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2週間ポジティブに振り返るだけで働く意欲がアップ



慶應義塾大学、日本生産性本部の研究チームがスマホアプリ「WEDiary」を開発し、実証実験

2週間ポジティブに振り返るだけで働く意欲がアップ
- 慶應義塾大学、公益財団法人日本生産性本部の研究チームが
スマホアプリ「WEDiary(ウィダイアリー)」を開発し、実証実験 -

 

慶應義塾大学 総合政策学部の島津明人教授と公益財団法人日本生産性本部の研究グループは、日々の業務を振り返りポジティブな出来事を記録するスマートフォンアプリ「Work Engagement Diary(以下「WEDiary(ウィダイアリー)」)」を開発し、その効果によってワーク・エンゲイジメントが向上することを実証しました。

ワーク・エンゲイジメントは、「労働者が仕事に積極的に向かい活力を得ている状態」を指し、近年のポジティブ心理学のトレンドの中で研究が進んでいる領域です。わが国の労働力人口の減少と高齢化の中で、労働者と企業の双方にとって重要な概念です。

効果測定においては、客観的で信頼性の高いエビデンス(科学的根拠)が得られるランダム化比較試験(RCT:Randomized Controlled Trial)を用いました。今後は、長期的な効果の検証や利用継続を促す工夫を検討する予定です。

 

1.本研究のポイント

・日常の「今日できたこと」を2週間記録することで、労働者のワーク・エンゲイジメントが有意に向上し、その効果が3週間持続していたことを実証。

・ワーク・エンゲイジメントの3つの要素※1のうち、「活力(Vigor)」および「熱意(Dedication)」の向上が特に顕著だったことを確認。

・簡便な自己学習型アプリがワーク・エンゲイジメントの向上に貢献しうることを示唆。

・今後、長期的効果の検証や、継続利用を促進する工夫の検討を計画。

 

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202510147090-O2-55zHfC40

 

2.研究背景

少子高齢化が進み、労働力人口が減少する中、働く人一人ひとりが健康で活き活きと働くことが、これまで以上に大切になっています。ワーク・エンゲイジメントは、労働者の健康増進と生産性向上の両立につながる要素として、近年、特に注目されています。

これまで、ワーク・エンゲイジメントの向上のためにさまざまな支援プログラムが開発されてきました。これらは、集合型の研修や対面での個別介入が中心であり、時間や場所の制約、実施スタッフの確保などのコスト面で、多くの課題が残されていました。

そこで、本研究グループでは、労働者自身がスマートフォンアプリで簡便に記録できる「WEDiary」を、新たに開発しました。このアプリでは「ポジティブ・リフレクション」に着目し、日々の達成や前向きな体験を振り返ることで、ワーク・エンゲイジメントの向上を図ります。

仕事終わりのたった数分間で取り組めるシンプルで継続可能な方法を通じて、人々の健康と生産性の両方を向上させることを目指しています。

 

3.研究内容・成果

【研究方法】

・対象者:全国の20~59歳の日本人労働者600名

・研究デザイン:ランダム化比較試験(RCT)(介入群300名、待機群※2 300名)

・介入内容:WEDiaryを2週間利用。週の初めに目標を設定し、毎日就業後に「今日できたこと」を記録。さらに仕事への活力・熱意を自己評価。

・評価時点:介入前、介入終了直後、介入終了3週間後

・主な評価指標:日本版ユトレヒト・ワーク・エンゲイジメント尺度(UWES-J)

 

【主な結果】

・介入群は待機群に比べて、介入終了直後のワーク・エンゲイジメントが有意に向上。

・特に「活力(Vigor)」と「熱意(Dedication)」に改善がみられた。

・効果量は小さいものの、介入終了後3週間まで持続。

・女性・大卒以上・ホワイトカラー・正規雇用者において効果が顕著。

 

4.今後の展開

本研究は、スマートフォンアプリを用いたポジティブ・リフレクション介入の有効性を、RCTで実証したきわめて先端的な研究です。シンプルな自己学習型のアプリを日常生活の中で活用することで、働く人々の活力や熱意が高まる可能性が示されました。

今後は、長期的な効果の検証や利用継続を促す工夫を検討する予定です。

 

 

<原論文情報>

タイトル:Effects of a Smartphone-Based Positive Reflection Diary on Work Engagement Among Japanese Workers: A Randomized Controlled Trial

掲載誌:JMIR mHealth and uHealth

DOI:http://dx.doi.org/10.2196/55664

 

<用語説明>

※1 ワーク・エンゲイジメントの構成要素である「活力(Vigor)」「熱意(Dedication)」「没頭(Absorption)」を指す。

※2 介入群に対してWEDiaryを2週間実施する介入を終えた後に,遅れて同じ内容の介入を実施する群のこと。

 

【研究助成】

慶應義塾大学総合政策学部島津明人研究室と日本生産性本部との産学共同研究の成果物です。

 

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