【インタビュー】QTnet 岩崎社長が語る九州のネットワークビジネス | RBB TODAY

【インタビュー】QTnet 岩崎社長が語る九州のネットワークビジネス

一般向けでは「BBIQ光インターネット」、法人向けでは「QT PRO インターネットアクセス」などの光インターネット接続サービスを提供するQTnet。昨年に社名を変更したが、九州では老舗の電気通信事業者としてその名を知られる存在だ。

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 一般向けでは「BBIQ光インターネット」、法人向けでは「QT PRO インターネットアクセス」などの光インターネット接続サービスを提供するQTnet。昨年に社名を変更したが、九州では老舗の電気通信事業者としてその名を知られる存在だ。QTnetとして心機一転した同社では、今後どのような事業を展開していくのか? 代表取締役社長の岩崎和人氏(※)に話を伺った(※崎の時は、正しくは異字体)。



■リアル店舗の出店が、モバイルの成長を加速させる

【編集長】まずは2017年度における、御社のトピックスについて教えてください。

【岩崎氏】社内的に一番大きかったのは、やはり九州通信ネットワークからQTnetに社名を変更したことでしょうか。ロゴの一新や新たなCM展開などを行いましたが、比較的にスムーズに移行ができたかと思います。そのほかでは、デジタル通貨による金融サービスを手掛ける合弁会社「ディーカレット」に出資したこと。あとは、3月からモバイルサービス「QTmobile」もスタートしました。

【編集長】「QTmobile」はサービス開始から1年以上が経ちますが、立ち上がりは順調でしょうか?

【岩崎氏】ユーザー数は順調に推移していますね。昨年の7月22日には福岡・天神にリアルショップも出店しました。これは当初の予定にはなかったのですが、何かあったときに駆け込めるショップがあると、ユーザーの皆様の信頼につながるじゃないですか。お客様の反応も良かったので、2号店を小倉で、3号店を鹿児島で、4号店を熊本で出店しています。今後も福岡を中心に、各県庁所在地にはショップを展開していきたいですね。

【編集長】リアルショップを出店したことが、ユーザー数の増加にもつながったわけですね。

【岩崎氏】実は1号店の出店にあたり、東京・秋葉原にある同じ規模の店をベンチマークして、その売り上げ件数を同店の目標に設定しました。最初は目標が高すぎるかなと思ったのですが、1年経ったら売り上げが目標値の120%で推移しています。

■NTTドコモ、au、ソフトバンクの回線が選べる「QTmobile」

【編集長】モバイルでは大手キャリアをはじめ、激しい競争が繰り広げられています。その中で、「QTmobile」ではどのような戦略を考えているのでしょうか?

【岩崎氏】価格やサービスで差別化するのは正直難しいですね。実はプライシングの社内提案があったとき、データ容量3GBで990円という価格設定を聞いて、「安すぎるんじゃないか、これは」と言ったんです。そうしたら、「社長、隣のショップが1000円で売っています」というのを聞いて、それならしょうがないかと(笑)。

【編集長】料金やサービス以外となると、なかなか差別化が難しそうですが。

【岩崎氏】そこは、QTnetが九州では三大キャリアの次に名前の知られている事業者なので、その信頼感をプロモーション戦略で打ち出していきたいと思います。そのほかでアピールしたいポイントとしては、利用する回線をNTTドコモ、au、ソフトバンクから選べることですかね。

【編集長】QTnetの名前を打ち出していくとなると、光インターネット接続サービス「BBIQ光インターネット」との連携にもニーズがありそうです。

【岩崎氏】お客様からは「セット割にしてほしい」というお話を伺っています。ただ、月額990円のサービスなので、そこで1割引いてもあまり魅力を出せないかなと。「BBIQ光インターネット」も月額4700円と、かなり安めの価格設定にしているので、ここからさらなる割引を行うような戦術はとらないように考えています。

【編集長】モバイル回線や端末の法人需要についてはどうでしょうか?

【岩崎氏】セキュアな回線やテレワーク環境を提供するなど、法人向けの方が総合的なメリットをご提案できるかもしれません。例えば、金融機関では外部との通信を基本的に遮断していますが、我々ではインターネットへの接続を遮断したモバイル通信「セキュアモバイルサービス」を銀行などに提供しています。これによって行員の方はタブレット端末で、社内の業務システムを利用できるようになりました。

■4K放送の開始に合わせて、10Gbps回線の需要が拡大?

【編集長】「BBIQ光インターネット」や「QT PRO インターネットアクセス」といった固定回線サービスの状況についても教えてください。

【岩崎氏】光ネットワークは競争が激しく、九州ではNTT西日本とのシェア争いが続いています。ただ、ここにきて競争環境に変化が生まれました。競争相手が光回線事業者から移動体通信事業者にシフトしているわけですが、移動体通信事業者の方が原資は大きいので、それをバックにした営業戦略を取られているのが大きいですね。ただ、その中でもユーザー数は純増をキープしています。

【編集長】純増を続けているということは、まだまだユーザー数は頭打ちの状況にはないということですか?

