い、勇気をもらいました。今まで言語化できていなかったものを整理できたほか、更なるチャレンジや仲間集めを始めることにつながりました。読者の皆さんからもフィードバックをいただき、共に進むことができればと思います」
ソニー株式会社 クリエイティブ・インキュベーション部門 部門長 櫨本 修 氏
「初めて全員が顔を合わせたのは、ちょうど1年前の暑い夏の日でした。自己紹介をする度に好奇心旺盛な面々が質問をして盛り上がり、気が付けば夕食時に。夕食中も話題が尽きず、ついに時間切れ終了。それから1年間の白熱した議論、成熟した対話、新たな視点、心からの助言を予感させる初日でした。我々の提言が読者の皆様のお役に立てることを心から願っております。アウフヘーベンしましょう」
東京海上ホールディングス株式会社 専務執行役員 グループCDO 生田目 雅史 氏(ラウンドテーブル参加当時)
「企業の経営にとり新規事業とは何なのか、を真剣に論じた一年間でした。耳障りのよい掛け声だけでは何も生まれない。経営者がどこまで本気で挑戦するかという姿にこそ、新規事業とその先にある企業変革と成長が見えるということを、様々な企業のリーダーたちと語り尽くしました」
ヤマハ発動機株式会社 執行役員 経営戦略本部長 青田 元 氏
「業種も異なれば、一癖も二癖もある面々。それでも初回から長年の知己と語り合っているかのような対話が生まれ、毎回の議論が終わるたびに「次は何を話そうか」と指折り数えて次回を待ち望むほどでした。各社各様の命題と対応策をぶつけ合い、自社の挑戦を客観視し、解像度を上げる贅沢な時間でした。読者の皆さんにも、本レポートを通じてそのプロセスを追体験し、次代を創る一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです」
ヤマハ発動機株式会社 経営戦略本部 新事業開発統括部 統括部長 舟生 健太郎 氏
「本会には、日本の事業開発を牽引してきた第一人者が集い、それぞれの試行錯誤の中で培った知見を惜しみなく持ち寄りました。そこで生まれた『創造中心経営』論の設計図『THE REAL』は、机上の教科書でも、当たり障りのない助言集でもありません。経営の意思決定や資源配分論にまで踏み込む、強い意志に裏打ちされた実践知です。ぜひご一読いただき、我々がここに込めた熱量の一端に触れていただければ幸いです」
SB C&S株式会社 執行役員(新規事業担当)兼 サービス開発事業本部長 本松 晋作 氏
「『新規事業を立ち上げるためのポイントは何ですか?』これまで何度も聞かれてきた問いであり、私自身にも、自分なりの成功の方程式がありました。しかし、第一線で事業開発に挑む皆さんのリアルな考え方や経験に触れるうちに、その認識は大きく変わりました。事業開発に唯一の正解はなく、10人いれば10通りの進め方がある。むしろ、その多様なアプローチこそが、新規事業の本質なのだと感じました。新規事業の現場で、答えのない問いに向き合い、孤軍奮闘している方にとって、本書が一つでも新たな気づきや前に進むきっかけになれば幸いです」
株式会社グロービス グロービス・コーポレート・エデュケーション ディレクター 大崎 司
「新規事業に挑戦する多くの企業と向き合う中で、私自身、『創造』は経営の一機能ではなく、企業変革そのものだと考えるようになりました。その思いから本ラウンドテーブルを企画し、第一線で挑戦する皆さまとの率直で生々しい対話を重ね、その叡智を『創造中心経営』と『THE REAL』として磨き上げました。本提言が一社でも多くの企業の創造と変革を後押しし、ポジティブサムな社会につながることを願っています」
◆グロービスの法人向け人材育成サービス (https://gce.globis.co.jp/)
グロービスの法人向け人材育成サービス(GLOBIS Corporate Education)は、企業の経営課題に応じて「スクール型研修」「集合研修」「アセスメント・テスト(GMAP)」「学習管理システム(GLOPLA LMS)」など、多彩な研修ソリューションを提供しています。2026年4月末時点で延べ3,600社(年間)以上の企業に導入されており、企業の人材育成・組織開発・事業開発において豊富な実績を誇ります。さらに、日経平均銘柄企業に選ばれた上場企業225社*の約88%が導入しており、幅広い企業から高い評価と支持を得ています。集合研修は、日・英・中のマルチ言語に対応し、マルチタイムゾーンでオンラインはもちろん、国内外の希望地で実施が可能です。グロービスは、こうした柔軟な研修提供を通じて、企業の持続的な成長を力強く支援しています。
* 「日経平均株価」は日本経済新聞社の著作物です

◆グロービス (https://globis.co.jp)
グロービスは1992年の設立以来、「経営に関するヒト・カネ・チエの生態系を創り、社会の創造と変革を行う」ことをビジョンに掲げ、各種事業を展開してまいりました。「ヒト」の面では、グロービス経営大学院に加え、スクール型研修や集合研修など法人向け人材育成サービスを展開するグロービス・コーポレート・エデュケーション、eラーニングや定額制動画学習サービス「GLOBIS 学び放題」などを提供するグロービス・デジタル・プラットフォームにより、リーダーの育成を推進しています。「カネ」の面では、ベンチャー企業への投資・育成を行うベンチャー・キャピタル「グロービス・キャピタル・パートナーズ」を運営、「チエ」の面では、出版事業ならびにオウンドメディア「GLOBIS 学び放題×知見録」を通じて知の発信を行っています。さらに社会における創造と変革を促進するため、一般社団法人G1によるカンファレンス運営、一般財団法人KIBOW による震災復興支援および社会的インパクト投資などの活動を展開しています。
グロービス:
学校法人 グロービス経営大学院
・日本語(東京、大阪、名古屋、福岡、オンライン)/英語(東京、オンライン)
株式会社 グロービス
・グロービス・エグゼクティブ・スクール
・グロービス・マネジメント・スクール
・企業研修
・出版/電子出版
・「GLOBIS 学び放題×知見録」/「GLOBIS Insights」
・「GLOBIS 学び放題」/「GLOBIS Unlimited」
グロービス・キャピタル・パートナーズ株式会社
顧彼思(上海)企業管理諮詢有限公司
GLOBIS Asia Pacific Pte. Ltd.
GLOBIS Asia Campus Pte. Ltd.
GLOBIS Thailand Co., Ltd.
GLOBIS USA, Inc.
GLOBIS Europe BV
GLOBIS Manila Inc.
PT. GLOBIS Indonesia Hub
GLOBIS Taiwan Co., Ltd.
GLOBIS Middle East (Commercial Representative Office)
その他の活動:
・一般社団法人G1
・一般財団法人KIBOW
・株式会社茨城ロボッツ・スポーツエンターテインメント
・株式会社LuckyFM茨城放送
【取材に関するお問い合わせ先】
グロービス 広報室 担当:土橋涼、杉田友紀
E-MAIL: [email protected]
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