クラブ史上初の降格危機にあえぐ韓国Kリーグ3連覇中の王者・蔚山(ウルサン)HD FCが、今季2度目の監督解任を発表した。
蔚山は10月9日、シン・テヨン監督との契約解除を発表した。監督代行はユースディレクターのノ・サンレ氏が務め、18日に行われるKリーグ1第33節の光州(クァンジュ)FC戦より指揮を執る。
クラブは昨年7月、ホン・ミョンボ前監督の韓国代表監督就任に伴い、マレーシア代表を率いていたキム・パンゴン氏を招へいした。ただ今季リーグ戦では不振が続き、8月に解任を発表。今年1月までインドネシア代表を指揮したシン・テヨン監督を後任に据えた。
シン・テヨン監督の就任当時、蔚山はリーグ戦で12チーム中7位だった。ところが、全38節中32節まで終了した現在、順位は入れ替え戦圏内の10位まで低迷。シン・テヨン監督体制のリーグ戦成績は8試合で1勝3分4敗、その1勝も初陣となった8月9日の第25節・済州(チェジュ)SK FC戦(1-0勝利)のみで、以降の7試合は未勝利が続いていた。
AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)では、9月16日の第1節で成都蓉城に2-1で勝利。10月1日の第2節では上海申花と1-1で引き分けている。

監督代行のノ・サンレ氏は1971年1月11日生まれの54歳。現役時代は実業団の韓国住宅銀行でキャリアをスタートし、全南(チョンナム)ドラゴンズ、大邱(テグ)FCを経て2004年に引退した。
韓国代表ではAマッチ通算25試合6ゴールを記録し、1996年アジアカップやフランスW杯アジア予選などに出場。1997年11月1日、ソウルで行われたフランスW杯アジア最終予選の日本代表戦にも出場している。
引退後はユースチームや大学サッカー部でのコーチを経て、全南や江原(カンウォン)FCでコーチを歴任。2015~2017年は全南の監督、2019年は釜山(プサン)アイパークの攻撃コーチ、2020年は全南の技術顧問を務めた。そして、2021年より蔚山のユースディレクターを任されていた。監督業は全南時代の2017年以来、実に8年ぶりとなる。

蔚山はシン・テヨン監督との契約解除発表に際し、「Kリーグで指導経験のあるノ・サンレ監督代行体制で、既存のコーチたちとの疎通・協業を通じて降格危機から抜け出す。同時に、早期に後任監督も探す」と伝えた。
なお今回、シン・テヨン監督との契約解除に併せて、キム・グァングク代表取締役も成績不振の責任を負い辞任した。
2014年よりGM、2016年より代表取締役を務めたキム・グァングク氏は、今年8月のキム・パンゴン監督解任時に一度辞意を表明したが、クラブ運営の安定のため留任していた。ただ、最終的にその座を退くことになった。

Kリーグ1はスコットランドなどと同じ「スプリット方式」を採用している。第1節から第33節までを全12チーム3回総当たりで行った後、「ファイナルラウンド」として第34節から第38節までを上位と下位6チームずつ2グループに分け、各チーム5試合ずつ実施する形式だ。
上位グループ(ファイナルA)では優勝やACL出場権を争い、下位グループ(ファイナルB)では残留争いが展開される。つまり、上位グループに進出した時点で2部降格や入れ替え戦行きの可能性は消滅し、下位グループに転落すれば降格のリスクがつきまとう。
蔚山はAマッチ期間前の10月5日に行われた第32節、金泉尚武(キムチョン・サンム)に0-3で敗れたことで、2015年以来10年ぶりとなる下位グループ進出が確定した。仮に2部降格となれば、1983年のクラブ設立から史上初の屈辱となる。
なお、蔚山はACLEにおいて、10月21日にホームでサンフレッチェ広島、11月5日にアウェイでヴィッセル神戸、12月9日にアウェイでFC町田ゼルビアと日本勢との対戦を残している。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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