【岩崎氏】九州については、まだまだ伸びしろがあると思います。うちの主戦場は福岡なのですが、そこで戦い、目標を達成してきた結果ですかね。ほかにも、金融や警察のほか、町内ネットワークといった自治体の案件なども手掛けています。

【編集長】通信速度については、最近では10Gbps対応のプランも注目されているようです。

【岩崎氏】10Gbps対応については、まだそこまでの需要はないものと考えています。ただ、4Kでの映像配信がはじまるので、将来的には対応することになるでしょう。



【編集長】4K放送というと、2020年の東京オリンピックが一つのトピックスになりそうです。

【岩崎氏】そうですね、高精細な映像でオリンピックを観たいというユーザーはいると思います。それをぜひネットの映像配信サービスで観てほしいですね。「BBIQ光インターネット」を普及させるための、追い風になるかと思います。

■過疎地域にも光インターネットのエリア拡大の商機はある

【編集長】御社は福岡が主戦場だというお話がありました。福岡というと訪日観光客が増えていますが、そこには何か商機がありそうです。

【岩崎氏】博多港には海外からの豪華客船が1日に1隻は着岸しているので、「QTmobile」のSIMを売るというのも考えたのですが、なかなか難しいですね。ランドオペレーターを介してレンタルすることも考えたのですが、回収をどうするかなどの問題があります。日本語学校での販売も考えたのですが、来日時にすでに日本で使えるスマホを手に入れているようです。このあたりはすでに手が付いているなという感じはあります。

【編集長】九州全域で人口が減少傾向にあるということですが、まだまだインフラ整備すべき地域はあるのでしょうか?

【岩崎氏】ありますけど、投資を回収できないと考えられていました。ただ、エリア対応を先延ばしにしていた佐世保市で「BBIQ光インターネット」を始めたところ、予想以上に加入率が高かったので、まだまだ余地があるのかなと考えています。

【編集長】なぜ、佐世保では「BBIQ光インターネット」の加入率が高かったのでしょうか?

【岩崎氏】やはり、誰もがスマホを持つようになり、自宅で通信するためのWiFi環境が必要になったからじゃないでしょうか。あとは、自治体における防災や教育、観光なども、Web広報なしでは成り立たないじゃないですか。これらの理由から、住人の方がインフラとして光回線が必要だと、認識している感じがあります。

【編集長】どのエリアに商機があるのか、その見極めが大変そうですね。

【岩崎氏】そうですね、以前にリサーチしたときには参入を見送っていた地域でも、チャンスがあることが分かりましたので、再検討が必要になりそうです。ただ、先にもお話ししたように人口流出や流入が著しい地域もありますので、人口動態をよく見極める必要があるかと思います。また、固定回線もモバイルも獲得競争が激化しているので、ここ4~5年は安泰でも、その先はわかりません。収支が先細りしていくリスクがあるので、新たな事業を開拓する必要があります。

■AI・IoTを駆使して無人店舗やITゴルフ場に挑戦

【編集長】新たな事業の開拓というのは、ネットワーク事業とは別ジャンルでの取り組みということでしょうか?



【岩崎氏】例えば、IoTやAIですね。これについてはトライアルという側面が大きく、まだ収益には結びついていませんが、このソリューションをお金に変えていく必要があります。そのためには、地元の中小企業などのニーズに応える必要があるでしょう。そこで、今年4月には環境構築のための相談や支援を行う「IoT・AI推進室」を設立しました。今後はお客様のニーズに合わせて、ソリューションを組み立てていくことになります。

【編集長】IoTやAIというのは、御社独自でソリューションを開発していくのでしょうか?

【岩崎氏】福岡には様々なAIを開発するベンチャー企業がありますし、すでに具体的な協業の話も出ています。今後はいろいろなクリエイターと組んでいきたいですね。

【編集長】共同研究というと、大学との連携も考えられそうです。

【岩崎氏】九州工業大学とはスマートキャンバスのプロジェクトが進んでいます。いくつかのソリューションを組み合わせて、例えば大学内に無人店舗が作れないか検討しています。

【編集長】AIやIoTを活用したソリューションというと、具体的にはどのようなサービスを検討しているのでしょうか?

【岩崎氏】アイディアはいろいろありますよ。例えば、日本初のITゴルフ場を作れないかと考えています。接客の現場ではお客様の顔認識をして、「いらっしゃいませ〇〇さん」とご挨拶できる環境を整えられるでしょう。グリーンではスイングを後からスマホで確認できるようにしたり、画像認識でボールがどこにあるかを通知することも考えられます。

■地域のブランドやテレビ局を繋いで、ネットテレビを配信!?

【編集長】AIやIoT以外でも、何か新たなビジネスの展開は考えられるでしょうか?

【岩崎氏】先ほど4K放送の話をしましたが、映像コンテンツについては、九州独自のものを配信できるかもしれません。QTnetだけでなく、大賀薬局や英進館、中村学園大学など、九州には地元で高い評価を受けているブランドが数あります。クリエイターでも東京オリンピックのマスコットを考えた谷口亮さんは福岡出身ですし、ゲームソフト開発のレベルファイブもそうですよね。こうした地域のシンパシーを繋げば、何か面白いコンテンツが作れるんじゃないかと思います。

【編集長】それは、QTnetがコンテンツ制作を手掛けるということですか?

【岩崎氏】地方のテレビ局では、キー局の番組を数多く流しています。それでは、せっかくの地域における取材力や情報力がもったいないので、一緒にコンテンツを開発できないかなと考えています。

【編集長】ネットテレビを新たに立ち上げるとなると、なかなかハードルが高そうです。

【岩崎氏】ドラマのように制作費がかかる番組を作るつもりはないので、ローカルな情報を上手く展開していけないかと考えています。例えば、弊社では毎年「こどもの日 QTnet将棋Day」という将棋大会を開催していますが、今年は藤井聡太六段(当時)にゲスト出演していただきました。対局の様子をネットで中継しましたが、なかなか人気だったようです。ですから、将棋番組はすぐ始められそうですね(笑)。あとは料理番組と教育番組、自治体の記者発表の放送も考えられそうです。
《とびた》

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