パリ・サンジェルマン（PSG）の韓国代表MFイ・ガンインが、Jリーグでも活躍した“恩師”ユ・サンチョルさんへの変わらぬ尊敬の念と感謝を語った。
PSG公式SNSでは5月15日、イ・ガンインのインタビュー動画が公開された。
韓国では5月15日を「師匠の日」と呼び、自身がお世話になった先生や恩師に感謝の気持ちを伝える日とされている。
そんな日に合わせて公開された動画で、イ・ガンインは「すべての指導者の方々が特別でした。多くの方がたくさん助けてくださって、自分を成長させてくれました」としたうえで、“最も特別な恩師”としてユ・サンチョルさんの名前を挙げた。
「特に幼い頃、『飛べ、シュットリ』で一緒にしたユ・サンチョル監督が、最も特別な方です。これからももっと良い思い出を作って、もっと努力して、一生懸命学んでいきます」
ユ・サンチョルさんも認めたイ・ガンインの才能
現役時代は横浜F・マリノスや柏レイソルなどJリーグでも活躍し、韓国代表としてワールドカップ2大会にも出場したユ・サンチョルさん。GK以外ならすべてのポジションをこなせる“名ユーティリティ”として名を馳せたレジェンドは、2021年6月7日にすい臓がんのため、49歳の若さでこの世を去った。
そんなユ・サンチョルさんとイ・ガンインの縁は2007年に遡る。当時7歳だったイ・ガンインは、韓国地上波KBSで放送されたサッカーバラエティ番組『飛べ、シュットリ』に「FCシュットリ」の一員として出演。このチームで監督を務めたのが、前年の2006年に現役を引退したばかりのユ・サンチョルさんだった。
『飛べ、シュットリ』はそもそも、7歳程度の幼い子どもたちがサッカーを通じて成長するストーリーを描いた番組だった。ところが、イ・ガンインは当時から才能の片りんを発揮。周りがボールを追いかけるなかで鋭いスルーパスを見せたり、自分より3歳年上の選手4～5人を相手にマルセイユルーレットやシザースを披露したりし、次々とゴールネットを揺らした。
ユ・サンチョルさんも「（イ・ガンインは）もはや“大人”として見れば良い。むしろ、私と同じ年齢層の選手でも難しい技術を持っている」と、イ・ガンインの可能性を見出していた。
イ・ガンインが忘れない恩師への“愛”と“尊敬”
その後、イ・ガンインはユ・サンチョルさんの薦めもあり、2011年にスペインへ渡りバレンシアのユースチームに入団。2018年のコパ・デル・レイでトップチーム初出場を果たすと、翌2019年にはラ・リーガでもデビューを飾った。以降は日本代表MF久保建英とも共闘したマジョルカを経て、2023年にパリ・サンジェルマンへ移籍。PSGでは現在まで公式戦81試合11ゴール11アシストを記録している。
PSGは今季リーグ・アンとトロフェ・デ・シャンピオン（スーパーカップ）で優勝しており、現在はクープ・ドゥ・フランス決勝とUEFAチャンピオンズリーグ決勝を控えている。
来る6月1日に行われるインテルとのCL決勝でPSGがクラブ初優勝を成し遂げれば、イ・ガンインはパク・チソンに続く韓国人選手2人目のCL優勝経験者となる。
今回公開されたイ・ガンインのインタビュー動画は、韓国で多くの反響を呼んでいる。その理由は、彼が今もなお、ユ・サンチョルさんに対する愛と尊敬を抱いているからだ。
ユ・サンチョルさんは闘病中の生前、「体調がよくなったらスペインに行って、ガンインがどんなふうに練習し、試合に臨んでいるのか直接見に行きたい」と語るなど、最後まで“教え子”のことを気にかけていた。
イ・ガンインは昨年、ユ・サンチョルさんの命日に幼少期の自身とユ・サンチョルさんが写った写真をSNSに投稿し、「尊敬する師匠、会いたいです」と恩師への思いをにじませていた。
そして今回、「師匠の日」に際して改めてユ・サンチョルさんの名前を口にし、変わらぬ感謝の気持ちを届けた。
（記事提供＝OSEN）
◇イ・ガンイン プロフィール
2001年2月19日生まれ。韓国・仁川広域市出身。身長174cm。大韓民国のサッカー選手で、サッカー大韓民国代表。幼少期に出演したKBSサッカーバラエティ番組『飛べ、シュットリ』で類まれなる才能を発揮し、“神童”として一躍注目を集めた。2011年にスペインに渡りバレンシア下部組織に入団し、2018年10月にトップチームで公式戦デビュー。2021年夏にフリーでマジョルカに加入、2023年夏にフランスのパリ・サンジェルマンに完全移籍。マジョルカ時代の同僚である日本代表MF久保建英（レアル・ソシエダ）とは同じ2001年生まれで、普段から仲が良いことで知られている。
