綿スパンレース不織布は、天然繊維である純綿を原料とし、開繊、カーディング、成網、ドラフトを経て繊維ウェブを形成し、針状の高圧水流によって繊維同士を交絡させることで製造される。原綿から完成品まで約5分で加工でき、従来の織物で必要とされる紡績・製織工程を省略できる点が大きな特徴である。工程短縮による省エネルギー、省人化、設備負担の低減に加え、低炭素・環境配慮型素材としての評価も高まっている。


図. 綿スパンレース不織布の世界市場規模
QYResearch調査チームの最新レポート「綿スパンレース不織布―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」によると、綿スパンレース不織布の世界市場は、2025年に879百万米ドルと推定され、2026年には925百万米ドルに達すると予測されています。その後、2026年から2032年にかけて年平均成長率(CAGR)5.7%で推移し、2032年には1292百万米ドルに拡大すると見込まれています。
綿スパンレース不織布の目付と用途が市場を細分化
綿スパンレース不織布は目付によって40gsm以下、40~70gsm、70gsm以上に分類され、用途も日常ケア、美容、医療、衛生、工業材料など多岐にわたる。特に40~70gsmは、柔軟性、吸水性、強度、加工性のバランスに優れることから、現在の主要な製品領域となっている。
日常ケア分野ではウェットティッシュやコットンシートが代表的な用途である。一般的なウェットティッシュは三~四級都市を中心に普及が進み、消毒用ウェットティッシュは一~二級都市で成長余地が大きい。さらに、トイレ用、痔用、抗かゆみ用など用途を明確化した専門ウェットティッシュも市場に浸透している。美容分野では、化粧用コットン、フェイスマスク、美容パッドなどへの採用が続いている。
医療・衛生用途が綿スパンレース不織布の需要を下支え
綿スパンレース不織布は、天然繊維ならではの柔軟性や快適性、低アレルギー性を背景に、医療・ヘルスケア用途でも存在感を高めている。生活水準の向上、高齢化の進展、院内感染への関心の高まりを背景として、手術着、マスク、創傷用ドレッシングなどの使い捨て医療材料に対する需要が拡大している。
衛生用品では、ウェットティッシュ以外にもベビー用紙おむつ、女性用ナプキン、成人用失禁製品などが主要な対象となる。特に高齢化と消費力の向上は成人用失禁製品の需要拡大につながる可能性が高く、綿スパンレース不織布メーカーにとって医療・介護・衛生分野は中長期的な成長領域と位置付けられる。
サステナビリティと製造効率が綿スパンレース不織布を牽引
市場拡大の背景には、天然由来で環境負荷の低い素材に対する消費者需要の高まりがある。綿スパンレース不織布は、製造工程の短縮によるエネルギー・労働力・設備使用量の削減に加え、用途によっては生分解性を訴求できるため、サステナブル素材への転換を進める企業から注目されている。
一方、メーカー側では、繊維長や配向、水流圧力、ウェブ密度などを精密に制御し、吸水性、柔軟性、引張強度、毛羽立ちなどの性能を用途別に最適化することが重要となる。今後は、原料綿の安定調達、品質の均一化、加工速度の向上に加え、用途別の機能性付与が企業の差別化要因となる。新型コロナウイルス感染症を契機として使い捨て衛生用品への需要が拡大したことも、綿スパンレース不織布の市場形成を後押しした。
アジア太平洋が最大市場、用途特化が競争軸に
世界の綿スパンレース不織布主要企業には、Winner Medical、Marusan Industry、Shandong Sweet Nonwoven、Nisshinbo、Unitika、Jacob Holm(Glatfelter)、Anhui Huamao、Hubei Xinrou、Ihsan Sons、Textisolなどが挙げられる。上位5社で約38%のシェアを占める。
地域別ではアジア太平洋地域が約56%で最大市場となり、欧州が約19%、北米が約17%で続く。目付別では40~70gsmが約65%と最大セグメントであり、用途別では日常洗浄・ケア分野が約54%を占める。
今後の綿スパンレース不織布市場では、単純な生産能力の拡大だけでなく、医療・美容・介護・高機能衛生用品などの用途別ニーズに応じた素材設計と、環境配慮型の生産プロセスを両立できる企業が競争優位を獲得するとみられる。
本記事は、QY Research発行のレポート「綿スパンレース不織布―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」に基づき、市場動向および競合分析の概要を解説します。
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