Pepperを活用したプログラミング教育は、ロボットと共生する未来の社会を担う子どもたちの論理的思考力や問題解決力、創造力の育成を支援することを目的に、2017年に開始して以来、ソフトバンクグループが9年間継続して取り組んでいるものです。今回の研究結果は、そうした継続的な実践の成果として得られたものです。
本研究では、2023年にPepperを活用したプログラミング教育を6時間以上受講した小学生341人、中学生116人の計457人を対象に質問紙調査を実施しました。調査では、プログラミング学習への動機づけ、プログラミング的思考に関する自己評価、批判的思考態度などを分析しました。その結果、学習への関心や自己評価、論理的思考を支える要因について、いくつかの特徴的な傾向が明らかになりました。
研究概要1.学習動機・自己評価の性差と2019年調査との比較
小学生を中心に、プログラミング学習への動機づけ、プログラミング的思考、批判的思考態度について性差を分析しました。
・プログラミング学習への動機づけ(※1)
男子の方が高い傾向が見られました。特に、「プログラミングを使う授業が好き」「いろいろ試してみたい」「できるようになっていくことが楽しい」といった、学習への興味や関心に関する項目で差が確認されました。これにより、理解度そのものだけでなく、学習への入り口となる関心や継続意欲の段階で差が生じる可能性が示されました。
・プログラミング的思考(自己評価)(※2)
男子が「プログラムの組み合わせを考える」「プログラムを改善する」「試行錯誤しながら動きを調整する」といった項目で高い傾向を示しました。一方で、「論理的に考える」といった項目では性差が見られないものもありました。これにより、性差が現れやすいのは、プログラムの構成や改善といった具体的な作業に対する自己効力感(「自分ならできる」という認識)であり、論理的思考そのものとは必ずしも一致しない可能性が示されました。

(※1) プログラミング学習に対する動機づけ
*:有意差あり(5%水準)の項目

(※2)プログラミング的思考
*:有意差あり(5%水準)の項目
・批判的思考態度(※3)
性差は比較的小さい結果となりました。また、2019年に当社が実施した同様の調査との比較では、2023年の児童の方が多くの項目で批判的思考態度が高い傾向と確認されました。こうした変化が教育の影響によるものか、社会環境の変化によるものかは本研究だけでは断定できませんが、児童の思考態度に変化が生じている可能性が示されました。

(※3):児童版批判的思考態度尺度(2023年と2016年の比較)
*:有意差あり(5%水準)の項目
**:有意差あり(1%水準)の項目
出典:「プログラミング的思考に影響を与える要因(1)
―人型ロボット(ペッパー)を用いたプログラミング教育における男女差の検討―
」(2025、日本教育工学会 2025年秋季全国大会、栗山 直子(東京科学大学)、齊藤 貴浩(大阪大学)、森 秀樹(昭和女子大学)、西原 明法(東京科学大学)、長崎 徹眞(ソフトバンクロボティクス株式会社))
研究概要2.論理的思考を支える要因の性差
続いて、プログラミング学習において重要とされる「論理的に考えてプログラムを組み立てる力」に、どのような要因が関係しているかを分析しました。(※4)(※5)
その結果、男女に共通して、「他者の考えを自分の言葉でまとめる力(要約・言い換え)」が関係していることが確認されました。これは、他者の考えを理解し、自分なりに再構成したうえで表現するプロセスが、プログラミング学習における論理的思考と関係している可能性を示しています。
一方で、論理的思考を支える要因には男女で異なる傾向も見られました。男子では、「理由をつけて説明する」「根拠を考えて判断する」といった、理由や証拠を重視する思考態度が影響する傾向が確認されました。女子では、「多様な立場から考える」「事実と意見を区別する」といった、客観性や多面的な視点を重視する思考態度が影響する傾向が見られました。

(※4)男子のプログラミング的思考(論理的思考)への批判的思考態度尺度の寄与

(※5)女子のプログラミング的思考(論理的思考)への批判的思考態度尺度の寄与
出典:「プログラミング的思考に影響を与える要因(2)
―人型ロボット(ペッパー)を用いたプログラミング教育における男女差の検討―」(2025、日本教育工学会 2025年秋季全国大会、齊藤 貴浩(大阪大学)、栗山 直子(東京科学大学)、森 秀樹(昭和女子大学)、西原 明法(東京科学大学)、長崎 徹眞(ソフトバンクロボティクス株式会社))
本研究から得られた示唆
本研究の結果から、プログラミング教育においては一律の指導方法ではなく、学習者の属性や関心、思考の特徴などに応じた設計が重要であることが示唆されました。例えば、題材の選定や役割分担、達成感を得やすい授業設計に加え、ペアワークや振り返り活動を通じて他者の考えを言語化する機会を設けることが、学習意欲や論理的思考の育成につながる可能性があります。
ソフトバンクロボティクスは、今後も教育現場におけるロボット活用の可能性を検証し、教育効果に関する知見の蓄積を通じて、より良い学習機会の提供に取り組んでいきます。
■ソフトバンクロボティクス株式会社について
ソフトバンクロボティクスは、2014年にいち早く人型ロボット「Pepper」を発表し、2018年には清掃ロボット、2021年には配膳・運搬ロボット、そして2022年には物流自動化ソリューションの展開を開始しました。多様な製品の取り扱いを通じて得た知見や稼働データを活かし、ロボットを効果的に導入するためのソリューションを提供することで、ロボットインテグレーター(RI)として先駆的な役割を果たしています。現在、世界9カ国、21の拠点を構え、グローバルで製品が活躍しています。このグローバルネットワークを活用し、豊富な経験と膨大な稼働データに基づいて、ロボットトランスフォーメーション(RX)を追求し、人とロボットが共生する社会に向けて邁進していきます。
企業プレスリリース詳細へ
PRTIMESトップへ

