取り締まる側が、守っていなかった。
文化行政のトップに疑惑が浮上している。
韓国の行政機関「文化体育観光部」が、未登録の芸能事務所に対して“無寛容方針”を掲げ、捜査依頼まで予告する強硬姿勢を示す中、そのトップであるチェ・フィヨン長官自身が設立した芸能事務所が、10年以上にわたり無登録のまま運営されてきたことが明らかになった。
この問題に対し、韓国では「自分に甘く、他人に厳しい」とする批判が噴出しており、長官としての資質を問う声も強まっている。
1月28日、現地メディア『フィールドニュース』によると、チェ長官が2013年に私財を投じて設立した「野菊(トゥルグクファ)カンパニー」は、現在に至るまで管轄自治体に「大衆文化芸術企画業(芸能事務所業)」の登録をしていない状態だという。
同社の登記簿謄本には、芸能人のマネジメント、音楽制作および流通など、現行法上は登録が必須とされる事業内容が明記されている。チェ長官は就任直前の昨年8月まで同社の社内理事を務めており、約2億ウォン(日本円で約2000万円相当)の株式を保有する最大株主でもあった。

最大の争点は、「実際に営業活動を行っていたかどうか」だ。文化体育観光部は「実質的に芸能企画業を営んでいたかどうかが確認されていないため、現時点での措置計画はない」と説明している。
しかし、これとは異なる事実関係も浮上している。チェ長官は過去の人事聴聞会などで、「バンド『ドゥルグクファ』と8対2の収益分配条件で契約し、現在も音源収益を管理している」と自ら明かしていた。大衆文化芸術産業法が施行された2014年以降も、収益分配や専属契約関係が続いていたのであれば、登録対象に該当する可能性が高いと専門家は指摘している。
さらに、所属アーティストだったチョン・イングォン氏から、専属契約不履行や横領疑惑などで2度にわたり告訴されていた事実もあり、同社が実質的にマネジメント機能を果たしていた証拠になり得るとの見方も出ている。
最近の韓国芸能界では、個人事務所や小規模企画社による「未登録営業問題」が相次いで報じられ、制度の実効性が問われてきた。女優のイ・ハニが、事後登録を行ったにもかかわらず書類送検された事例もあり、規制の厳格さが改めて注目されている。
そうした流れの中で、制度を取り締まる立場にある長官自身の事務所が無登録だったことは、象徴的な矛盾として大きな波紋を広げている。
なお、文化体育観光部の報道官室は本件に関する追加の質問に対し、現在まで明確な回答を示しておらず、今後は説明責任や政治的責任をめぐる議論がさらに拡大する可能性がある。
■元祖K-POPアイドルが設立した芸能事務所に“違法運営”疑惑…出演中のミュージカルにも飛び火か



