アメリカとイギリスの両政府が、カンボジアを拠点とするネット詐欺企業に大規模な制裁を発動した。
米財務省は10月14日(現地時間)、カンボジア企業「プリンス・グループ(Prince Group)」を「国際的な超国家犯罪組織(Transnational Criminal Organization)」に指定し、資産凍結や金融取引禁止の措置を科した。イギリス政府もこれに呼応し、同日、独自の制裁を発表している。
米財務省は声明で、プリンス・グループがカンボジア国内に詐欺拠点を設け、世界中の被害者から金銭を詐取する一方で、人身売買によって集められた労働者を拘束・拷問していた可能性を指摘。アメリカ人の被害額は2024年だけで少なくとも100億ドル(約1兆5000億円)に上ると推計されている。
また、イギリスは制裁対象にゴールデン・フォーチュン・リゾート・ワールド(Golden Fortune Resorts World)を加えた。同社はカンボジア・プノンペン郊外で「技術団地」の名目で詐欺拠点を運営していた背後勢力とされる。これらの事業体は、米英両国内で不動産の凍結および金融取引禁止の措置を受けることとなった。
カンボジアの被害は英米にとどまらない。韓国では「カンボジアに行く」と言い残して消息を絶つ事件が相次いでおり、今年に入って複数のケースが報告されている。
さらに、元BIGBANGメンバーのV.I(スンリ)が、過去にカンボジアでプリンス・グループと関係者とみられる施設を訪れていた映像が拡散。ネット上では関係性の可能性が指摘されているが、現時点では直接的な結びつきを裏付ける公的証拠は確認されていない。

◇V.I プロフィール
1990年12月12日生まれ、本名イ・スンヒョン。韓国では「スンリ」の活動名で知られる。2006年8月、BIGBANGの“末っ子”としてデビュー。数多くのヒット曲で、K-POPの最前線を駆け抜けた。またバラエティ番組にも出演してタレントとしても人気を博し、様々な事業まで展開した。しかし2018~2019年に韓国社会を震撼させた“バーニングサン事件”の中心人物とされ、2019年3月に芸能界からの引退を宣言。性売買斡旋や横領、海外遠征賭博などの容疑で2022年5月、懲役1年6カ月の実刑が確定した。2023年2月に出所している。